ハノーバー・ストリート/哀愁の街かど(1979)


 
 
メロドラマが似合いませんねえ、ハリソン・フォード。笑
ここまで恋愛映画が不向きな俳優さんて珍しいと思います。
 
夫と娘のいるイギリス人女性であるマーガレットを愛してしまった
アメリカ軍のB25爆撃機パイロットのハロラン。
彼は偶然にもマーガレットの夫であるポールとともにナチ占領下のフランスで
ナチス軍の機密書類を手に入れる任務に就くことになってしまいます。
(史実上ではB25がイギリスに配備されたことはないそうです)
 
人妻とパイロットの不倫はイマイチ盛り上がりませんでしたが。笑
陸軍情報部でドイツ語と英語を流暢に使い分ける
ポールのスパイマスターとしての仕事ぶりは私の好みでした。
 
優秀な部下を失い、自分だけが安穏な生活を送っていることに対する罪悪感。
もしかしたら妻の不貞にも気が付いていたのかも知れません。
自らの手で特殊任務に就く決心をするのです。
 
ハリソン・フォードもここからがいい。笑
というかクリストファー・プラマーが凄くいい。
 
ドイツ語が全く話せないけれどポールの部下のフリをして
ゲシュタボ本部に入り込むハロラン。
ポールの頭脳明晰さと、ハロランの若さと強さがうまくかみ合い
ふたりは力をあわせ書類を盗み出し、そしてイギリスへ生きて帰ります。
 
愛し合いながらもポールという一人の男を見捨てることが出来なかった
ハロランとマーガレット。
マーガレットに「親友よ」と囁くハロラン。
お互いがもう二度と逢うことがないと知っているから、だからこそ
さよならより素敵な別れの言葉に聞こえました。
 
酷評が多いようですが、中盤からラストにかけてはなかなか見ごたえありました。
ハリソン・フォードがドイツ語がわからず笑ってごまかす場面など
結構ドキドキしましたし。笑
ジョン・バリーの音楽も良かったですね。
 
まさか「哀愁」がモチーフだったとは
解説を読むまでまったく気が付きませんでしたが。笑
 

 
【解説】allcinemaより
ヴィヴィアン・リー主演の古典的メロ・ドラマ「哀愁」をモチーフにした戦争恋愛映画。第二次世界大戦下のロンドン。B52爆撃機の操縦士ハロランはふとしたきっかけで美しい女性マーガレットと知り合いたちまち恋に落ちる。マーガレットは夫や可愛い娘がいる人妻だが、不安定な情勢に疲れてハロランとの日々に心の安らぎを求め、不倫関係を続けていくのだった。そんな時、マーガレットの夫ポールが特殊任務のためドイツに潜入することになる。だが彼の輸送を担当するのは事もあろうにハロラン自身だった。そして悪い事にその爆撃機は目的地途中で敵の砲撃を浴び、一命は取り止めたものの飛行機は墜落し……。
 前半はハロランとマーガレットのメロドラマ。後半がドイツ軍とのアクションと“一粒で二度美味しい”状態の異色作なのだが、メロドラマ部の出来の悪さがたたってか、元来「カプリコン・1」など、アクションがお得意の監督にしては後半のサスペンス部などの緊迫感がもうひとつ。当時のロンドンの雰囲気を再現させたセットやJ・バリーの音楽がとても素敵な分、非常にもったいない作品である。