ザ・バンク 堕ちた巨像(2009)


 
 
なかなか面白かったです。
 
1991年に経営破綻した国際商業信用銀行「BCCI」(本作では「IBBC」)が
作品のモデルになっています。
テロリスト組織と関わり合いがあったとされています。
 
国際刑事機構(インターポール)の捜査官サリンジャークライヴ・オーウェン)と
NY検事局のエラ(ナオミ・ワッツ)は
IBBCの不法行為を追跡し悪の実態を暴いて行きます。
 
生々しい演出と、印象的なショットが鮮烈で素晴らしい作品でした。
雨のベルリン、ゲロを吐き倒れる情報提供者。
信号待ちで並んだ乗用車。
グッゲン・ハイム美術館での銃撃戦。
インスタンブール市街の屋根の上での追跡劇。
 
特にカルビーニが狙撃されるくだりは秀逸。
ホテルから頭部に照準を定めるスナイパー、しかし一発目を外してしまいます。
なのに倒れたカルビーニ。
なんとスナイパーはもう一人いたのです。
このコンサルタントという名の殺し屋がいい味出していました。
 
そして敵方のブレーンであるウェクスラー大佐を演じた
アーミン・ミューラー・スタールが落ち着いたいい演技をしています。
東ドイツ出身の俳優さんなんですね、雰囲気あります。
 
職務に人生を捧げた老人、しかし報われることはありませんでした。
IBBCを打ち崩すには法の枠から出ないとだめだと
サリンジャーに若かりし日の自分の姿を思い出した彼は
サリンジャーにそう伝えます。
 
ついに諸悪の根源だと思い続けていた銀行の頭取
スカルセンを追い詰めたサリンジャー
 
意外にも私、インターポールの捜査官が主役の映画って初めてかも知れません。
インターポールって逮捕や捜査が自由にできないんですね。
仕事のメインは集めた情報を各国の警察などの機関に提供すること。
そんな仕組みを知ることが出来たのは興味深かったです。
 
そして国力とは面積や人口や地下資源だけでなく
金融関連産業が強いかどうかが重要であるんですね。
現在でも作中のIBBCのような銀行を必要とする武器輸出入国や武器商人は
たくさんいるのでしょう。
 
 
スカルセンを始末するために
カルビーニ兄弟の雇った殺し屋の捨て台詞が空しく響きます。
結局何も変えることはできなかったのです。
 


 
【解説】allcinemaより
ワールドワイドな展開で難攻不落の巨悪に迫るポリティカル・サスペンス。違法行為に手を染める国際的な巨大銀行を追跡するインターポール捜査官が、執拗な妨害工作に遭いながらその実態と真相の究明に奔走する。主演は「トゥモロー・ワールド」のクライヴ・オーウェン。共演に「マルホランド・ドライブ」のナオミ・ワッツ。監督は「ラン・ローラ・ラン」「パフューム ある人殺しの物語」のトム・ティクヴァ
 インターポール捜査官ルイ・サリンジャーは、ニューヨーク検事局のエレノア・ホイットマンと共に、ある重要案件の捜査に当たっていた。そのターゲットは、世界中の富裕層から莫大な資金が集まる欧州拠点の国際銀行IBBC。そこではかねてより不審な資金の流れがある、との極秘情報を得ていたのだ。サリンジャーはベルリンを皮切りに、リヨン、ルクセンブルク、ミラノ、ニューヨークといった各地を飛び回り、内部告発者や情報提供者と接触しながらIBBCの実態を探っていく。しかし、いずれも行く先々で証人・証拠が消され、狡猾非情に出鼻を挫かれてしまう。それでもサリンジャーは核心に迫るべく、ある覚悟を決めるのだが…。