舟を編む(2013)


 
 
辞書を作る仕事、そういうストリーと思って鑑賞しましたが。
どちらかといえば人間関係や夫婦愛を描いている・・
私にはそういう作品に思えました。
 
学歴もあって優秀なのだろうけれど
口下手で人づきあいが苦手
要領も、もの覚えも悪い
「本当にコイツは頭がいいのか?」と疑う新入社員、いますよね。笑
 
辞書編集部に配属された主人公の「マジメ君」な光也も
そんな真面目だけれど不器用な青年。
最初は仕事も、同僚との関係もうまくいきません。
そんな彼を励ます大家のおばちゃん。
そしておばちゃんの板前を目指す孫娘、かぐやに光也は恋をします。
 
現実に光也のような無口すぎる男性であれば
あまり女性にモテるとは思いませんが。
でも真面目だし、浮気もしないだろうし、安定した仕事だし
結婚するならこういう男性がイチバン!という
そういう(作者の)女性心理はわかります。笑
 
気が付いたらかぐやと結婚しちゃっていた光也。
 
驚いたのは辞書作りには12年もの歳月がかかるということ。
新しく生まれたことば、使われなくなったことば
よりわかりやすく、よりシンプルに解説する・・・
辞書って読む相手のことを常に考えて編集されるものなのですね。
 
この作品を見たなら、今までとは
辞書を引くときの気持ちが少し変わるでしょう。
あたりまえに身の回りにあるものにも
たくさんの人間がかかわっているのです。
 
家に帰ってまで地味な作業の続き。
何日も編集部に泊まり込みでの仕事。
何も言わずに黙って支える妻。
一緒に励ましあいながら働く仲間たち。
 
配役が手堅く、とにかくいいですね。
特に終盤に登場する松本先生の妻役の八千草薫さんが素敵。
八千草さんはどの作品でも主役を張るような女優さんではないですが
本当に花があって、癒し系で和みます。
何歳になっても「可愛らしい」って素晴らしいですね。
 
あまり期待していなかったけれど
コミカルな部分もあり、思ったより面白かったです。
あの古風すぎるラブレターは、イマドキまさかないでしょうけど。笑
 

 
【解説】allcinemaより
2012年本屋大賞第1位に輝いた三浦しをんの同名ベストセラーを松田龍平主演で映画化した感動ドラマ。新しい辞書の編纂という一大事業に取り組む辞書編集部に配属されたマジメで不器用な青年が、地味で気の遠くなるような作業のなかで個性豊かな編集部員たちと織り成す人間模様と、板前を目指す下宿先の孫娘との恋の行方をユーモラスかつハートウォーミングに綴る。共演は宮崎あおいオダギリジョー黒木華。また、八千草薫小林薫加藤剛らベテラン勢が脇を固める。監督は「川の底からこんにちは」の石井裕也
 1995年。玄武書房に勤める青年・馬締光也は、真面目すぎる性格ゆえに営業部で浮いた存在。そんなある日、彼は言葉に対するセンスを買われて辞書編集部に異動となる。迎えたのは、定年間近のベテラン編集者・荒木やお調子者の西岡ら個性あふれる面々。辞書編集部では現在、新しい辞書『大渡海』の編纂に取り組んでいた。馬締は彼らを通して辞書の世界の奥深さに触れ、辞書作りに没頭していく。そんな馬締がある夜、下宿先の大家と同居することになった板前修行中の孫娘・林香具矢と出会い、一目惚れしてしまう。言葉を扱う仕事をしていながら、彼女にうまく自分の思いを伝えられず苦悶する馬締だったが…。