太陽の下で -真実の北朝鮮-(2015)




シネマート新宿にて鑑賞


チェコ/ロシア/ドイツ/ラトビア北朝鮮
5か国による制作ということに興味をそそられました

監督がロシア人ということもあり
映像や雰囲気はまるでロシア映画のようで
美しいですね

しかし、「真実の北朝鮮」を知ることのできるような作品ではありませんでした
常に監視員がそばに立ち、北朝鮮側が用意した監督が演技指導をします
(展開が平坦なので、途中で凄い睡魔に襲われます)

カメラは平壌のエリート校「少年団」という学校に
入団した8歳の少女ジンミと、その両親を追いかけます
「少年団」を無理やり例えるなら宝塚歌劇団のような学校でしょうか
踊りや音楽を多く学ぶようです

金 日成(キム・イルソン)大元帥と金 正日(キム・ジョンイル)総書記が
いかに素晴らしいお方なのかと、あらゆる言葉で、歌で、踊りで
称えるのです

また、入学してすぐに反日感情も植え付けられます
いかに日本人と地主たちが朝鮮人を苦しめたのか
そのことから救った金 日成大元帥の偉大さを
何度も繰り返し暗記させ、復唱させるのです

こんなに幼いころから、このような教育を受けていれば
日本人に対して友好的になれないのも仕方がないかも知れません
(教科書の謎の逸話はかなりシュールでしたけど 苦笑)

しかし平壌では選抜された優等生、模範生だけが入学できるエリート校
親としてはこれ以上誇らしいことはないでしょう

家庭での様子も描かれていました
3人家族では食べきれない量の料理が食卓に並びます
そこでキムチがいかに健康にいいのかを語る(笑)





母親が買い物をしたり食事を用意したり
家族がお風呂やトイレに行くような場面も一切ありません
そこに生活感は感じられない

人工的な作り笑い
独立した国家というよりも、まるでカルト教団
金正日花のエンドロールは印象的でした





洗脳教育によって破壊されてしまう子どもの心が哀しい
ジンミの涙が心に刺さります



【解説】allcinemaより
 ロシアのドキュメンタリー監督ヴィタリー・マンスキーは、2年の交渉の末に、北朝鮮政府から平壌の一般家庭の密着撮影を許可される。こうして模範労働者の両親とその8歳の娘ジンミの日常生活を見つめたドキュメンタリーの撮影がスタートする。しかし実際には北朝鮮当局がすべてを管理掌握し、事前に出演者たちに細かい演技指導を行うなどドキュメンタリーとは名ばかりのプロパガンダ映画の製作が進行していた。そこでマンスキー監督は、その“演出”の実態そのものを隠し撮りしていくことに。本作はこうして撮影され、当局の検閲を逃れて極秘裏に持ち出された映像素材を元に完成された異色ドキュメンタリー。