網走番外地(1965)

 
 
面白かったですね、スピード感があってハラハラドキドキできて
「手錠のまゝの脱獄」の和製版といった感じ。
それもそのはず、石井輝男監督が
原作を「手錠のまゝの脱獄」風に脚色したのだそうです。
 
刑務所での入浴シーン、独房、極寒の地での労働
雪道に捨てられたタバコの吸殻・・
当時の囚人の生活がリアルに描かれていて見入ってしまいます。
ロッコでの脱走シーン、汽車の車輪で切る手錠・・
かあちゃん、かあちゃーーん!」と叫びながら走る健さん
見せ場もたくさんありました。
 
どの登場人物もかなり濃いキャラばかりですが
橘(健さん)と手錠で繋がれたまま脱獄する権田(南原宏冶)がかなり強烈。
まるでウエスタン映画で登場するイーライ・ウォラックのような風貌。
汚く、ふてぶてしく、下品な笑い方、もう殺してやりたいくらい憎い野郎。
悪役の王道に間違いないでしょう。
 
そして「八人殺しの鬼虎」役の嵐寛寿郎の渋さとカッコよさ。
さすがの貫禄としかいいようがありません、素晴らしい。
 
予算があまりに少なくて、石井監督が
「しょうがねえ、北海道で雪景色でも撮ってりゃ金かからんだろう」
と撮影したというわりには、なかなかの傑作でしょう。笑
昔の邦画っていろいろなエピソードがあったんですね。
 

 
【物語】ウィキペディアより
冬の網走駅。汽車を降ろされた男たちは、トラックに乗せられ網走刑務所へ護送される。受刑者であり主人公の橘真一も腰縄で他の囚人たちとつながれていた。入所後、雑居房に入れられた橘は、殺人鬼「鬼寅」の義兄弟と称して幅を利かせていた牢名主の依田や同じ新入りの権田と衝突、喧嘩の責任をとって懲罰房に送られる。
一人になった橘は、幼かった自分と妹を飢えさせないために母が不幸な再婚をしたこと、養父の横暴に耐え切れず母と妹を残して家を出たことを回想する。都会へ出てやくざとなった彼は、渡世の義理で人を斬り3年の刑期を宣告され網走刑務所に送られたのだった。入所から半年以上が過ぎ、真面目に労役に汗を流す橘を囚人たちは点数稼ぎとして冷ややかに見る。仲間への意地から騒動を起こし再び懲罰房へ行かされる橘に対し、保護司の妻木だけは親身になって相談に乗る。故郷の妹からの手紙によると母が死の床にあり1日も早く戻ってほしいという内容であり、同情した妻木は仮釈放の手続きを約束してくれた。一方、雑居房では依田、権田たちが脱走計画を練っており、密告すれば渡世の仁義を踏みにじるイヌとされ、巻き込まれた場合は仮釈放もないため橘は苦悩する。この脱走を直前になって失敗させたのは同じ雑居房にいた阿久田老人であり、彼の正体こそ「鬼寅」だと明かされる。鬼寅は橘の苦境を見抜き、命がけで彼を救ったのだった。翌日、森林伐採の労役でトラックに乗せられた依田らは無蓋の荷台から飛び降りる。権田と手錠でつながれた橘も彼と一緒に飛び出して脱獄囚とされてしまう。報告を聞いた妻木は、やっともらった橘の仮釈放認可の書類を破りすて二人を追う。橘と権田の前には地平線まで続く大雪原が広がっていた・・・。