グッドフェローズ(1990)

 
 
 
「俺のどこがファニーなんだ?」
 
 
エンディングにセックス・ピストルズをもってくるなんて
なんてセンスのいい!
リアル・マフィアの世界とロック音楽が
うまく合っている作品ですね
 
私たちは同じ人間でも
それぞれ住む世界というものがあります
でも、その境界線はあいまいで
軽い気持ちで違う世界に足を踏み入れてしまうと
取り返しのつかないことになってしまう
 
この物語は実話ベースということです
子どもの頃からギャングに憧れ、悪の道に入り
殺人、強盗、麻薬に手を染めていく男
 
しかしわが身の保身だけのために
仲間を売り、法に守られて生きていく裏切者
私だったら、潔く死んだほうがマシ
 
この作品の素晴らしいところは
私たちの知らない、イタリアンマフィアの実生活が
わかりやすく描かれているところですね
 
ファミリーは本当の家族と同じ
大切にし、なんでも相談にのります
結婚式のシーンなどでも
いかに結束が強いかわかります
 
半面、そうでない相手にはすぐブチギレでしまう
ちょっとからかわれたり
反抗的な態度をとられただけで
殴る、蹴る、殺してしまう
 
そして、純粋なイタリア人しか幹部にはなれません
先祖までさかのぼって調べ上げられ
イタリア人以外の血が一滴でも混じっていれば
出世はできないのです
 
血生臭い一方、美味しい食事シーンも多いですね
まさか、刑務所で御馳走を作ってしまうとは!
最もイカれたトミー(ジョー・ペシ)の
ママの手料理も美味しそう
 
イタリア男はママとグルメには
かなわないのね(笑)
 
 
 
 
 
「かっこいい」ギャングではなく
「救いようのない」「どうしようもない」男たち
 
「ゴットファザー」がイタリアン・マフィアの
上流社会を描いていたとしたならば
こちらは出世できないチンピラの物語でしょう
 
面白味のある作品とは言えませんが
傑作だと思います
 

 
【解説】allcinemaより
グッドフェローズ”と呼ばれるマフィアの世界に憧れるニューヨークの少年ヘンリー。そんな彼はある日、地元のボス、ポーリーのもとで働くことになり、ついにその世界へ足を踏み入れる。こうして、先輩のジミーやトミーから仕事のイロハを学び、一端のギャングとして成長していくのだった。やがて、カレンと結婚し、自分の家庭も築くヘンリー。しかし、ジミーらと犯行に及んだ空港での大金強奪事件をきっかけに、ヘンリーの人生に狂いが生じ始める。仲間が事件の証拠を揉み消す中、FBIに目をつけられたヘンリーは、組織に関するあらゆる証言を迫られていくのだが…。
 少年の頃からギャングに憧れ、その仲間入りを果たした一人の男の半生を通してマフィアの実態を描いた力作。実話を基に製作されているとはいえドキュメンタリー色は薄い。当時のヒットナンバーを背景に、主人公のモノローグを織り込みながら素早いカットでシーンを次々とつなぐ造りによって、映画は快調なテンポを持続する。「ゴッドファーザー」路線とはまた違う“決して組織の頂点には立てない男たち”を描ききった。主人公R・リオッタを始め、仲間のJ・ペシ(アカデミー助演男優賞受賞)、ボス格のP・ソルビノ、そしてやり手の先輩デ・ニーロらそれぞれの際立った個性のアンサンブルも良い。