遥かなる山の呼び声(1980)

 
 
日本人で、高倉健さんという俳優を嫌いな人は、
私はたぶんいないと思います。
とにかく凄い魅力をもった俳優ですよね。
 
突然やってきた謎の男に宿を提供するってあるのかな?と疑問にも思いますが
北海道って、夏にバイク旅行でやってきた若者や学生を泊めたり、
短期間雇い、給料を払ってあげたりする農家の方など
本当にいらっしゃるみたいです。
 
ひとりで酪農家をきりもりする、気丈夫な民子。
素性の知れない男、耕作に最初は警戒心をもっていましたが
やがて、ひたむきに働く姿をつい目で追ってしまうようになります。
そして父親を慕うように「おじさん」と耕作になつく息子。
 
無口だけど頼りになる耕作に、だんだん惹かれていく民子。
ずっとひとりで頑張ってきた彼女の、
せいいぱいいの耕作への告白には胸が詰まります。
 
 「今夜から私のうちに泊まって。もう夜は寒し・・・
それにあの・・もう他人と思っていないから!」
 
「いかないで、どこにもいかないで。私、寂しい・・」
 
そして、警察の車に乗せられていく別れ。
美幌駅の網走行きへの急行での再会。
列車に乗り込んだ民子と、虻田のヘタな芝居と男泣き。
 
「ちょっと聞いたんだけど、
息子と二人で何年も先に帰ってくる旦那を待ってるって話・・アレ本当かね?」
この列車での虻田(ハナ肇)が語る場面が、とにかく最高。
不朽の名シーン。
・・・涙が溢れます。
 
何度観ても感動できる、素晴らしい作品。
お気に入りです。
 

【解説】allcinemaより
北海道東部の酪農の町・中標津。風見民子は一人息子の武志を育てながら亡夫の残した牧場をひとりで切り盛りしていた。そんなある日、激しい雨の降る夜、一人の男が民子の家を訪れ、民子は納屋を提供する。その晩、牛のお産があり、男はそれを手伝うと、翌朝、去っていった。その夏、男が再びやってきて、働かせてくれと願い出た……。