劔岳 点の記(2008)





以前、タモリさんの深夜番組で
「地図マニア」という人たちの存在を知りました。

私には地形や標高の何が魅力かわかりませんが。笑
たぶん自然が作り出した、人間には太刀打ちできない
壮大な偉大さに魅了されるのはないでしょうか。

明治後期、 日本地図に最後に残った空白地帯、剱岳
そこに三角点を設置するために挑んだ
陸軍現地測量隊(現・国土地理院)と
それを支える地元の住民の物語。

冬山の登山は厳しい、素人の私でも想像つきます。
スキー場のリフトでさえ凍える思いをするくらいですもの。
それが今のようなキャンプ用具や食料
防寒に優れた衣服や靴の装備がある時代ではありません。

それは命がけの任務、「国」へのための使命。
なんとしても成し遂げねばならないのです。

でもなにかな、スマートな作品でしたね。
もう少し限界、飢え、寒さ
自然の獰猛な脅威が描かれていればいれば良かったと思います。

この作品の欠点、それは
恐怖がなかった・・

そして前人未到の登頂のはずが、軍に認められなかった
怨念、それも感じたかった。

とはいえ、さすがの木村大作様のカメラでございます。
立山連峰の四季の山並は目を見張る素晴らしさ。
そのままJRのCMを見ているよう
旅する気分を満喫できます。

ただ、いまの私たちはこの殺漠とした今に
感動を求めているのだと私は思うのです。

きっとこの作品にも登頂の感動を求めたかった
地図作成の達成感を求めたかった。
たとえ挫折でもいい、潔さを求めたかった。

物語的には、宙ぶらりんで終わった気がします。

でも、もしも昭和な作品で
高倉健さんが健在で主演だったら
また違った名作が出来たかもしれません。



【解説】allcinemaより
日本映画界を代表する名カメラマン木村大作が自ら初監督に挑み、新田次郎の同名小説を完全映画化。明治時代末期、国防のため日本地図の完成を急ぐ陸軍の命を受け、最後の空白地点を埋めるべく前人未踏の難峰・劔岳に挑んだ男たちの命を懸けた真実の物語を圧倒的なスケールで描き出す。実際に劔岳立山連峰各所でロケを敢行、測量隊と同じ行程をほぼ忠実に辿る危険と隣り合わせの過酷な撮影の末に実現した雄大さと迫力に満ちた映像美に注目。出演は「モンゴル」の浅野忠信と「トウキョウソナタ」の香川照之
 明治39年、陸軍参謀本部陸地測量部の測量手、柴崎芳太郎は、国防のため日本地図の完成を急ぐ陸軍から、最後の空白地点である劔岳の初登頂と測量を果たせ、との命令を受ける。立山連峰にそびえ立つ劔岳は、その険しさから多くの者が挑みながら誰一人頂上を極められずにきた未踏峰の最難所であった。さらに、最新装備で初登頂を目指す日本山岳会という強力なライバルが出現、測量隊には陸軍のメンツという重いプレッシャーがのしかかる。そんな中、柴崎は前任の測量手・古田盛作を訪ね、信頼できる案内人として宇治長次郎を紹介される。そして翌40年、柴崎たち測量隊一行は総勢7人でいよいよ劔岳の登頂に臨むのだったが…。