バーバー(2001)

 
こういう作品を見ると、因果応報というのでしょうか
自分の犯した罪は、たとえ逃れることができたようでも
形を変えて自分のところに戻ってくるのだと感じさせられます
昔の人はよく「バチがあたる」と言っていました
 
因果応報(いんがおうほう)
仏教用語 原因としての善い行いをすれば、善い結果が得られ
悪い行いは、悪い結果をもたらすとする
善因善果、悪因悪果、三世因果などと表現される
 
原題は「THE MAN WHO WASN'T THERE」(そこにいなかった男)
なんだか逆ヒッチコック風なタイトルです(笑)
 
本作はカラーで撮影したものをモノクロに画像処理したということですが
モノトーンでありながら、カラーのような陰影を残した映像は
良かったと思います、とても綺麗でした
 
 
妻の弟フランク(マイケル・バダルコ)に雇われている
床屋のエド・クレイン(ビリー・ボブ・ソーントン
彼はは非常に無口で仕事も真面目で、良き夫
妻の浮気を知りながらも、目をつむっています
 
でも本当の彼は、この現状から抜け出したいと思っていました
 
 
ある日、ベンチャー・ビジネスを立ち上げるという営業マンがやってきて
ドライクリーニングの話をします
なぜかその話に魅せられた床屋は妻の浮気相手に脅迫状を送り
出資金を捻出し共同経営者となります
 
しかしそのことが夫婦を
そして浮気相手のデイヴを転落させていくことになります
 
 
 
カツラと同じく、本物か偽物か一瞬ではわからない
ベンチャー・ビジネスの営業マンは撲殺され
(このズラネタ男は竹中直人さんを絶対パクってます 笑)
 
それを殺した妻の浮気相手デイヴは床屋にナイフで首を刺され
 
しかしデイヴの殺人犯として逮捕されたのは
 
腕利きの弁護士リーデンシュナイダー(トニー・シャルーブ)のおかげで
無罪になりそうなところを、ドリスは(デイヴの子を宿し)自殺
 
 
そんな中、床屋は友人の弁護士の娘
バーディ(スカヨハ)のピアノに心の安らぎを感じます
サンフランシスコの有名音楽教師のもとへ連れていくものの
彼女の演奏は認められず、帰りの車中「女」になったバーディに
床屋は交通事故を起こしてしまいます
 
 
 
そして目が覚めた床屋は、そのまま殺人容疑により逮捕され
あのドライ・クリーニングの営業マン殺しとして
死刑宣告を受けることになるのです
 
 
妻のドリスは浮気していても、脚の無駄毛を剃ってくれる夫に
「愛してるわ」と言ったのは本当の気持ちだと思います
 
デイヴにしても経理のドリスとは、お互いに都合のいい相手
(デイヴの奥さんもあれじゃあねえ・・)
あの営業マンさえ現れなければ、平穏な日々が続いていたはずなのです
たとえ、つまらない毎日でも
 
 
うまい儲け話は、確実に人生を狂わせる
私は教訓めいた作品のように感じました
ちょっと笑えないブラック・コメディ
 
特に芸能界のように、一瞬で大きなお金が動く環境で働く人間にとっては
そんなお金の誘惑が、正しいかどうかを見極める力をもっていてこそ
長く活躍できるのではないかと思いました
 

 
【解説】allcinemaより
ミラーズ・クロッシング」「ファーゴ」のコーエン兄弟が、フィルム・ノワールを思わせる渋味の効いた演出で、ふとしたことから歯車の狂い始めた男の辿る皮肉な運命を描いたオフビートな味わいの悲喜劇。主演のビリー・ボブ・ソーントンをはじめ、「ザ・ソプラノズ」のジェームズ・ガンドルフィーニら芸達者が顔を揃える。なお、全編モノクロの本作は、もともとカラーフィルムで撮影したのち、モノクロフィルムに焼き付けるという方法で完成されたとのこと。
 1949年、カリフォルニアの片田舎サンタローザで床屋を営む無口な男エド・クレイン。平凡な毎日を送るエドだったが、ふとしたことから妻ドリスと彼女の上司デイブの浮気を疑い始める。そんなある日、店に来た客の一人からドライクリーニングの商売を始めるために資金を出してくれる人を探している、との話を聞かされたエド。この話にすっかり乗り気になった彼は必要な資金を得るために、ドリスとの不倫をネタに相手のデイブを恐喝することを思いつく。一時は思い通りに事が運んだかに見えたエドだったが、やがて事態は予想もしない方向へと転がり始めた……。