フィラデルフィア物語(1940)




人生のモテ期が、結婚式直前や結婚後にやってきたら
そりゃあ困りますよね
夢のようなモテ期のあとに、理想の相手が現れるのが一番イイけど
いまさら自分には何の関係もない話か(笑)


フィラデルフィアの石油王の令嬢トレイシー(ヘプバーン)は
苦労して石炭会社の重役まで上り詰めたジョージ(ハワード)と
再婚することになります
そこに未練たっぷりの前夫のデクスター(グラント)と
ゴシップ誌の記者コナー(スチュアート)が取材のためにやってきます

アメリカのセレブというのは映画スター並みの扱いなのですね
パパラッチされプライベートは暴露され、ニュースにもなる

そんな社交界の華でもある彼女を、ジョージは「女神」と崇められています
でも彼女には男性から「崇められるのではなく、ただ愛されたい」
という理想がありました

これはただのロマコメではなく、階級社会というものを風刺しているのですね
お酒に酔って思わずコナーとキスしてしまうトレイシー
そこで怒ったジョージに見放されてしまいますが、
コナーは本気になってプロポーズまで口走ってしまいます

だけれど本当のところは、下流出身のジョージやコナーは
お相手ではないということなのです
当時は一般人がセレブと結婚しようなんて
笑いものにされるだけの夢物語だったのでしょう

とはいえ、ジョージはなにも悪くないのにドタキャンされてお気の毒
コナーは思いを寄せてくれる女性カメラマンと
たぶんくっつくのでしょうけど





結局は同じ上流である元夫とヨリを戻すトレイシー
だけど、冒頭のゴルフクラブをへし折るヘプバーンのあの顔を見たら
このふたりは再婚しても絶対うまくいかないと思います

私好みの映画ではありませんでしたが
この豪華なキャストはやはり嬉しい

ジミーが主演男優賞を受賞していますね
ひゃっくりをする姿は、確かに可愛かったです
オーバー・ザ・レインボウを歌うシーンは
かなりおマヌケでしたけど(笑)



【解説】allcinemaより 
フィラデルフィアの上流社会の令嬢トレイシー(ヘプバーン)はジョージ(ハワード)との結婚を目前に控えていた。それを知って、二年前に彼女の我がままとプライドの高さに耐えかねて出ていったデクスター(グラント)が、雑誌記者のコナー(スチュワート)とインブリ(ハッセイ)を連れてやって来る。実は邸の主人は浮気相手のところへ行っていて式にも呼ばれていない有様で、体面を重んじる一家は、記者の手前、何とか取り繕う。トレイシーに未練のあるデクスターは静かなる結婚妨害を試みるが……。バリーのブロードウェイ・コメディを軽快なテンポで映画化。軽妙な演技のスチュワートと、こなれた脚本のスチュワートがオスカーに輝く。ヘプバーンのコメディエンヌぶりが何より楽しい。'56年に「上流社会」としてリメイクされた。カラライゼーション版有り。