小川の辺(2011)


 
 
「武士と言うものは、誠に難しいものだな・・・」
 
忠誠を誓う藩主の命令は絶対。
藩主を批判し脱藩した佐久間森衛を、討伐せよとの藩命が下された
藩で1番の剣の使い手の戌井朔之助。
森衛は、朔之助の親友であり、朔之介の妹の夫で義理の弟でした。
 
洪水被害から農地を守れなかったため、責任を取らされ藩を追われた森衛。
森衛は農民とともに暴風雨の中、懸命に農地を守ろうとしましたが
自然の脅威にかなわなかっただけなのです。
朔之助にとって森衛を討つことは辛い決断でした。
しかし藩命に逆らえば、戌井家一族の死があるのみ。
 
東山紀之さんの自分に厳しいストイックなイメージが、
修行に励み、藩に忠誠な武士のイメージにぴったりでした。
爽やかな顔立ちもいいですね。
見事に鍛えたボディーも披露しています。笑
 
地味な作品ではありましたが、とても美しい時代劇です。
透明に澄んだ空気、小川のせせらぎ、風に揺れる草原・・
心が洗われるような日本の美しい風景が全編にわたって映し出されます。
 
文武両道で強くて優しい男。
家族を守る母、夫を支える妻。
身分の違いのために、結ばれることのない淡い恋・・
 
理不尽な上司(殿)の命令に従わなければならなかったり
仕事が出来すぎたり、正しい意見を言った者が上司の反感をかったり
こんな藤沢周平ワールドが、サラリーマンに人気なのかも知れませんね。
 
ただ朔之助の妹役の菊地凛子さんの顔が現代的すぎて、かつらも着物も似合わず
気の強さだけが前面に出て感情移入できませんでした。
朔之助の妻を演じた尾野真千子さんが妹役のほうが良かったでしょうね。
重要な役柄にもかかわらずミスキャストだったでしょう、残念。
 
 

 
 
【解説】allcinemaより
藤沢周平の同名短編を、「山桜」に続いての顔合わせとなる東山紀之主演、篠原哲雄監督で映画化。藩命を受け、妹の夫である親友を斬らねばならなくなった下級武士の過酷な運命を静謐に描く。共演は「バベル」の菊地凛子勝地涼片岡愛之助
 ある日、直心流の遣い手である海坂藩の下級武士・戊井朔之助に、藩政を批判して脱藩した佐久間森衛を討つよう藩命が下る。しかし、佐久間は妹・田鶴の夫。しかも、佐久間の批判は民を思えばこその正論だった。そして、揺れる朔之助にとって何よりも気がかりなことは、気の強い田鶴が、必ずや手向かってくるに違いないこと。場合によっては妹も斬らねばならないと覚悟する朔之助。彼は、そんな田鶴を秘かに想い続けていた奉公人の新蔵を伴い、佐久間討伐へと旅立つのだが…。