蘇える金狼(1979)




「コーヒーぐらい持ってこんかい!
 大株主に、ねぇ~」


松田優作さんの主演作はそれほど多く見ていないのですが
まあ、角川映画でした(笑)
もし優作さんが出ていなかったら
ただのヘンテコ映画になっていたでしょう


悪のプロが、さらに悪い奴らをやっつけ、踏み台にして
這い上がっていくという、快楽を追うようなドラマ
事件という事件が、優作さんに見せ場を作るために
起こるといっても過言ではありません(笑)

現金強奪、ヤクザと戦い、上司の愛人と関係、私立探偵と戦い
殺し屋と戦い、放火、大株主、社長の娘との婚約と
とにかく詰め込んできます





それでも優作さんは、ワルの匂いがプンプンしてカッコイイ
虚無という感じの覚めた、だけどナルシストな表情も凄く良い
長身で鍛えられた身体でのアクションもサマになっていますし
前屈みのまま走って敵の銃弾をかわすシーンなど、確かに痺れます

運転する車は白いマセラティ・メラクから
大金を手に入れる度びにBMW520
そしてランボルギーニカウンタックへと変わります
このウルフ・カウンタックは世界に3台しかないそうです
当時は乗っている車が、その人の住むクラスをあらわしていたのでしょう


そんな男に、どんな皮肉なラストが待っているのかと思ったら
つまらない女の嫉妬で刺されて殺されてしまうとは


麻薬とセックスで籠絡した女(風吹ジュン
この鈍くさい女を、なぜ主人公が
(男性ならジュンさんの濡れ場を拝めるだけで満足かもしれませんが 笑)
海外にまで同行しようとしたのかが頷けず
そのことがハ-ドボイルドさを薄めてしまったのは残念でした





余計なものをそぎ落として、もっとシャープに編集すれば
傑作になったような気もします
でも、このダラダラ感が、やはり角川映画なのでしょう(笑)



【解説】allcinemaより
大藪春彦の同名小説の映画化で、遊戯シリーズでコンビを組んだ村川透監督、松田優作主演のハードボイルド。朝倉哲也は表向きは平凡なサラリーマンだが、夜は身体を鍛えて巨大資本乗っ取りを企んでいる。朝倉はある日、手に入れた麻薬で上司の愛人、永井京子を手なずけた。しばらくして会社幹部達の横領事件をネタに、桜井という男がゆすりに来ていることを突き止めた。朝倉は桜井と会社を巧みに利用して社長令嬢の絵理子と婚約することに成功するが、その一方で嫉妬に燃える京子は、ある決意をしていた。