すべて彼女のために(2008)


 
 
いいですね、サスペンスものはフランス映画がやっぱり最高。
飾りがない、人間離れしたアクションもなければ
余計なセリフもない。
リアルなのがいい。
 
突然殺人容疑で逮捕されたリザ(ダイアン・クルーガー
目撃者もいる、動機もある、証拠もある。
しかしただひとり、夫のジュリアン(ヴァンサン・ランドン)だけは
妻の無罪を信じています。
懲役が決まった時、夫は妻を刑務所から脱獄させようと決心するのです。
 
野暮な中年男、エリートでも金持ちでもない自分のことを愛してくれる
若くて美しい妻、かけがえのない大切な人。
ジュリアンはすべてを失っても彼女を助けたい、そう思ったのでしょう。
 
「脱獄はするまでより、そのあとが大変だ
 まず大金がいる」
 
この脱獄犯の話がとてもいい。
なるほどもっともだとうなずいてしまいます。
 
派手なアクションで脱獄できるわけではないのです。
逃亡し続けるためには何よりもお金が必要なのです。
パスポートに旅券、旅費、ホテル代・・・
どう脱獄させる?どこの国に逃げる?どのルートを選ぶ?
なによりも、どうやって大金を調達すればいいのか・・・
 
無実の妻のために罪を犯す夫。
 
見ていくうちにどんどんとテンポが上がって引き込まれます。
ハイウェイの料金所で検問を切り抜けるアイディアは素晴らしいし
搭乗ゲートに送られてくるファックスにはハラハラします。
なにより外から脱獄させるという脱獄劇を
私は初めて見たような気がします、新鮮でした。
大人の甘くない一級サスペンスでしょう。
 
真犯人についてほとんど触れないのが、私的には気になったのですが
ギリギリお気に入りで。
 

 
【解説】allcinemaより
平凡な国語教師が、無実の罪で投獄された愛する妻を取り戻すため、すべてを捨てる覚悟である計画を練り上げ実行していく姿をリアルなタッチでスリリングに描き出すヒューマン・サスペンス。主演は「女はみんな生きている」のヴァンサン・ランドンと「敬愛なるベートーヴェン」のダイアン・クルーガー。監督はデビュー作となる本作で一躍フランス期待の新鋭となったフレッド・カヴァイエ。
 フランス、パリ。国語教師のジュリアンと出版社に務めるリザは、幼い一人息子オスカルと共に平穏で幸せな毎日を送っていた。ところが、ある朝、突然警察が押し入り、リザがいきなり逮捕されてしまう。容疑はなんと殺人。裁判で必死に無実を主張するリザだったが、彼女に不利な証拠が次々と示され、判決は無情にも20年の禁固刑に。どんな状況でも妻を信じる心と彼女への深く強い愛情が揺らぐことのないジュリアンは、衰弱し、精神的にも不安定になっていくリザを前に、ついに脱獄という最終手段を決意する。妻への愛に突き動かされるように全く無縁だった世界へと足を踏み出し、必死に計画を練るジュリアンだったが…。