夜霧よ今夜も有難う(1967)


 
 
「僕たちは1500回の朝と昼、そして夜を過ごした」
 
 
カサブランカ」とずいぶん似ているなあ・・と思いながら鑑賞しましたが
それもそのはず、「カサブランカ」のリメイクなのですね。
 
元は船乗りだったバーのマスター相良、影では密航の手助けをしています。
ある日外国政治家グエンが密出国させて欲しいと相良のバーにやってきます。
グエンの妻は4年前に突然相良の前から姿を消した恋人、秋子でした。
 
秋子が相良と結婚できなくなった理由は
「事故で子どもが産めない身体になったから」でした。
数十年前の日本では、まだそういう風潮があったのですね。
当時の女性にとても同情してしまいます。
 
私は「カサブランカ」ではボギーよりも
クロード・レインズが演じた警察署長サンが印象深くて好きなのですが
この作品でも宮武刑事役の小松方正さんが良かったですね。
バーのコックの仙吉役の高品格さんも良い味が出ていました。
高品さんをラストで殺してほしくはなかったなあ
命だけは助けてもらいたかったです。
 
浅丘ルリ子さんの衣装も上品で良かったです。
浅丘さんって夜の顔ですけれど(失礼。笑)
この作品では品良く感じられましたもの。
当時の日活の衣装は森英恵さんでしょうか?
たぶん今着ても、全く古臭さは無くお洒落だと思います。
 
裕次郎さんのカッコよさは正直わからないのですが(失礼×2)
たぶん男性から見てダンディズムな男性なのでしょうね。
裕次郎さん以外なら、高倉健さんや松田優作さんなども
女性よりも男性から人気がある俳優さんのような気がします。
 
ツッコミたい箇所は多々あったものの
最後までそれなりに面白く見ることはできました。
 
本家の名曲「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」が
たぶん石原裕次郎さんがピアノを弾きながら歌う
「夜霧よ今夜も有難う」になるわけですが
作中で何度も歌われるうちに
 
♪しのび会う恋を つつむ夜霧よ~
♪知っているのか ふたりの仲を~
♪夜霧よ~
♪夜霧よ~
 
と、頭の中をグルグル回って離れなくなるのです。
これだもの、曲もヒットするわけだわ。笑
 
 
 
【ストリー】映画.comより
外国航路から帰ってきた相良は早速恋人の秋子に電話で求婚した。だが彼女は約束の教会に急ぐ途中、交通事故にあった。夕暮れの教会で相良は秋子をいつまでも待ち続けた--。四年の月日が流れ、相良は今、横浜でナイトクラブ“スカーレット”を営むかたわら“逃がし屋”をやっていた。そうしたある日、探し続けていた秋子がグエンと名のる男と店にやって来た。グエンの祖国では革命が起り、直ぐ帰国しなければならない彼は、相良にシンガポール行きの船を捜してくれと頼みにきたのだ。冷たい目で秋子を見つめる相良、むろん彼は断った。この気配を、本国からの反グエン派の手先の佐伯は逸早く察し、警察も密出国幇助罪で相良を調べ始めた。そんななかで秋子は毎晩スカーレットに通い、夫の密出国を助けてくれとたのむのだった。やがて捜査状況も一段と厳しくなってきた。かたくなになっていた相良も今は、秋子の幸せのためにも“船を捜そう”とグエンに約束した。感激したグエンはここではじめて告白するのだった。四年前秋子をひいたのは自分の車で、そのため秋子は子供を生めない身体になってしまい、相良との夢が破れた秋子はグエンの求婚を受け入れたのだ。--ということをしゃべった。そして今二人の結び付きの固さを見て、秋子への想いを断ちきり、相良は二人の幸せのためにと是が非でもシンガポール行きの船を見つけようと心に誓った。かけずり廻ってやっとつかまえた船の中でグエンの脱国を阻止しようと待ち構えていた佐伯らと、相良は激しい戦いを展開し、ついに佐伯を倒した彼は、無事グエンと秋子を日本から脱出させてやったのだった。その夜、港には深い霧がたちこめていた。...