嘆きのテレーズ(1952)


 
 
フランス映画の名作
特にサスペンスは素晴らしいラストシーンが本当に多い。
皮肉たっぷりでよく捻られていて、あっ!と思わせます。
 
不倫、夫殺害、皮肉な結末は「死刑台のエレベーター」もそうですが、
違うところは、テレーズは他の男と駆け落ちしたくなる気持ちが
理解できるほど不幸。
 
美人なのに、とにかく暗い。
夫はマザコン、姑は意地悪、テレーズの扱いは家政婦以下。
それはまるで魔法使いの現われないシンデレラ。
 
しかしロランという王子様は現れました。
お互いにひと目で恋に落ち、逢引きを繰り返すこととなります。
 
テレーズに別れ話を持ちかけられた夫は
パリに連れて行き妻を監禁しようとします。
だけれどパリ行きの列車で夫はロランに殺害されてしまいます。
 
しかし、列車で同部屋だった水兵(ローラン・ルサッフル)が、
それを目撃していたのです。
テレーズとロランに口止め料を請求する水兵。

 
 「僕が5時までに戻らなかったら、この手紙をポストに投函してくれないか」
 
半身不随となり、口が利けなくなった姑が怖い。
背筋が冷たくなります。
あの目で見詰められたら、誰でもぞっとするでしょう。
 
ラストまで上出来なサスペンス。
お気に入りです。
 

 
【あらすじ】goo映画より
リヨンの裏町でラカン生地店の主婦になったテレーズ(シモーヌ・シニョレ)は、病弱なくせに傲慢な夫カミイユ(ジャク・デュビイ)、息子を溺愛するだけの姑ラカン夫人(シルヴィー)にはさまれて、冷たく暗い毎日を送っていた。貨物駅に勤めるカミイユは或日イタリア人のトラック運転手ローラン(ラフ・ヴァローネ)と知り合い、意気投合して家に連れて来た。逞ましく若々しいこの男の魅力にテレーズはみるみる惹かれ、ローランもまた彼女を思いつめて駆落ちを迫るに至った。危険な、あわただしい逢びきが重なり、二人はカミイユに真相をつげて離婚を承諾させよぅとしたが、夫は哀願と脅迫をくりかえして妻をパリの親類に閉じこめてしまおうと図った。その旅行の途次、あとを追ったローランがテレーズと車中で密会している現場にカミイユが現れた。二人の男は女を中に争い、ついにローランはカミイユをデッキから突落した。