巨人と玩具(1958)




「人間らしく生きたかったら、どこか遠い国へ行け!
 ここはニッポンだぞ!!」


社会風刺映画ということ。

菓子業界のキャラメル消費争奪戦に宣伝合戦。
町でスカウトした娘をグラビアでデビューさせ
イメージキャラクターとしてCMアイドルにしていく・・・

なんとなく芸能界のイメージは現代と変わりませんね。
もっとも今では女の子のほうがスカウトされたくて
原宿をうろつく娘もいるらしいですけれど。

でも昼も夜も公私なく上司とつきあい
ここまで会社人間なサラリーマンは
今ではさすがに少ないでしょう。

高度経済成長の勢いは感じる作品でしたね。
仕事人間の宣伝部長はキャラメルを売るために
あらゆる手段を考えます。
テキトーでスケベなんだけど才能はある一流カメラマン。
無垢なアイドルをお高い大スターに変貌させるマネージャー。

しかし真面目で正義感が強い主人公は
だんだんとがむしゃらに働くことが間違っていると思ってしまう。
処世術に長けたものが成功することに共感できず
仕事に恋に人間関係に悩み苦しむ。

しかし突如
宣伝用の宇宙服を着て街に出て行った主人公。
本物の企業戦士に目覚めてしまったのでしょうか。
(ちょっと丸投げのラスト・・笑)

主演者それぞれのセリフは、なかなか社会の的を得ていて
今聞いても納得できるものが多いですね。
原作は開高健さん、読んでみるのもいいかも知れません。



【解説】NHKオンラインより
製菓会社宣伝部の新人・西は、やり手の上司・合田を尊敬して、自分も宣伝の鬼になろうと考えている。売り上げが落ちているキャラメルの特売宣伝のため2人は、街で声をかけた虫歯だらけの小娘・京子に注目する。合田の知り合いの写真家・春川を通じて売り出し、またたく間にスターになった京子を会社の広告塔に仕立て上げていくが…。巨大な消費社会にもてあそばれながらも、たくましく生きる青春像を力強いタッチで描く。