大人の見る絵本 生れてはみたけれど(1932)

 
 
私はよく電化製品を壊すんです。
別に乱暴な扱いをしているわけでもないのに
10年以上はもっという家電が数年で壊れたり
職場でも私が部屋にはいったとたんに、照明が切れることがあります。
周囲の人からも「身体から何か電磁波が出てるんじゃないの?」
などと言われます。
 
この映画がはじまってからも、「もう、テレビが壊れたかしら?」と
とてもあせってしまいましたが。
サイレント映画なんですね
音がでなくてあたりまえです。笑
 
 
「しょうがないんだよ。
 人に頭下げながらでも、働かなくちゃならんのだよ。」
 
 
ちょっと昔までは、家庭での父親の存在は
威厳があって、家族のなかでイチバン偉い人間だったのでしょう。
男の子にとっては、他の男性よりも強く逞しくいてほしいものかもしれません。
 
そんな偉いと思っていた父親が会社の上司に頭を下げ
愛想をふりまいているを見てしまった兄弟。
 
かっこ悪い・・
友達にも恥ずかしい・・とすねてしまいます。
そのことで叱られた兄弟は
今度はご飯を食べないというストライキにでます。
 
テレビを買って欲しい兄弟が、口をきかなくなった
「お早う」にも似ていますね。
 
 
子どもに非難や指摘をされるのは、親にとっては辛い。
いくら子どもに「勉強しなさい」といっても
自分だって秀才でもエリートでもなかったのです。
小さい頃は、なんでも言うことを聞いてくれて、素直だったのに
いつまでもそうとはいかない。
 
小津監督この作品を20代で撮影してるんですよね
どれだけ大人なんでしょう。
コメディセンスも良く、「食べ物を与えないでください」と
子どもに札をぶらさげるシーンは山田監督も伊丹監督もパクっていますものね。
 
日本サイレント映画史上最高傑作と言われている作品。
音も色も溢れている今日この頃、静かな映画で静かな感動も
たまにはいいものでした。
 

 
【あらすじ】ウィキペディアより
餓鬼大将、良一、啓二の兄弟のお父さんはサラリーマン(課長)。重役(専務)の岩崎の近くに引っ越して出世のチャンスをうかがっている。だが、兄弟の前では厳格そのもの。引っ越しで転校した兄弟は早速地元の悪ガキグループと喧嘩した揚句、鬱陶しくなって小学校をずる休みするも担任の家庭訪問で知られ、二人はお父さんから大目玉。そのうち悪ガキ仲間と友達になり一緒に遊ぶようになる。その中にはお父さんの勤めている会社の重役、岩崎の子供もいる。ある日、みんなで「うちの父ちゃんが一番えらい」と自慢する話が出る。餓鬼大将も自分の父親が一番えらいと信じて疑わなかった。
ところが、ある日、岩崎の家へ行って見せてもらった十六ミリ映画の中で、父ちゃんは岩崎の父ちゃんの前でお世辞を言い、動物のまねまでしてご機嫌伺いをしていた。いつも僕たちに「偉くなれ」と言っている父ちゃんがなんと言うざまだ。怒った二人は食事も取らず、またしても学校をサボって抗議する。困惑する父。しかし、その抗議も長続きせず母のとりなしで兄弟は夕食を食べて寝る。父も子供も寝顔を見ながら、家族のためとは言いながら子供を絶望させたことを後悔する。翌朝、いつものように父と息子は一緒に家を出る。息子は父に重役に挨拶しないとだめじゃないかと言いながら。