潮風とベーコンサンドとヘミングウェイ(1993)




原題は「WRESTLING ERNEST HEMINGWAY」


いい映画でした
私を含め、こういう作風が好きな人は多いと思います
ただしこちらは75歳の爺が主人公
老後のアメリカン・ニューシネマ(笑)


フロリダ、海沿いの街
フランク(リチャード・ハリス)は最年少の船長だったことと
若いころヘミングウェイと格闘したことがあるのが自慢の男
口が悪く変わり者、でも本当はやさしい寂しがりやさん
息子が誕生日プレゼントに贈ってくれたヘンテコな帽子を愛用し
毎日映画館に行っては常連の女性を口説きます

ウォルター(ロバート・デュバル)はキューバの移民で元床屋
ベーコンサンドが好きで、日に2回ダイナーで働く
友人のエレーン(サンドラ・ブロック)に作ってもらいます
それを海辺の公園のベンチで食べながら、パズルを解くのが日課
真面目過ぎる性格で、全く冗談が通じません





そんな正反対のふたりが偶然知り合います
ウォルターはフランクのことを最初は煙たがっていました
でも暑い盛りのある日、フランクはエレーンのいる
涼しいダイナーに行こうとウォルターを誘うのです

次第にウォルターとフランク、エレーンは親しくなります


有名になる前のサンドラ・ブロックが初々しいですね
まだ若いのにお年寄りからの好意をしっかりと受け止め
とても親切な女性を好演しています
(私もデュバル様とお友達になりたい! 笑)

大家のシャリー・マクレーンもチャーミング
若いころ可愛いと、お年を召してからもやはり可愛いのか(笑)





バスを待つ女性、バスの運転手、公園で遊ぶ母子
街の人々も皆やさしくて温かい気持ちになれます


エレーンが暮らすカーターベイでの花火大会に
二人漕ぎの自転車で向かうふたり
フランクの髪を切り髭をそるウォルター
ふたりの友情が次第に深まっていくシーンには
じんわりと感動していきます


でもエレーンの結婚が決まったある日
フランクの選んだエレーンへのプレゼントに
ウォルターは激怒してしまうのです
そして喧嘩別れしてしまうのです

だけど、エレーンが引っ越しをする日
「さよなら」を言うために、フランクは再び
ウォルターをエレーンのもとに自転車で連れて行きます

「さよなら」を言う前に
疲れてエレーンの前で寝てしまうウォルター(笑)
小さな恋に、胸がきゅっと苦しくなる

そして仲直りしたフランクとウォルターは
ダンスパーティに行く約束をします
だけど待ち合わせの時間になってもやってこないフランクを
ウォルターが迎えに行くと彼は帰らぬ人となっていました





でも、しんみりとしたものはありませんでした

フランクは幸せな最期を迎えた気がしたからです
ウォルターとの10キロの自転車での短い旅は
彼の人生でかけがえのないものになったはずです

そしてウォルターも、人と付き合う楽しさに気が付きます
最後のシーンは素敵でした

人生は最後まで素晴らしい


これはもう「お気に入り」でしょう


【解説】allcinemaより 
「愛は静けさの中に」のランダ・ヘインズ監督の下、「ゴッドファーザー」の名脇役ロバート・デュヴァル、「カサンドラ・クロス」の演技派リチャード・ハリス、「愛と追憶の日々」のシャーリー・マクレーン、そして人気急上昇の「スピード」サンドラ・ブロックなど豪華キャスティングにより、一人の美しいウエイトレスを囲む老人たちの心の絆を描いたハートウォーミングなヒューマン・ドラマ。