無法松の一生(1958)

せつなくて、心が痛くなる

こんな感動作があるなんて




芝居小屋への入場を断られたことに腹を立てた
「無法松」のあだ名で知られる松五郎(三船敏郎
腹いせにニンニクを燃やしたうえ、乱闘騒ぎまでして
なんてやんちゃで、困った男だと思ったのですが(笑)

でも見ているうちに、なぜ彼がみんなから慕われているか
その魅力にだんだんと気が付いていきます

木からから落ちて足を痛めてしまった少年、敏雄を助けたことで
無法松は少年の両親の吉岡大尉(芥川比呂志)と妻良子(高峰秀子)と知り合い
やがて親しく交友を交わしていきます

しかし大尉が急死、女手ひとつで子育てする良子を
無法松は気にかけ、何かと手助けすることになるのです

それは無法松のやさしさ、人助けでした
品が悪くて荒っぽいけど、女性の前ではやさしく
ちゃんと行儀も良くします





それがある日、酒を飲みに行った居酒屋で
富久娘」のポスターの美人画
良子の顔を見てしまうのです

良子のことが本当に大切な人だと
気が付いてしまうのです

だけれど車男と軍人の妻
男が自分より身分が高い女性と結ばれるなど
ありえない時代

繊細な飴細工のような心を持つこの男は
尽くすだけの愛しか貫けなかった
好きだと言えば良かったのに・・

祇園太鼓を敲く姿は勇壮で素晴らしい

こういう不器用な男ほど
幸せにしてあげたかったな

真実の愛
それは母子のために蓄えた
ささやかな身銭を集めたものでした
その愛を知った涙

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【解説】allcinemaより
 岩下俊作の代表作『富島松五郎伝』二度目の映画化。1943年に伊丹万作の脚色を監督した稲垣浩が、自身の手でリメイクした。一作目は検閲によりカットされたシーンがあり、それを復活させるべく再映画化したという。ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した。この後1963年と1965年にも映画化されている。
 “無法松”という愛称を持つ人力車夫の富島松五郎は、木から落ちてケガをした吉岡敏雄という少年と出会う。家に送り届けた松五郎は敏雄の父の吉岡大尉に気に入られ、家に出入りするようになる。しかし大尉は雨天の練習で風邪をこじらせ、妻の良子と敏雄を残しこの世を去った。残された二人は松五郎を頼りにし、松五郎も二人の面倒を見るようになるのだが…。