小津安二郎・没後50年 隠された視線(2013)

 
 
小津安二郎の映像美学に迫るドキュメンタリー。
 
私は映画製作については興味がある方ではなく
DVDに特典で付いてくるメイキングなども見ることはないほうですが
これは面白かったですね。
 
いわゆるギョーカイの派手な雰囲気を微塵も感じさせない
職人気質でモノ作り風な仕事ぶりがとても良かった。
小津の映画は芸術である、そう言い切れるでしょう。
 
カメラを固定して人物を撮る「小津調」と形容される独自の技法。
普通あるはずの映像を"隠す"演出。
画面内の美的なバランスのためには
カットのコンティニュイティ(連続性)を犠牲にする。
観客と対峙し役者の生身が観客に投げ出される「目線レンズ」。
随所に散りばめられている赤色。
 
俳優はその画の中に入るだけ。
それだけでちゃんとした演技ができるといいます。
本物ばかりの中に投げ込まれるのだ。
本物にならないわけにいかない。
 
繰り返し見れば見るほどその素晴らしさに気が付く。
それが小津作品の魅力なのでしょう。

時が経つほど、時代が変わるほど
作品が認められ高い評価を受ける。
それもまた芸術作品の証しのような気がします。
 
あっという間の60分。
もっとたくさんの小津作品を紹介してほしいと思ったくらいでした。
 
だだ、途中登場する若いモデル風の女性はいらなかったですね。
小津ファンは誰も見たくなかったと思います。
それだったらもっと
原節子さんや岩下志麻さんの顔が写し出されたほうが嬉しかっただろうと。
(でも、私がイチバンすごい女優さんと思うのは杉村春子さんです。笑)
 
小津安二郎図像学」が開催されています。(3月30日まで)
 
 
行くしかない・・
もうこれは行くしかないです。笑
観覧料200円だし。(安い!笑)
 

 
 
【詳細】NHKネットクラブより
世界の映画監督が選ぶ作品NO1に小津監督の「東京物語」が選ばれた。今も人々を魅了し続ける秘密とは?没後50年の機にデジタル・リマスター化が進む小津映画。その過程で演出の詳細が分かって来た。赤を巧みに配置した映像、演技の反復が生み出す心のひだ、全てを見せない演出。吉田喜重監督や篠田正浩監督、そして、小津映画を彩った女優、岡田茉莉子香川京子司葉子の証言を交え、小津映画の秘密に迫る。
【語り】大杉漣