富士山頂(1970)


 
 
昭和38年。
台風観測のために富士山頂に気象庁のレーダードームを設置するという
三菱電機による前人未到の工事。
 
地味な作品ではありますが
高度経済成長の記録映画として鑑賞するのに貴重な作品でしょう。
しかもため息がでるくらいのオールスターキャスト。
宇野重吉さんの「私が責任を取る」がいいですねえ。
今はこんなにキッパリ決断できる上司ってそういないような気がします。
 
大量の資材を、人間が、馬が、背中に背負い運び上げていきます。
重労働に悪天候に寒さに高山病。
あまりの過酷さに、多くの労働者たちは現場を去っていきます。
そして集まってきたのは世間では少しアウトローな仕事のない男たち。
 
このような場面で現在の福島の原発での作業を
なんとなく髣髴してしまうのは私だけなのでしょうか。
 
気象衛星の発達により
廃止・解体されてしまったレーダードーム。
 
しかし、ついつい忘れがちではありますが
このような厳しい作業をしている人々のおかげで
積み重ねた努力で
私たちの豊かな生活はあるのです。
 
実際に富士山でロケ撮影したという映像は
雄大な自然が感じられ迫力あります。
ラストの台風のシーンもドームが壊れはしないかとハラハラしました。
 
「映画は映画館で」という石原裕次郎さんの意志で
黒部の太陽」同様、ほとんどテレビ放映されず、ソフト化されず
見られていない作品だったというのはもったいないですね。
 
こういう作品を見たら、世の中の奥様方もご主人の仕事の苦労を理解して
晩ご飯のおかずの質だって少しは上がるかも知れないのに。笑
 

 
【解説】ウィキペディアより
既述の通り1970年2月に東宝系で封切られたが、製作者の一人であり主人公を演じた石原裕次郎の「映画は大スクリーンで見るもの」という意向から、本作はビデオソフト化もDVD化もされていなかった。その後、石原裕次郎23回忌法要特別番組の一環として2009年7月4日、テレビ朝日系列(ただし一部系列局除く)にて放送された。なお、本編では地上波初登場とナレーションしたが事実と異なることがHPへ謝罪文として補足された。
富士山レーダーを納入した三菱電機の全面的な協力により製作されたため、主人公が新田次郎自身をモデルとする気象庁課長葛木章一から、石原裕次郎の映じる三菱電機社員・梅原悟郎に変更されており、社名も原作では全ての会社名が架空の社名に置き換えられており、例えば三菱電機は「摂津電機」とされていたが、映画では三菱電機だけは現実の社名で登場する。
日本列島を毎年襲い、大きな被害を受けることから大型台風の事前予知のため観測レーダーを富士山頂に建設する様子を映画化した作品。『黒部の太陽』、『栄光への5000キロ』と並ぶ作品とされる。