ランブルフィッシュ(1983)




青春映画の中で最も好きな作品のひとつ

やはり良かったですね
今は若干、保護者の気持ちになって見てしまいましたが(笑)

同じS・E・ヒントン原作の「アウトサイダー」にも似ていますが
こちらの「ランブルフィッシュ」のほうが私的には評価が高い
(ポリスのドラマー)スチュワート・コープランドの音楽もGOOD


アメリカの貧しく侘しい田舎町
そこに暮らす人々はお互い顔見知りのように思います
仲間と酒を飲み、夜遊びをし、喧嘩に明け暮れる高校生、ラスティ・ジェームズ

彼にはかって「バイクボーイ」と呼ばれた
不良グループのリーダーとして君臨した兄がいました
伝説の兄に憧れ、いつか兄のような存在になれると信じている

一方の兄は、傷ばかりを作る弟を心配します
そして自分のようにはなるなと教えるのです

モノクロの映像は色盲であるバイクボーイから見た鬱屈した世界
そのなかで、ただひとつ鮮やかな色を放つランブルフィッシュ
バイクボーイにとって、弟こそがランブルフィッシュ
この世界で唯一カラーで輝く存在





小さな水槽に閉じ込めておくから戦うのだと
川に放ってやれば、それよりももっと大きな海に出れば
自由になれる、殺しあうこともなくなるのだと
信じているのです


この作品はコッポラ監督が「エデンの東」「草原の輝き」という
青春映画の金字塔を意識して(嫌って)作ったのではないかと思います

「信じなかったヤツの顛末を知っている」とバイクボーイが言うと
ギリシャ人に捕まった」とアル中である父親(デニス・ホッパー)は答えます
ラスティ・ジェームズはふたりが何を笑っているかわからない
これは、かって仲間を売り裏切り者と呼ばれた
ギリシャ人監督の事なのでしょう


バイクボーイは、自分がなにかをしたら
つきまとう警察官に撃たれることを知っていたんだろうな
そうしてラスティ・ジェームズを町の外へ送り出したのです
可能性の満ちた未来へと


孤独で、何をしたいのかも分からない
そんな若者にマット・ディロン がぴったりでした
そして何といってもミッキー・ロークが素晴らしい
彼がこの作品の要であり、主人公といってもいい

若いという脆さを描いた逸品
お気に入りです





【解説】allcinemaより
 アメリカの地方都市で、ある2人の兄弟を主人公に、かつて不良グループのリーダー格であった兄と、その兄に憧れる弟の成長を描いた青春映画。モノクロ一色の映像、そしてその中で唯一色付けされた魚を登場させるなど、斬新な手法で彼らの心情を巧みに描いている良作。