零戦燃ゆ(1984)


 
 
男の子の多くは物心がついた時から
誰に教わったわけでもなく
飛行機を手に持っては飛ばし
タイヤの付く乗り物を走らせ
木の枝で刀やピストルを真似ます。
食べるのや寝るのと同じく、本能なのでしょう。
 
貧しい田舎出身の浜田(堤大次郎)と水島(橋爪淳)が海軍に入隊し
ゼロ戦と出会ったことで
その魅力にとりつかれてしまったのも当然なのでしょう。
ふたりは猛特訓猛勉強をし、浜田はパイロットに、水島は整備士となります。
 
そして水島は静子という女性と出会い、お互いに惹かれあいますが
浜田との友情のため、浜田と静子を付き合わせようとします。
 
もし、好きな男性から違う男性を紹介されたら
私はとてもショックなのではと思ったのですが、静子はそれを受け入れます。
当時はたぶん愛よりも「奉仕」という精神が強くあったのかもしれません。
国に命を捧げようとする男性への奉仕・・
しかし浜田に逢いに行こうとして、静子は爆撃で死んでしまいます。
 
このような3人の男女の青春物語が主軸ではありますが
戦時下の若者の人間像を描きたかったのか
戦争の悲惨さを訴えたかったのか
ゼロ戦の開発から終焉までの物語なのか
ミニチュア特撮や戦闘機マニア向けなのか
詰め込みすぎで、どれも中途半端に終わってしまいました。
 
主役3人の演技もヘタでしたね。笑
飛行場を昭和40年代風のトラックが走っているのもけしからん。苦笑
 
なにかひとつに焦点があっていれば
もっと見やすく良い作品になったでしょう。
舛田監督+笠原脚本のもったいない作品でした。
 

 
【解説】allcinemaより
横須賀海兵団に入団した浜田と水島がそれぞれ零戦パイロットと整備兵になり各地を転戦、終戦を迎えるまでを描いた戦記スペクタクル。七千万円をかけて実物大の零戦が三菱金属静岡工場で製作され、また日本最大級の全長3mのラジコン零戦10機をはじめ200機もの零戦のミニチュアが作られた。川北紘一による緻密な空中特撮は見事だが、ミニチュアっぽさが露呈する室内撮影のライティングが今後の課題か? 「東宝8・15」シリーズの一作として製作された。