マディソン郡の橋(1995)

 
 
 
原作が大ベストセラーで当時とても話題になり、私も読みました。
普段読書をしない人でも、読みやすい内容と長さの
恋愛小説なのが人気の理由でしょうか。
 
マディソン郡の田舎町、そこに写真撮影のために
都会からやって来たカメラマンのキンケイド。
農場の妻のフランチェスカにとっては、ただのくたびれた田舎町。
しかしキンケイドは、ただの光や霞や闇
草原や野花を美しいと感動する男性でした。
 
田舎での住民の話題といったら
家畜や農作物のことやご近所さんの噂話ばかり。
しかし町の男たちとは違い、世界中を旅してきた彼は
彼女から見てとても洗練されて見えた。
 
しかも紳士的で、農場の妻とや母親としてではなく
女性として扱ってくれた。
 
彼の態度に、フランチェスカは自分が女であるという
感情を取り戻します。
 
そしてふたりは恋に落ちます。
 
だけどフランチェスカは夫のことも愛していたのです。
愛の形は違っていても。
 
女性側から描いた恋愛物語のせいか
フランチェスカの心の動揺は感じますが
キンケイドがどうしてフランチェスカに惹かれたのか
分かりづらかったのは、ちょっと残念ですね。
 
 とはいえ、イーストウッド×ストリープは流石の名演でしょう。
もしかしたら傍から見たらイタイとも思える
シニアの純愛を完璧に表現していたと思います。
 

 
【解説】allcinemaより
世界中で大ベストセラーとなった同名小説の映画化。アイオワ州マディソン群の片田舎。農場主の妻フランチェスカは、夫と二人の子供に囲まれ平凡な主婦として穏やかな毎日を送っていた。そんなある日、夫が幼い子供二人を連れて4日間遠方へ出掛け、一人で家の留守をしていた彼女の所へある男が道を尋ねてくる。男の名はロバート・キンケイド。旅のカメラマンで、この近くの屋根のある橋ローズマン・ブリッジを撮影に来たが道に迷ったという。橋までの道案内に車に同乗したフランチェスカ。それは二人にとって、永遠に心に残る4日間の始まりであった……。
 社会に適さず、生活の大部分を旅の中で過ごし、世界中のどんな場所や人にも内面の孤独が満たされなかったキンケイドが、同じ種類の孤独を抱えているフランチェスカに出会い、お互いを知れば知るほど相手が自分達にとってどんなに希有な存在かを深く理解した上で、その4日間を胸に秘めたまま、一生を終えてゆく。本作は、ありきたりの恋愛映画とは一線を画し、女性側にのみならず、男性も共感出来る上質の大人の恋愛映画である。これは、製作・監督・主演を務めるクリント・イーストウッドの力によるところが大きい。二人が死んだ後になって初めて、成人した子供達が彼らの恋を知ってゆくという話の設定、よく練られた脚本、そして何と言っても、映画というものを熟知したイーストウッドの巧みな演出には、思わず唸ってしまうのと同時に、彼の監督としての手腕を再確認させられる。加えて、彼の中に常にある反抗児的な男の孤独感を残しつつ、繊細な心の持ち主であるキンケイド役を見事に演じきっている役者イーストウッドも大きな魅力の一つとなっている。