許されざる者(1959)

 
 
失敗作だとか駄作だとか酷評が多いようですが
そこまで悪いとは思いませんでした
 
ジョン・ヒューストンが自伝の中でこの映画のことを
「一番嫌いな映画」と記しているそうですが、それは映画の内容より
あまりにもこの作品をコケにされたからなのでは(笑)
 
たった4人の家族で
大勢の武装したインディアンを全滅させたのは
確かに無理がありましたけれど
 
原題の「The unforgiven」は
「ある許されなかったこと」という解釈のほうが正しいようです
私は白人がインディアンから赤ちゃんを盗んだこと
そして白人とインディアンの禁断の愛という
意味も含まれているのではないかと思います
 
本当は愛し合っているだろう
血のつながっていない兄のベンと妹レイチェル
 
とはいえ幼い頃から兄妹として育ち
恋愛は道徳的に反しているだろうと
お互いの気持ちを明かすことはありません
 
そんな平和な暮らしの中に
不気味な老人がやってきて
レイチェルはカイオワ族だと言いふらすのです
やがて人々はその家族を差別的な目で見ていく
 
ベンはレイチェルを守るために
町の人々や仲間と決別し
レイチェルを取り戻しに来た本物の兄と
友好的なカイオワ族に戦いを挑むのです
 
そして、激しい戦いの中
レイチェルを抱きしめキスをする(結婚を申し込む)
 
西部劇版「嵐が丘」というか(笑)
(作中でも砂嵐のシーンが不気味でいい)
最初から不吉な影が覆いかぶさり
嫌なムードで終わりました
 
しかし、オードリーをオードリーと見ないで
西部劇ではなく恋愛映画と思えば
私にとっては見どころの多い作品でした
 

 
【解説】allcinemaより
 J・ヒューストンの文学趣味が出た風変わりな、彼の最初のウエスタンで、世間的には失敗作の烙印を押されているが、いろいろと解釈の余地のある魅力的な作品だ。テキサスの平原で営む牧場がやっと軌道に乗り始めたザカリー家の長男ベンは、周囲の信望も厚く、いよいよ今迄でも最大規模のキャトル・ドライヴに出ようという矢先、妹レイチェルの出生をめぐっての悪い噂が立ち困惑した。その主はかつては彼の父のパートナーだった老人ケルシー。妹が養女であるのは確かだが、カイオワに殺された移民一家の生き残りと、亡父からは聞かされていた。それをケルシーは、彼女はカイオワから奪った娘でやがてその報いがあるだろうと、不気味な予言をし、ベンの仲間たちも怒って老人を吊るし上げるのだが、彼は真相を知るザカリー家の母を冷たい目で見つめるのだった……。そして、一家は孤立し、レイチェル奪還に現われたカイオワたちと死闘を繰り広げることになる。オードリーのインディアン娘も素敵だが、脇役の充実には目を見張り、ことに、インディアンとの混血でベンを助けるポルトガルという役を演じるJ・サクソンが、三頭の馬を乗り継いで(それはスタントだろうが)カイオワの斥候を捕らえる追走シーンなど新鮮で、印象に残る。敵の呪いのダンスに対抗してL・ギッシュの母が荒野でピアノを弾く場面、長い軍刀を腰に下げ馬にまたがるケルシーをまるで幽霊のように描く所など、ヒューストン好みの奇矯なイメージに満ち、篭城する小屋に自ら火を放って応戦するクライマックスも迫力たっぷりの充実作だ。