続・激突!/カージャック(1974)

 
 
オバカで、ヒステリーで、能天気
だけど時々見せる可愛らしさや色気
このキュートな魅力はホーンだけのもの
 
邦題がここまで酷くなければ、もっと語られてもいい映画でしょう
原題は「The Sugarland Express(シュガーランド・エクスプレス)」
スピルバーグの劇場映画第一作目で、「激突!」とは無関係の実話もの
カメラは名手ヴィルモス・ジグモント
 
 
養子に出されてしまう子どもを取り戻すために
妻は夫を脱獄させパトカーをカージャックし逃走します
こんなアホみたいな脱獄手段が本当にあったとは信じられませんが
刑務所というより軽犯罪者の社会復帰のための施設なのでしょう
 
 
 
巡査が人質に取られているため、警察も手出しが出来ず
何十台、何百台ものパトカーが後ろにゾロゾロとついていきます
やがて夫婦と巡査の間には奇妙な友情が生まれ(ストックホルム症候群的)
野次馬に襲撃されたり、行く先々でお祭り騒ぎになったりしながら
目的地へと近づいていきます
 
 
 
ゴールドスタンプに固執するようなルー・ジーンですが
子どもと一緒に暮らしたいという気持ちは一途なもの
髪をセットして、化粧をして、奇麗なママでいたいと思う
子どもへの愛が届かず、ちょっと哀しいラストでしたが
自業自得ともいえます
 
 
これはもう、スピルバーグというよりホーンの映画
テルマ&ルイーズ」や「ナチュラルボーン・キラーズ」も
あきらかに本作の影響を受けているのがわかります
だけど、こちらの母性の愛が狂気に変わっていく様のほうが
やはり切なくて美しい
 
荒々しくも、瑞々しい感覚と若いエネルギーを感じる
遅れてきたニューシネマの傑作でしょう
 
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【解説】allcinemaより
裁判所の命令で子供の養育権を取り上げられてしまったG・ホーンが、刑務所に服役中の夫を脱獄させる。そして二人はパトカーを奪い、子供の居るシュガーランドをめざす……。子供を取り返すためにムチャクチャな行動を起こす女性を温かなタッチで描く。スピード感とユーモアに溢れた、スピルバーグの劇場用映画第一作。
 裁判所命令で子供の養育権を取り上げられたルー・ジーン。彼女は子供を養子に出される前に取り返そうと、刑務所に服役中の夫クローヴィスを脱獄させ、車を乗っ取り、子供が保護されているシュガーランドを目指す。そして間もなくパトカーに見つかるが、脱獄で捕まると勘違いした夫婦は強引に警官もろともパトカーを奪うのだった。人質を取られた状態の警察はやむなく夫婦に密着するにとどまり、事件も世間に知れ渡ったことから、いつしか夫婦のパトカーの後ろには野次馬の車が多数連なっていく。こうして、ついにシュガーランドに到着するのだが…。