ヒット・パレード(1948)




以前見たことのあるゲイリー・クーパー主演の映画と
実によく似ているなと思って鑑賞したのですが
それもそのはず、リメイク版だったのですね。

教授と美女」のほうが、さすがのビリー・ワイルダー節満載で
面白さには長けていると思います。

しかしこちらの「ヒットパレード」は実に見事なメンバー。
トミー・ドーシー、ライオネル・ハンプトン
チャリー・バーネット、メル・パウエル、ルイ・ベルソン・・・
これはスイングファンにはたまらない。
思わず笑みがこぼれてしまうこと間違いなし。笑

屋敷に閉じこもって音楽の研究をする教授7人。
しかし窓ふきの黒人青年二人に出逢ったことで
自分たちがいかに流行遅れなのかを知ります。

教授たちの中ではリーダー的な存在のダニー・ケイ
夜の街に出て、ミュージシャンたちに研究に協力してくれと頼みます。
そのなかのひとりヴァージニア・メイヨは大物ギャングの女。
警察から逃れるために教授たちの屋敷へと逃げ込むのです。

細かな演出はさすがにオシャレですよね。
ダンスホールやクラブでのミュージシャン達のカッコイイこと
ピアノマンの煙草の扱いなど小物の使い方も粋です。

朝現れたヴァージニア・メイヨが降り向いたら
後ろに布がなくて下着姿だったり
「ヤムヤム」を教えると厚い本を踏み台にしたり
初心な男と世間を知り尽くした女のコミカルなやりとり。

でもやはり見どころは演奏シーンでしょう。
これだけのメンバーをそろえたセッションを
映像ととして残したことは大きな財産。
とても価値があることだと思います。

言葉が通じなくても
国や宗教や人種が違っても
男と女でも
音楽は人と人が通じ合える素晴らしいもの。
素晴らしい音楽は誰にでも感動を与えてくれる・・
そんなメッセージが伝わってきます。

映画のストリーと音楽の組み合わせ方も巧かったですね。
スイング好きな方には絶対はずせない1本でしょう。



【解説】allcinemaより
 '41年の「教授と美女」をホークス自身が、同じゴールドウィン製作の下で再映画化。あちらは戦時中の作品で遂に劇場にかからぬままビデオ化。こちらは「虹を掴む男」でのD・ケイ人気で、日本でもちゃんと公開した。でも出来はというと、断然、前作に軍配があがります。“Ball of Fire”から“A Song Is Born”と原題も変わって、本作はセミ・ミュージカル。よって、前作でゲイリー・クーパーが演じる言語学研究は、音楽史編纂に変更されている。D・ケイは、ジャズの研究のため、ナイトクラブを徘徊するうち、ギャングの情婦で歌手(オリジナルではダンサー=バーバラ・スタンウィック)のV・メイヨと知り合う。そして、研究室に押しかけられて……、後は両者同じ展開。喜劇としてのテンポが弱い分、盛りだくさんの音楽(サッチモ、B・グッドマン、T・ドーシー他、実に豪華)で補おうってわけで、それはそれでゴキゲンに楽しめます。