あなたへ(2012)

 
「このみちや いくたりゆきし われはけふゆく」
                      種田山頭火
 
 
 
 
私は今まで、自分の結婚式も
七五三や、入学式などの子どものお祝いも
普通にしてきたタイプ
 
人によっては、そんな枠にはまった人生
面白くないという方もいるでしょうが
きっと面倒くさいんでしょうね
違うことをしたり、考えるのが
 
もし、自分や家族が死んだとき
葬式やお墓についても
一般的なものを選ぶことでしょう
 
 
 
「あなたへ」では妻に先立たれた元刑務官の男が
妻の故郷の長崎の海へ
妻の遺骨を散骨するため旅に出るというもの
それが彼女から残された遺言だったのです
 
夫婦は晩婚で子どもがいなかったのでしょう
いつか、故郷に帰りたいという思いもあったでしょうが
夫にお墓を残すという負担をさせたくなかったのかも知れません
 
しかし、遺灰を海に撒くことは簡単なことでなく
勝手にできる事ではなかったのです
舟をチャーターするのにも漁協からは反対され
乗せてくれる漁師はだれもいません
 
でも、旅を通じての出会いも運命
誰もが持っている何かしらの過去
人生は奇跡でなく、すべて繋がっているのです
 
 
「さようなら」という言葉は
美しいながらもなんて寂しいのでしょう
それは、まるで健さんから伝えられた
最後の言葉でもあるよう
 
これが遺作になってしまったのですね
 
富山から、飛騨高山、京都、竹田城、瀬戸内、下関、北九州市
そして長崎県平戸まで巡るロードムービー
 
日本の美しい風景に、健さんの背中が似合います
 

 
【解説】allcinemaより 
鉄道員(ぽっぽや)」「ホタル」の高倉健が、本作で20本目となる降旗康男監督とのタッグで贈る感動のロード・ムービー。先立った妻の遺言に従い、北陸から妻の故郷・長崎へと旅立った主人公が、道中で様々な人々との一期一会を重ねる中で、亡き妻の知られざる想いと深い愛情に気づく姿を叙情豊かに綴る。共演に田中裕子。また主人公が旅先で出会う人々には、佐藤浩市ビートたけし余貴美子をはじめ豪華キャストが名を連ねる。
 北陸・富山の刑務所で指導技官を務める倉島英二のもとにある日、亡き妻・洋子からの絵手紙が届く。そこには、“故郷の海を訪れ、散骨してほしい”と記されていた。お互いに理解し合っていたと思っていた英二には、妻がなぜ生前に言わずに、このような形で伝えようとしたのかが分からない。英二はその真意を知るためにも、妻の願い通り彼女の故郷・長崎を目指すことに。本当ならば妻と旅行するために準備していた手製の改造キャンピングカーに乗り込み、いざ富山を後にする英二だったが