そこのみにて光輝く(2014)




湿っぽく、暗くて、絶望的。
だけれど一筋の光が、かすかな暖かさがある
そんな物語でした。

 
職場で同僚を事故死しさせたショックから
何の生きがいも、やる気もなくなり
自堕落的に酒と煙草とパチンコと
寝ているだけの日々の達夫(綾野剛)。
 
自分は不幸のどん底だと思っていた。
だけれどもっと不幸で、もっとどん底にいる女に出会った。
それでも懸命に生きている女に出会った。
ふたりは一目で恋をした。

生きることは苦しい
愛することは苦しい
なのに誰かを好きになってしまう。

 
ヘタな役者がひとりも出てきませんね
俳優の演技を堪能できます。
 
千夏役の池脇千鶴ちゃんは顔も体系も
濡れ場にはどうなの?と思いましたが
童顔に緩んだ体系が、堕ちた女のリアル感を出していました。
演技も体当たりですし、高い評価を受けることでしょう。
 
保護司で、元はヤクザだけれど今は地元の名士の
高橋和也さんは凄味がありました。
本当に最低でイヤな奴でしたね。

車の中で悲鳴をあげる千夏を襲うシーンは
千夏が痛々しくって見ていられませんでした。


父親が死んでくれて
やっと負の連鎖から解放された千夏。
達夫と結婚し、子どももでき
ささやかな幸せも掴むことができました。

なのに今度は弟の拓児(菅田将暉)が
人を刺してしまうのです。
 
拓児はバカだけど、無邪気でお人好しで
誰からも好かれるタイプ。
でもその素直さが思いがけない行動に出てしまう
こともあるのでしょう。


人は、人に苦しめられるけれど
人によって救われることもあるのだと
そう感じられます。
 




 めったに劇場鑑賞はしないのですが
原作の佐藤泰志氏が函館出身ということで
高校時代の(いまはご主人の転勤で川崎にいる)友人から
「見ましょう」と誘われたのです。

なんと佐藤氏の実家と友人の実家が近所で
佐藤氏の家族とは知り合いなのだそうです。

ミポリンの「時代は中性」の旦那サン
辻仁成氏も私が在学していた高校の先輩です。
 

ならば次は・・・
私もデビューするしかないか。笑

ヨーカドーでサイン会をしたら
みんなも来てね?

(こんな鬱映画の、〆のコメントがこれかよ)
 

 
【解説】yahoo!映画より
海炭市叙景』の原作者、佐藤泰志三島由紀夫賞候補となった小説を基に、北海道函館を舞台に生きる場所のない男女の出会いを描くラブストーリー。仕事を失った男がバラックに住む女と出会い、家族のために必死な彼女をいちずに愛し続ける姿を描く。主演は、『シャニダールの花』などの綾野剛。主人公と惹(ひ)かれ合うヒロインを、池脇千鶴が演じる。メガホンを取るのは、『オカンの嫁入り』などの呉美保。美しい函館を背景につづられる、男女の愛の軌跡と人生の過程が心に突き刺さる。