ムーンライト (2016)




第89回アカデミー賞の授賞式での誤発表が話題を集めたせいか
109劇場内は結構混んでいましたね
予約せずに行ったら、思い切り前側しか席が空いていませんでした

にもかかわらず、映画が終わり劇場が明るく立ち上がって
ふと後ろを振り向いたら、大勢が熟睡中(苦笑)


もちろんつまらない映画ではありませんが
ホモフォビア(同性愛嫌悪)の差別に苦しむ
少年の成長と純愛というのは観客を選ぶ内容でしょう


マイアミのゲットー地区で暮らす少年シャロン
母親は麻薬中毒で、父親はいません
そして毎日のように学校で虐められています
いつものようにいじめっ子に追いかけられていたある日
フアンという麻薬ディーラーが助けてくれました

何かとシャロンのことを気にかけてくれるファンと、彼の恋人のテレサ
しかし母親にドラッグを売っていたのがフアンだと知ることになります


中盤で、やっとこういう話なのかと気が付きました(遅い)
黒人のケヴィンのしぐさはかりにくいですけれど、日本で言う「オネエ」
それが理由で「オカマ」だと虐められ、母親は機嫌が悪い


やがてシャロンは16歳の高校生に成長
相変わらずいじめは続き、過激なものになっていきます
唯一の友人は幼馴染のケヴィン

シャロンとケヴィンはずっと惹かれあっていたのです
お互い、ゲイであることは秘密です
はじめてのキス





こういうシーンに耐えられるかどうかで
この作品の評価が大きく分かれるのでしょうね
そして自分がホモフォビアかどうかも知ることができると思います


いじめっ子に仕返しをしたことで少年院に入ってしまったシャロン
そして大人になり、体を鍛え、見た目はマイクタイソン
麻薬ディーラーとして大金も稼ぐようになりました
甘く見られないよう「見た目」を変えるため努力したのでしょう

なのに、心だけはめちゃくちゃ乙女(笑)

ケヴィンと再会しても、自分の気持ちを言えない
そんなシャロンにケヴィンはジュークボックスで
"Hello Stranger"という曲を流します


こりゃあ落ちる
もう、帰れなくなるわ

シャロンの金歯(笑)も気にしない(笑)ケヴィンの徹底的なやさしさに
「オネエ」様方の「きゃ~~♪」という悲鳴が聞こえそうです


ひとことで同性愛者、性同一性障害といっても
性格も違うし、色々なタイプがあるでしょう
そして自分が何者であるか悩んだり、虐められたという経験のある方が
やはり多いのではないかと思います

もちろんこういう作品を見て、気持ち悪いと反応する人は普通だと思います
だけど、いじめや差別はするほうが変わらなければなくならないのです

マイノリティを少しでも理解してもらいたい
そういう思いが込められた作品なのだと思います



【解説】シネマトゥディより
ブラッド・ピットが製作陣に名を連ね、さまざまな映画祭・映画賞で高評価を得たドラマ。マイアミの貧困地域に生きる少年が成長する姿を、三つの時代に分けて追う。監督は、短編やテレビシリーズを中心に活躍してきたバリー・ジェンキンズ。『マンデラ 自由への長い道』などのナオミ・ハリス、『グローリー/明日への行進』などのアンドレホランドらが出演。逆境の中で懸命に生きる主人公に胸を打たれる。