コンドル(1975)





いいオープニングです
ニューヨークの街角、メロウな音楽

おおらかで優男なターナーロバート・レッドフォード)は
書物の内容を解読する分析官
あらゆる本を読み、その知識量は莫大なもの

職場の同僚たちのランチの買い出しのあと
仕事場に戻ったら全員が殺されていました
実はターナーはCIAの局員だったのです
コードネームは「コンドル」

彼は石油原産国での仮想石油戦争の立案を
独断で実現しようとしていた
CIA本部の計画を暴いてしまっていたのです
自分でも気づかずに

追っ手を、本から得た知識ひとつでかわしていくのが面白い
敵の行動を予測し錯乱させる

キャシー(フェイ・ダナウェイ)という写真家の女性を脅し
彼女の家を隠れ家にします
最初はターナーに怯えていたキャシーですが
彼を信じ助けていくようになるのです
(相手がレッドフォードだからよね・・)

フェイ・ダナウェイが意外にも従順で可愛い
こういうドMな演技もするんですね
(相手がレッドフォードだからよね・・その2)

そしてCIAに雇われたフリーの殺し屋
ジョベア(マックス・フォン・シドー)がいいですね
冷静かつ冷酷で、確実な仕事ぶり
一瞬の迷いもありません

だけれど、ひとたび任務を離れたなら
とても親切で紳士的なのです

仕事の鬼だと思っていたのが、実は優しい男だった
こういう二面性にオンナは弱い
私はレッドフォードよりカッコイイと思ってしまいました(笑)
(90歳近い今でもカッコいい)

鮮やかな幕切れ
しかし主人公はたったひとりで
巨大な組織に太刀打ちできるのでしょうか

殺し屋の言葉が心に残ります

「先は知れてるぞ、目に見えるようだ
 君が歩いている、春浅い日差しを浴びて
 すると車が横に止まり、ドアが開き
 君が信頼してる人間が車から降りる
 作ったような笑いを浮かべてだ
 ドアは開いたまま、君は乗らざるをえない」



【解説】allcinemaより
実はCIAの下部組織であるNYのアメリカ文学史協会が何者かに襲撃され、局員は皆殺しにされた。偶然、その現場に居合わせなかったため命拾いをしたコードネーム“コンドル”はCIAと緊急連絡を取り落ち合う事にするが、その場所でコンドルを待っていたのは上司から向けられた銃口だった……。CIA内部で起きている陰謀と、その渦中に放り込まれた男の逃走を描いたサスペンス・スリラー。重厚なキャストが光る一編だが、なんといっても知的で静かな謎の殺し屋に扮したM・V・シドーの凄みが良い。D・グルーシンのテーマ曲に彩られて展開されるオープニングから、冒頭の殺戮シーンまでのテンション高し。