男はつらいよ フーテンの寅(1970)


 
シリーズ3作目。
マドンナは新珠三千代さん。
 
山田洋二監督ではなく森崎東監督の本作
シリーズのなかでは酷評されているようですが、私は面白かったです。
 
冒頭での「とらや」の前の公衆電話で話すギャグや
「俺なんか贅沢は言えねえよ」と言いながら
贅沢にも程がある理想の女性像を語ったり
花笠道中」を踊りながら「お志津~(マドンナの名前)」と叫んだり
寅さん節がいっぱい。
 
ドアにぶつかったり、階段から落ちたり
絶妙なタイミングでズッコケる渥美清さんの演技も逸品です。
 
「庶民の暮らしは貧しいねえ」
 
寂しい漁村で、身体が不自由な芸者の父親(花沢徳衛)に
「あんさん、ご同業さんですね」と仁義を切るシーンは切ない。
フーテンの末路が決して明るくないことを暗示しています。
 
口八丁手八丁、ドタバタでパワー溢れる元気な寅さん。
「とやら」やさくらちゃんの出番が少なかったり
マドンナとの絡みもほとんどなかったのは残念でしたが
密度の高い内容になっていると思います。
 
まさか30年近く、48作もシリーズが続くとは
当時は誰も思っていなかったのも伝わりました。笑
 

 
【あらすじ】ウィキペディアより
旅先での的屋稼業も一段落して故郷柴又に帰ってきた寅次郎。帰ってきて早々、突如として寅次郎に結婚話が持ち上がる。本人もすっかりその気になったが、一騒動あった末結局破談に。これが原因でおいちゃんと大ゲンカした寅次郎は再び旅に出た。旅先の伊勢で病に倒れた寅次郎は、そこでお志津さんという温泉宿の女将に出会い、手厚い看護を受ける。労を惜しまぬ献身ぶりに感激した寅次郎は、病が癒えてからも湯の山温泉に留まり番頭として女将のために一生懸命働くのであった。女将にゾッコン熱を上げた寅次郎は、いつしかこのまま一緒に暮らせたらという夢を思い始めるのだが、夢は夢でしかないのであった。