華麗なるギャツビー(1974)




原作は未読ですが、アメリカでは歴史的ベストセラーということ

ただ一途な純情男、ギャッビーと
ガソリンスタンドを経営する(ギャッビーを殺す)ジョージが
あまりにも哀れすぎました


物語はニックという、たぶん家柄は良いのでしょう
ウォール街で働く誠実な青年の語り口で進みます

夜な夜な立派な屋敷で盛大なパーティーを開催する名士ギャッビー
ある日ニックはそのパーティに招待されます
それはニックの親戚で、友人でもあるデイジーと会うためのものでした

ギャッビーとデイジーは、かっては愛し合っていたのですが
デイジーはトムという大富豪と結婚してしまったのです

しかし今は、トムはマートルという夫人と不倫中で愛のない結婚生活
デイジーも再びギャッビーと愛し合うようになってしまいます

ギャッビーはデイジーを取り戻すために
勉学にも、仕事にも、物凄い努力と苦労をしてきたのでしょう
お金のためには裏社会とも通じたのかも知れません
それは社交界に、貴族の世界により一歩でも近づくため

トムの愛人、マートルの夫であるジョージは
ギャッビーのように金持ちにはなれなかったけれど
妻のため誠実に働き、贅沢はできないかもしれないけれど
決して苦労はさせないように頑張ってきたのだと思います

だけれどトムの、宝石に毛皮にドレスに高級車
豪華なパーティに料理にシャンパ
欲しいものはなんでも気前よくプレゼントしてくれる
そんな彼にデイジーもマートルもメロメロになってしまったのです

だからといって、トムも酷い男だったわけではありません
彼なりにデイジーのことも、マートルのことも愛していた
歓ばせようとしていた

彼にとっての悪人はギャッビー

大切な妻を寝取ったギャッビーも
可愛いマートルを殺したギャッビーも許せない
自分勝手でわが身だけの保身はその妻だというのに

馬鹿な女のふりをして
悲劇の女のふりをして
贅沢な暮らしにだけ身を包みたい女


ギャッビーがデイジーの娘を見た時の
レッドフォードのためらいの演技が逸品


残念なのは女性の私から見たなら
ヒロインのミア・ファロー
男を虜にするほど魅力的に見えなかったこと

マートル役のカレン・ブラックは
妙に下品な色気があって上手かったですね


上流社会の醜悪で俗物根性な物語


だけれど誰でも、宝石に毛皮にドレスに高級車
豪華なパーティに料理にシャンパン・・
おまけにアパートやら子犬までプレゼントされたなら
実際のところ、どうなるかわからないかもですね(笑)



【解説】allcinemaより
或る男の一生」(26)、「暗黒街の巨頭」(49)に続くF・スコット・フィッツジェラルドの小説3度目の映画化。1920年代のアメリカ上流階級を舞台に、ひとりの富豪ジェイ・ギャツビーの知られざる過去を通して、非情な社会の現実を描くが、華やかな雰囲気がそのまま作品の色となり通俗的メロドラマに終始した感がある。脚本はF・F・コッポラ。