男はつらいよ 寅次郎忘れな草(1973)


シリーズ11作目。
マドンナは浅丘ルリ子さん。
 
「死ぬほど惚れて惚れて、惚れ抜いてみたいわ・・」
 
北海道での夜汽車の出会い、旅の風情があってロマンチックで素敵ですね。
(近ごろのJR北海道で旅をするのは少しためらいますが。笑)
 
この作品はマドンナに一目ぼれして恋慕するという展開ではなく
同じ境遇を分かり合った者同士の男女の友情ものでしょう。
 
旅をしながら歌手としてドサ回りをするリリー。
流れ者のフーテン・・似た者同士のふたりはすぐに意気投合します。
しかし寅さんには帰れる場所と暖かい家族があります。
リリーは孤独でした。
寅さんはそんなリリーをやさしく気遣います。
リリーも寅さんに好意を持ちます、そして助けを求めます。
 
隣同士の部屋で「寅さ~ん」「あいよ」とやり取りし合う二人・・
寅さんのやさしさがにじみ出ていました。
 
「おにいちゃんはお金で買えないものをたくさんもっている」
 
ピアノの騒動。
数日しか働けなかった酪農家の仕事。
母親に泣かれるリリー、粗末な部屋。
ひとつひとつのエピソードも印象的。
 
寅さんシリーズの中ではベスト・オブ・マドンナの浅丘ルリ子さん。
切ない哀愁が漂っいて、なんだかしんみりしてしまいました。
本当に寅さんとハッピーエンドになったら良かったのになと。
 

 
【あらすじ】ウィキペディアより
初夏の北海道網走に出向いていた寅次郎は、そこでのドサ回りの三流歌手リリー松岡(松岡清子)と出会う。何かにつけて悪態をつく男勝りのリリーに寅次郎も最初のうちは手を焼いた。が、やがてそれが虚勢だと気づいた寅次郎は、自分の身の上とリリーの育った環境が良く似ていることから同情心を抱く。リリーも心に傷を負った寅次郎の話を聞くうちに、寅次郎を兄のように慕うようになった。しかし、寅次郎の同情心はやがて抑えがたいほどの恋心へと変化していくのであった。昔懐かしいドサ回りの歌手を、浅丘ルリ子が演じている。