スリナム・アムステルダム 心あずけて(2006)


 
 
スリナムからアムステルダムに留学してきた黒人青年スパイクと
父の経営する画材屋で働くオランダ娘ロザリーの愛の物語。
 
全編がラップ調(ときどきゴスペル)のセリフで物語は進行していきます。
アメリカ映画のように音楽が長ったらしくないので
ミュージカルのわりには見やすかったですね。
 
スパイクを医者にさせるためオランダに住む叔母の家に預けた母親。
しかし彼は病気の叔母の介護も勉強もいやになり
ついには退学させられ奨学金も断たれてしまいます。
お金の無くなったスパイクは
自然とヤクザなスリナム人の手下となり働くようになります。
 
この作品はストリーを楽しむというより
オランダの国の持つ一面を知る・・そういう作品だと思います。

スリナムというのは、南アメリカにあるオランダの旧植民地(ギアナ)です。
旧主国だったオランダは、いまでも奨学金をだして
留学生をうけいれたり面倒をみているそうです。
しかし人々の心の中には、いまだに強い従属的関係が解消されず残っています。
 
スリナム人が集団で暮らす住居は鶏小屋のよう。
網でしきられただけ、人間が住む場所のようには見えません。
 
そしてアムステルダムは南米の麻薬をヨーロッパに運ぶ
麻薬取引の中心地でもあるようです。
運び屋はカプセルに入ったコカインを何十錠も飲み込み
オランダについたら下剤を使い取り出すのです。
 
若者が安易な方法でお金を手に入れるために
簡単に犯罪に手を染めていく・・
オランダ人の店を遅い、ひったくりをし
盗みでお金を手に入れるようになったスパイク。
 
やがてコカインの運び屋となりますが、あっさり逮捕されてしまいます。
そんなダメ男なのにスパイクを諦めきれないロザリー。
投獄されたスパイクに逢うためスリナム行きを決意します。
そのために自らが運び屋になるのです。
 
物語はハッピー・エンドでした。
だけどこのふたりがこの先もずっと愛し続けることはない
私はそう思います。
 

 
【解説】DMM.comより
ヒップホップ好きの黒人の青年とゴスペル・シンガーの白人の女性。恋に落ちた二人の境遇は、互いの好きな音楽以上に異なっていた…。アムステルダムを舞台にした若者の犯罪と恋愛をミュージカル仕立てで描いた異色のラブストーリー。