毛皮のヴィーナス(2013)

 
 
 
 
あけましておめでとうございます。
 
 
今年初めてのレビューはポランスキー監督の「毛皮のヴィーナス」。
今年もみなさんの期待は裏切りません。
(何の期待よ?笑)
 
ヒューマントラストシネマ有楽町で鑑賞。
 
マゾヒズムという言葉を生んだマゾッホの「毛皮を着たヴィーナス」を
現代風にしたサスペンスコメディ。
こういう作品の場合ジャンルをどこにしたらいいのか迷うわけですが・・
これはもうSMという書庫をつくるしかないかも?ですね。笑
 
うらぶれた劇場に遅れて舞台のオーディションにやってきた
ヒロインと同じ名前の女性ワンダ。
演出家のトマは若くもなく美しくもない彼女を軽くあしらおうとしますが
なかなか引き下がらないワンダにしかたなくオーディションを始めます。
 
しかしワンダが衣装に着替えセリフを発したその途端
トマはワンダの虜になってしまうのです。
 
原作が古典のせいか、私たちがとっさに想像するSMプレイというよりは
精神的に禁欲的な物語でしょう。
でも本物のマゾとは禁欲こそに快感を覚えるのかもしれませんね。
ご褒美をもらえるために、ご主人様の命令を待つ犬のように
従うことに幸せを感じるのです。
 
トマにはいい関係を築いている聡明で美しい恋人がいます。
それは申し分ない理想的な女性。
だけれど心の奥では抑えている別の性癖があるのです。
 
そんなトマの心を見透かすように演技をするワンダ。
召使にする、首輪をする、ハイヒールをはかせる。
ワンダの命令に刺激され疼くトマ・・・
 
トマの脚本を完璧に覚え、その役をこなすワンダは
どこからやってきて、そして何者なのか?
 
鑑賞した人によってさまざまな解釈があるようですね。
ポランスキー監督と私生活での妻である
(ワンダ役の)エマニュエル・セニエの実際の関係だとか。
 
私の解釈ではオーディションに現れたワンダは本物のワンダなのです。
トマが心に描いていた「毛皮を着たヴィーナス」に描かれていた女神。
 
虐められたい欲望と願望・・・
 
それを叶えるために現れた女神。
そう、ワンダはトマを支配しているようで
実はトマに尽くしているのです。
 
彼がどう感じるのかを知っているから・・
 
 
 
 
 
 
こんなしょうもないムービーファンですが・・ 
今年も、どうぞよろしくお願いたします。笑
 

 
【ストリー】シネマトゥディより
高慢で自信に満ちあふれている演出家トマ(マチュー・アマルリック)は、あるオーディションで無名の女優ワンダ(エマニュエル・セニエ)と出会う。品位を全く感じさせない彼女の言動や容姿に辟易(へきえき)するトマだったが、その印象とは裏腹に役を深く理解した上にセリフも全て頭にたたき込んでいることに感嘆する。ワンダを低く見ていたものの、オーディションを続けるうちに彼女の魅力に溺れていくトマ。やがて、その関係は逆転。トマはワンダに支配されていくことに、これまで感じたことのない異様な陶酔を覚えてしまう。