決してハンサムとは言えない風貌
だけど、このエレガントさは他にはない
ダンスにいたってはもう神業
ミュージカルで、映画で成功し
アステアの長いキャリアの中での頂点と言われている作品
ミュージカル・ナンバーは最高でしょう
トニー・ハンター(アステア54歳)は
かっての映画スター、でも今は誰も見向きもしません
でも彼は明るい
自分の身の丈を知り、大きなことも望んではいません
舞台の依頼をうけ、NYへ
新進の演出家に、新進の若いバレリーナ
こりゃ自分には無理だと思いつつも
なんとか公演までたどりつきます
だけど大ゴケ
そこでも落ち込まないのがいい(笑)
仲間と地方巡業だ
皆がもう古いと思っていた
トニーのスタイルの舞台は大成功
そして諦めていた恋も手に入れます
実際にも彼はとてもシャイで紳士で
周囲から好かれていたようです
晩年には若い奥さんももらったそうで(笑)
落ちぶれた中年男子も、そう悪いもんじゃない
まだまだやれるんだと
元気になれる作品でした
【解説allcinema】より
MGMミュージカルの熱烈なファンはまず本作をベストに上げる。有名なラスト・ナンバー“That’s Entertainment”に胸躍らせない人はいないだろう。それがMGMのテーマ曲ともなり、アンソロジー映画の題名にそのままなった。アステアの落ち目ダンサーが再び成功を目指すという、バック・ステージものだが、彼が共演するのが新進バレリーナのS・チャリシー。彼女がまたぐっとモダンな女の子で、往年の伊達男も戸惑うことばかり。しかし、彼は生来の粋人(そう、まるでアステアその人なのだ)、次第に彼女のハートを射止め、一度は失敗した舞台も自分達で創り変え、新たな成功を収める。そんな内容が、当時の最前衛のダンス表現にアステアを取り組ませることになり、非常にクリエイティブな成果をあげた(振り付けはマイケル・キッド)。特に“ガール・ハント・バレエ”の場面は、沢山のエピゴーネンを生んだ。