ワイルドバンチ(1969)


 
 
パイク(ホールデン)がボスの盗人の一団と
それを追う元仲間のソーントン(ロバート・ライアン)と賞金稼ぎたち。
最初から最後までクライマックス。
 
この作品は役者がみなさん素晴らしいのです。
特にダッチを演じたアーネスト・ボーグナインが巧い。
彼は「北国の帝王」での鬼気迫る怖い車掌がとても印象的だったのですけれど
ここでは、言葉は少ないけれど
仲間を思いながらも助けてやれない心情が表情で読み取れてグッときます。
 
冒頭から女性も老人も善人も悪人も馬も
おかまいなしに殺してしまう血だらけの銃撃戦。
通行人は盾にされ、撃たれた身体からは血肉が舞い
スローモーションで倒れた身体は痙攣しやがて命が絶えます。
転がった死体からブーツを盗みあう男たち。
 
列車強盗で武器を盗み橋を爆破する場面も面白かったですが
いちばんの見どころはやはりラストの15分でしょう。
4人対200人の銃撃戦は大迫力。
マシンガンの乱射。
自分の抱いた女に撃たれてしまうパイク。
ゴロゴロと転がる死体、空を舞うハゲタカ。
 
男は皆、悪人
女は皆、売女
暴力を喜ぶ子どもたち
終始非道、正義感はゼロのこの作品。
なのに見終った後のこの満足感はなんなのでしょう?笑
ラストのソーントンとハリガン爺の姿には
爽快さまで覚えてしまいました。
 
賛否両論、好みも別れる作品でしょうが私的にはお気に入り。
男の滅びを描いたペキンパー監督の傑作だと思います。
 

 
【解説】allcinemaより
1913年の動乱のメキシコ。パイクをリーダーとする5人のアウトローたちが、革命派の将軍マパッチから、米政府の輸送列車の襲撃を依頼される。パイクたちは見事、列車から武器弾薬の強奪に成功するが、マパッチは約束の金の代わりにパイクたちに襲いかかる。100人を超える軍隊を相手に、5人は死闘を展開する……。S・ペキンパー独特の、スローモーションによる暴力描写が映える、彼の最高作の一つ。