ニューヨークの王様(1957)

 
 
チャーリが68歳のときの最後の主演作。
 
私の個人的な話なのですけれど、先日「お茶でもどうですか?」と誘われました。
それは素敵な殿方からのナンパ・・とかでは、決してなく。笑
保護者会などでたまにお話する程度の方なのですが人当たりも感じもいい人で
「(子ども同士の仲が良いので)クラスや部活のことなど、情報交換しませんか?」と声を掛けられたのです。
 
はじめは、子どもたちの学校の様子など共通の話題で盛り上がったのですけれど
途中から、もうひとりのご婦人が現れてから事態は一変。
宿命とか運命とか前世とか
なにやら怪しい方向に話題が切り替わっていきました。
そして、ある方向に向かってお経を唱えるとどんな願いも叶うと言うのです。
ある人は医者に見放された病気が治り、ある人はひきこもりが治り
ある人は大金を手に入れたと。
私たちと一緒に手を合わせましょう・・それだけで幸せになれるのだと。
 
話題はアベノミクス、TPP、尖閣諸島竹島にまでにいたり
アメリカは助けてくれない、このままでは日本は滅亡する」と。
「大地震はいつおきるかわからない、
も311の震災では手を合わせていた人たちは助かった」と。
 
なんど断っても食い下がります。
「この幸せはずっと続かない、手を合わせないといつか運が尽きてしまうのよ?
それでもいいの?」
「あなたは、この話を聞いたことが大きな幸運との出会いなの
手を合わせないと運を使い切ったことになるのよ!
この先は不幸しかやってこなくなるわ!」
 
同じような経験をした方も、もしかしたらいらっしゃるでしょうか?笑
高価な鍋や、高級下着など、ねずみ講のお誘いもありますね。
 
私は、誰がどのような宗教や思想を信仰しても、それは自由だと思います。
しかし本人にその気がないのに、無理に誘うのはどうなのでしょう。
そしてなにより共感できなかったのは
批判や脅しで人の気持ちを動かそうとしたからです。
そして、子どもをダシに騙すように誘ったからです。
 
感動や、やさしさや、思いやりの方が、人間の心は動く。
私はそう思います。
お金は働いて手に入れましょう。笑
 
これは、レビューなの?って??
・・そうなんです。
 

 
 【解説】allcinemaより
「ライムライト」以降、赤狩りアメリカを嫌い、母国イギリスへと帰ったチャップリンが五年の沈黙を破って発表した、痛烈なアメリカへの諷刺に充ち、だからこそ、溢れる第二の祖国への郷愁を感じさせずにはおかない、骨太のコメディだ。最後の主演作で、これまで放浪紳士を演じ続けた(たまに“独裁者”に浮気もしたが)彼が、小国とは謂えども、王様を演じるのも、時代の皮肉。さて、ヨーロッパの某小国に社会主義政変が起こり追放に近い形でアメリカへ亡命した王様。自由を求めてやって来たその地は、醜悪な商業主義に侵され(この際、ロックンロールに対する無理解は許そう)、狂ったマッカーシズムの席巻する、自国以上に居心地の悪い場所だった……。資本論を引用するこまっしゃくれた坊やと論争したり、その笑いはいささか高級な部類に属するのだが、もちろん、チャップリンならではのストレートな笑いもある。傑作なのは、若返りに整形手術を受けた王様が、術後にうっかり笑って、その顔がぐにゃっと歪んでしまう場面。これを特殊メイクなどではなく、“顔技”でみせる老喜劇王の素晴らしさ……。ニューヨークに実際に行かずに(不法出国をした彼が再び入国を許されるのは、それから何年も後だ)作られた(ハリウッド映画でも往々にしてそうだが)ニューヨークも、また見ものである。