昼下りの決斗(1962)


 
 
 
 
「私はただ、正しく死にたい」
 
 
こんなおバカ娘に命を懸けるなんて
助けたって、同じ安易な道しか行かないような娘なのに
(毒舌失礼)
 
サム・ペキンパーの実質的な映画監督第1作であり
ジョエル・マクリー(55歳)と
ランドルフ・スコット(59歳)当時の
ガン・アクション引退作品でもあるということです
 
でも早撃ちではない
ジリジリと相手に詰め寄り確実に狙う
 
物事を知っている、経験を積んだ古い人間のやりかた
それがまた魅力的で単純な若い男よりいい
 
主人公はペキンパー監督の
父親をモデルにしたそうです
貧しい人からは料金も取らない
正義を貫いた弁護士だったそうです
 
それを思うとペキンパー監督の
映像に焼き付かれるような
暴力と残虐さも理解できる気がします
 
弁護士や銀行員のようなインテリにたかってくる
悪人の顔も知っている
 
だけど悪人と思う人間にも
彼らなりにルールがあるのです
炭鉱で働く兄弟には
ひとりの嫁をわかちあうという決まりがありました
 
そんな場所に勝手にやってきたのは
小娘のほうなのです
 
この娘が、もう少し顔も
頭のイイ女だったらともかく
 
一方の兄弟もバカ兄弟
(毒舌失礼)
 
「一発決めるか」
「先に行け」
こんな名言さえ、もったいない
 
だけど、老いたガンマンが娘を助けたのも
理由があったのでしょう
それは仲間の若い男のためかも知れないし
娘の父親にささやかな食事を
与えてもらったことなのかもしれません
 
それとも、老いてまで
生きていたくなかったのかも
 
たぶん
 
きっと
 

【解説】allcinemaより
カリフォルニアの鉱山で掘り出された金を町の銀行へ預けるため、搬送人として元保安官のスティーヴが雇われた。責任重大な任務を受けたスティーヴは、旧知の仲のギルとその若い相棒ヘックを助手に抜擢すると鉱山へ出発。道中立ち寄った家で会った若い娘エルザも、恋人のビリーが鉱山で働いていることから三人と同行することになった。だが一行が鉱山に着いた時、ヘックがエルザをめぐってビリーたちハモンド兄弟と対立してしまい、抗争の火種を作ることに。一方、ギルとヘックは元々計画していた金の強奪に及ぶもスティーヴに見つかり失敗してしまう。そんな中、一行はハモンド兄弟の襲撃に遭うのだが…。
 金山からの金塊輸送を引き受けた元保安官とその旧友。途中で同行するようになった少女が原因で、やむなく鉱夫の荒くれ兄弟と対決する事になるが……。もう若くはない主人公の一徹な生き様は、後のペキンパー作品の男たちに通じるものがあり、密かに裏切りを企む旧友との友情も泣かせる。西部劇スターとして名を馳せたR・スコットとJ・マクリーはこの作品を最後に引退したが、それにふさわしい名編となった。