弁天小僧(1958)


 
 
「知らざあいって聞かせやしょう!
 女にばけた雷蔵がさつとぬいだ緋ぢりめん!
 きったタンカは日本一!」
 
歌舞伎の世話物「青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)」
通称「弁天小僧」の映像化ということ。
 
作品は知りませんでしたがこのセリフは聞いたことがあります。
それだけ有名な演目なのでしょうね。
 
江戸で博打をやりながらチンピラのような生活をしている菊之助
牢に閉じ込められたお半を助けたのかと思ったら
イキナリ手籠にして、売り飛ばしてやろうと企むとんでもない奴。
でも病気の父親のいるお半に同情してしまい
同情はやがて愛情へと変化していきます。
 
菊之助には実は幼いころ生き別れになった父と妹がいました。
父は老中筆頭松平にゆすられており
妹が伊織の息子の嫁にさせられることになります。
父と妹を助けようとする菊之助
 
雷蔵さん、さすが歌舞伎役者だなああという感じで。
女装もまったく違和感がありません。笑
声もいいですね。
 
チョイ悪だけど純真で、色気があって美しい男。
当時の雷蔵さんはきっとかなりの人気で
そして女性にモテていたのだろうというのが
ビンビンと伝わります。
ヒロインのお半さん演じる女優さんも
高峰秀子さん風な顔立ちで綺麗ですが
雷蔵様の魅力で最後まで引っ張っている作品でしょう。
 
スカッとするというよりは
ちょっと切ないラストシーン。
無数の御用の提灯でいっぱいになる画面は圧巻ですね。
どうかお半さんと一緒に
「菊さまあ~~」と叫びながら涙してください。
 

 
【解説】allcinemaより
河竹黙阿弥による歌舞伎『白浪五人男』を映画化。女装した弁天小僧(市川雷蔵)が両肌脱いであぐらをかき、啖呵を切る見せ場が有名。手を付けようとした小娘に騒がれた雲州公が、彼女を座敷牢に閉じ込めたという噂が立った。悪旗本の鯉沼伊織はそれをネタに強請ろうと雲州邸に乗り込んだ。しかし娘お半はすでに、町のやくざ弁天小僧に連れ出されていた。弁天小僧はお半を売り飛ばすつもりだったが、その純情さにうたれ、金を持たせて、病気の父のもとへ返してやるのだった。