ピアという１１歳の少女が暴行され殺されました。
事件は未解決のまま時を経て
担当刑事は定年退職を迎えます。
そして２３年後の同じ日に、同じ手口で
１３歳の少女、ジニカが行方不明になってしまいます。
この作品は事件を解決する、というよりは
事件にかかわった、巻き込まれてしまった人々の
心情を描いているものです。
殺されてしまった娘の親の無念な気持ち、たとえようのない後悔
事件を解決したい刑事の執念
そして異常な性的嗜好を心に秘めた者の寂しさと限界・・
誰もが抑えきれない悲しみを背負いながら
でも普通に働き、人付き合いをし、食べて寝て暮らしているのです。
「お前も興味あるんだろ？」
大学生ティモはマンションの管理人をしているゾマーに声をかけられ
ゾマーの部屋で少女が映し出された8ミリを見ます。
そのゾマーがピアを襲い殺してしまった。
ゾマーから逃げるティモ。
結婚して苗字を変え、妻と子どもたちと平和に暮らしていました。
だけどジニカの事件をニュースで知り
死んだピアのことを思い出してしまいます。
そしてゾマーに会いに行ってしまう。
ティモが自殺したのは罪の意識からではありません。
本当はゾマーと同じ小児性愛なのだと認めたのです。
もう家族のもとには戻れない・・
ゾマーと同じ道しか進めない。
ゾマーは最初からティモが同じ嗜好だと気が付いたのでしょう。
移民のかれは親友に出逢ったような気持ちだったのかもしれません。
だから再会したかった、分かり合える相手と。
エゴが生み出した悲劇。
子を失った親はこの先どう生きて行けばいいのでしょう。
夫が殺人犯になってしまった家族はどう暮らせばいいのでしょう。
犯罪映画として盛り上がりには欠けますが
リアルで深さのある作品だと思います。
かなり歪んではいますけれど。
