瀬戸内少年野球団(1984)




「こうして墨を塗った日の事、君たち、大人になっても覚えていてね」



見るのは初めてですけれど
「イン・ザ・ムード」といったらもう「瀬戸内少年野球団」ですよね。笑
舞台は戦後まもない淡路島。

終戦後、日本人の生活は急激に変わっていくのですね。
特に教育現場で子ども達の学習は激的に変わります。
その変わりようは黒電話から
いきなりスマホになったようなもの。
途中のプッシュホンやポケベルはありません。

教科書に書かれていることは黒く墨で塗られ
いままで受けてきた思想教育はなくなります。
横書きの文字が左から右へ。
米国進駐軍兵士がばらまいたガムやチョコを拾う
男女共学になる。
英語の授業が始まる・・・
今まで信じていたもの、学んでいたものが
すべて覆されるのです。

それでも戸惑いながら、アメリカの文化を受け入れていく
当時の日本人はとても貧しく、苦労したのだろうけれど
逞しいなあと思います。

この作品、野球の方はあまり関係ありませんね。笑
話の軸が何なのかはっきりしない作品ではありましたが
思春期の少年少女の初恋物語の部分は
それなりによくできていたのではないかと思います。

海軍提督だった父親と一緒に
都会から島にやってきた女の子、武女(むめ)。
同級生だけどちょっと大人っぽい彼女。
島の男の子たちは提督を進駐軍の手から守ってやると誓い合います。

級長の竜太と武女はそのうち、お互いを気になりだします。
だけど親友の三郎も武女のことが好きでした。
クラスで彼女の隣に座るのも三郎。

後先考えずに、思ったことを行動してしまう三郎と
真面目でナイーブで勇気のない竜太。

父親が戦犯として逮捕されシンガポールで処刑された武女は
兄のいる東京に帰ることになりました。
出港する船を見送りに来たのは三郎でした。
竜太じゃなかった・・

泣いてしまう武女・・・
去っていく船。
竜太もまた教室でむせび泣いていました。

実らない恋の
細やかな切ない心情が伝わってきます。

夏目雅子さんはやっぱり可愛かったですね。
担任の先生があんなに綺麗だったら
男の子はときめいて勉強がてにつかないかも?笑

ところで私、野球は詳しくないのですが
犬がボールを加えてもプレイは成り立つものなのでしょうか?笑



【解説】allcinemaより
作詞家・阿久悠の自身の郷里・淡路島での少年時代をつづった同名小説を篠田正浩監督が映画化。敗戦直後の淡路島を舞台に、初めてする野球に夢中になっていく少年たちと戦争の影を引きずる大人たちの姿をノスタルジックに描く。昭和20年9月。淡路島の国民学校。敗戦によって、この学校でも軍国教育から民主主義教育に変わり、子どもたちにも少なからず戸惑いが生じる。5年男組の担任の駒子先生(夏目)は新婚直後に夫・正夫(郷)が戦死、嫁ぎ先の家に留まるべきか悩んでいたが……。