モナリザ(1986)




主題はかなわない恋の物語なのですけれど。
(かなわない恋=変態なのですけど)

スタイルは「タクシードライバー」と似ています。
主人公は冴えないオッサンですが。
「ロジャー・ラビット」とか「スーパー・マリオ」の人よねえ。笑

ボスの身代わりとして7年の刑期を終え出所したジョージ。
元妻からは拒絶され親友のトーマスに面倒をみてもらいます。
ボスのモートウェルには貸しがある。
仕事をもらおうと訪ねてみましたが彼に会うことはできませんでした。
昔と違い立派な男になったようです。
代わりに手下から高級娼婦であるシモーヌ
車で送迎するという仕事をもらいます。

シモーヌが逢引きするお相手は高級ホテルか、富豪の豪邸か。
そんな場所に下品でチンピラのジョージは場違い。
ホテルの従業員は相手にしてくれません。
シモーヌもイラついてばかり。
だけどジョージには自分のどこが悪いのかわからない。

しかし時間が経つにつれ、バカだけど純朴なジョージに
シモーヌは打ち解けていきます。
ジョージもまたシモーヌに好意を抱いていきます。
やがて、ひとりの少女を救ってほしいとシモーヌに頼まれます。
ヒモにより暴力と麻薬で支配され、売春をさせられている少女。

好きな女性に懇願されては断れない。
それにジョージにも同じ年頃の娘がいました。
少女たちが自分の娘の姿に重なったのでしょう。

放っておけない・・
彼の中の正義が目覚めます。

しかしその少女はシモーヌの愛する女性だったのです。
シモーヌはまだ子どもともいえるような女の子が趣味なのです。
それはジョージには決して理解できない世界でした。

ちなみに少女たちがアイスクリームをねだるのは
彼女らがまだ子どもだからではなく
麻薬常習者特有の反応なんだそうです。

ジョージの親友である、推理小説マニアで造形家?の
トーマス(画像右)がいい人ですね。
彼の人柄が作品に温かみを加えてくれて支えになっています。
最後に残ったのは友情でした。

二ール・ジョーダン監督の作品って変態だけど
不思議と暖かい気持ちで見終われます。
これが終わりじゃなくて、これからがスタートみたいな
そんなラストの描き方だから気持ちいいのでしょう。



【解説】allcinemaより
高級コールガールの運転手になった刑務所帰りの男ジョージ。彼はシモーヌというコールガールから、行方の分からなくなった妹分の捜索を依頼される。調査をするうち、ジョージは次第にシモーヌに惹かれていくが……。夜のロンドンを舞台にしたミステリアスなアクション。タイトルは、ナット・キング・コールの同名ヒット曲から採られた。
<allcinema>