第七の封印(1956)

 
10代の頃、「野いちご」「ファニーとアレクサンドル」を見たきりで。
当時の私にはまったく理解できなかった記憶があります。
 
この作品もタイトルからして大丈夫かな?
と不安でしたが、面白かったですね。
 
黙示録も第七の封印もよくわからない私にとって
この作品の真意を読み解くことはできませんが
ひとつひとつのシーンの演出は私好み。
 
特に好きなのは妻が役者と駆け落ちしてしまい
メソメソと泣いている鍛冶屋をヨンスが励ますところ。
女が、結婚が、面倒な理由をあれこれ並べたてるのです。
旦那の気持ちが知りたい奥さん必見(笑)
 
鍛冶屋が妻と再会した場面もいい。
いちいち解説をいれるヨンスが可笑しい(笑)
 
そして浮気した役者の前に現れた死神。
ノコギリでいそいそと木を切り始めます。
死神ならそんな労働しなくても殺せるでしょ?
役者もその間に木から降りて逃げろよ!(笑)
 
だいたいこの死神、懺悔部屋でチェスの手を聞くのもセコい(笑)
なに教会職員に化けてんだよ!
 
暴力やペストの流行という
世の中が死で包まれた時代
だけどどこか牧歌的でのんびりしています。
 
それは人のいい旅芸人ヨフの夫婦とその子どもがいるから。
彼らは騎士のアントニウスのように信仰深くはないのでしょう。
一番大切なのは、愛しているのは、神様ではなく家族です。
 
なのに神の存在を知りたいアントニウスは神に近づくことができず
ヨフは近所の奥さんを見るようにマリア様と逢えます。
 
神からの「救い」は人間が望んで行われるものではない・・
神が人間の意志とは関係なく審判を下す
そういうことなのでしょうか。
「死」も同じ。
 
死神と手をつないで丘を登るラストも印象的でしたね。
楽しく踊っているように見えます。
彼らは生きる苦しみから、悩みから、解放されたのでしょう。
 
「世界映画史上3大監督の1人」との呼び声もある
ベイルマン監督作品の中でも1、2に難解だそうですが・・
なぜか私は楽しんで見ることができました(笑)
 
さすがの名作だと思います。
お気に入りで。
 

 
【解説】allcinemaより
十字軍から生還した騎士アントニウスは、帰途、死神と出会いチェスの勝負を行なう。騎士が勝てば、死を見逃すというのだが……。生と死のイメージに満ちた幻想的な作品。タイトルは、黙示録に記された世界の終末を示す7つの徴(しるし)から採られたもの。