シェルブールの雨傘(1963)






綺麗な映画です。

パステルカラーの見事な色彩。
ピンクや赤や水色のインテリアやファッションが
少しも下品でなく可愛らしい。

たとえ興味がなくてもかまわない。
この綺麗さだけでも楽しんで。

ヒロインのジュヌヴィエーヴ(カトリーヌ・ドヌーブ)はもちろん
母親のエムリー夫人も
恋人だったギイと結婚するマドレーヌも
女性としてとても美しく魅力的。

そしてオペラのように物語は歌声で展開していきます。

17歳の少女ジュヌヴィエーヴと20歳の青年ギイの恋。
若さゆえそれは激しく燃えて当然だと思います。
後先を考えず求めあってしまうこともあるでしょう。
だけどアルジェリア戦争で戦地に赴任したギイ。
やがて手紙も途絶えてしまいます。

10代にとって好きな人と逢えない
1年、2年という月日は莫大に長いもののような気がします。
妊娠しているため情緒的な不安もあったことでしょう。
家が経済的に窮地に立たされていた理由もあったことでしょう。

ジュヌヴィエーヴは富豪の宝石商、カサールの求婚を受け入れます。

ギイを待てなかったジュヌヴィエーヴは冷たかったのでしょうか。
それとも戦争のせいにして手紙を書くことを怠ったギイのほうが悪いのでしょうか。
まだ若かったのです、自分が優先になってしまうのは当然。

ギイもまた戦地から帰還後、地味だけどやさしい
幼馴染マドレーヌの愛情を受け入れます。

すごく現実的で冷めているよう。
だけれど、ふたりはお互いの約束は守ります。
本当に好きだったから。

「子供が出来て男の子だったらフランソワ
 女の子だったらフランソワーズにしよう・・」

雪のガソリンスタンドでの偶然の再会と
別れのシーンは名場面です。

映像も、音楽も、女性も、全てが綺麗。

「女性の美しさはフランス映画で学べ」
お気に入りでお願いします。



【解説】シネマトゥディより
互いに愛し合っていた傘屋の少女と修理工の若者が、戦争に引き裂かれ、別々の人生を歩くまでを描くミュージカル。フランスの名匠ジャック・ドゥミ監督は語り調のセリフを排除。すべてを歌で表現する大胆な歌曲形式を採用して、観る者の心を強く揺さぶる感動ドラマを撮り上げた。ヒロインはフランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴ。作曲家ミシェル・ルグランのポップな楽曲と、歌って踊るドヌーヴの魅力が全開の悲恋物語に心酔する。