喜劇 にっぽんのお婆あちゃん(1962)

 
 
まず驚いたのが、撮影当時50歳だったという北林谷栄さんと
41歳のミヤコ蝶々さんですね。
この作品とてもセリフが長いんです。
ご年配なのに、こんな長いセリフを覚えて
女優さんって凄いなぁと感心していたのですが
実は40代50代だったのです。
41歳なんて、いまでいう「アラフォー女子」じゃないですか!笑
歩き方から、微妙に曲がった腰から、特殊メイクしているわけでもない顔も
どう見ても70オーバー・・・
演技とは思えないくらい巧い演技です。
 
息子と嫁に邪魔にされ、死のうと思って家出した、サトおばあちゃん。
ドラ焼が一個なくなり、無実の罪をきせられたため老人ホームを飛び出した
くみおばあちゃん。
浅草の仲見世 で知り合い意気投合したふたりは行動をともにします。
 
「ババア ババア言うな!お前だっていつかジジイになるんだ!ざまーみろ」
 
高齢者ロードムービーとでもいいましょうか。
行き場所のない二人の老婆が、死に場所を探して東京をさまよいます。
このときの渡辺宙明さんの音楽がとても良いですね。
そして親切な焼き鳥屋の店員の十朱幸代に誘われ、ビールを飲み肉を食べます。
 
「思い出はみんな消えてくよ。忘れずに残るのは食い気だけか・・
色気まであったら大変だよ」
 
可笑しくて、侘しくて、せつない。
誰であっても年はとりたくないのです。
しかし誰でも、老いるのです。
 
タイトルにまで喜劇がついていますが、社会派風刺作品ということです。
思わず老後を真面目に考えてしまう作品でしょう。
 

 
【あらすじ】 yahoo!映画より
サトとくみは浅草の仲店で出会い意気投合。焼き鳥屋でビールを飲み、化粧品のセールスマンをひやかしていた。郊外の老人ホームでは、入居者である老婆がひとり遺書を残して失踪し、警察を巻き込む騒ぎになっていた。サトとくみは吾妻橋の真ん中で、それぞれ身の上話を始めた。サトは実の息子と嫁に疎まれ家出をしたと言う。くみは老人ホームを飛び出した老婆だった。二人は死に場所を求めて隅田川や都電をさまようが、やがて巡査に捕まり、それぞれ連れ戻されてしまう。