子供たちの王様(1987)


 
 
中国映画の名作って、映像の美しい作品が多いですよね。
のどかな自然や、素朴な人々を描くのが本当にうまいと思います。
 
粗末な校舎、先生が書いた黒板の字を紙にに書き写すだけの授業。
しかし子どもたちは、その文字を読むこともできないし
意味も知らなかったのです。
新しく赴任してきたヤセッポチな先生は、言葉の意味を教え
手紙や作文を書くという方法で
子供たちに自分の気持ちや考えを表現する授業を行います。
 
文化大革命期のチェン・カイコー監督自身の経験をもとに
描かれた物語だそうです。
生徒と先生の出会いというのは、ときに人生を左右することもありますよね。
ひとりの教師との出会いによって、世界的な映画監督が誕生したと思うと
とても感動的です。
 
最初はまともに授業もできない、ヤセッポチを小ばかにしていた生徒たち。
しかし作文授業がはじまってからというもの
教室には笑顔が溢れるようになります。
作文を書くことに、クラスメイトの発表に、子供たちは夢中になるのです。
そしてそのことは、たくさん字を覚えたい、言葉の意味を知りたいという、
子ども達の勉強したいという願望になります。
 
しかしヤセッポチは学校を追われてしまいます・・
 
素晴らしい映画でした。
こういう作品を観ると、教育についていろいろ考えてしまいます。
現代の日本では、塾に習い事に
子どもになにからなにまで与えてしまうことも多いですよね。
それは、本来いろいろな知識を求めようとしている
子どものためになることなのだろうか・・
などど考えてしまいました。
 
わが子に自分の思想や理想をおしつけるのは
ある意味、親子文化革命になるのかもしれないと。
 

【あらすじ】goo映画より
7年間を生産隊で過ごした“ヤセッポチ”という仇名の青年(謝園)が、都会から遠く離れた山間部の農村の粗末な学校へ教師として赴任した。学校の設備はひどく、紙不足から生徒は教科書すら持っていなかった。しかしその片隅には使用してはいけない学習教材がうず高く積まれ、埃をかぶっている。不安にかられ中学三年の教壇に立つ彼は級長の女の子から、先生が黒板に教科書を書き写し、それを生徒達がノートに写す、と教えられ憤慨する。が彼にはなすすべもなく、毎日が黒板を刻むチョークの音とともに悄然と過ぎ去ってゆくのだった。重苦しい喪失感を味わう彼は、ついに教科書を捨てる決心をする。生徒たちが自分で字を使って手紙を書くために、そして写すのではなく、自分の力で文章が書けるように、彼は生徒たちに改めて字を覚えさせることから始める。生徒たちの表現力は徐々に進歩し、先生との間にも信頼関係が生まれてきた。そんな竹切りにいくことになった前日のある日、彼は勉強熱心な生徒王福(楊学文)と、明日の出来事を今日中に作文に出来るかどうかの賭けをする。