ボーン・コレクター(1999)

原作はジェフリー・ディーヴァーの同名小説

原題は「The Bone Collector」で”骨の収集家”という意味ですが

ここでは劇中に登場するミステリー小説の書名のこと

 

事故より寝たきりになった敏腕の科学捜査官が、女性巡査現場捜査させ

連続猟奇殺人鬼の逮捕に挑むというもの

アンジェリーナ・ジョリーが「17歳のカルテ」で注目をあびる

1本前の作品ですね

この頃のアンジー、演技が巧いというわけではないけど

圧倒的な存在感がありますよね

デンゼル・ワシントンに決して引けを取らない

すっぴんメイクでもこの出来高(笑)

ちょっとコミカルなバディぶりもGOODです

ただラストでわかる犯人の種明かしがガッカリ

しかも、驚異的な記憶力の持ち主のデンゼルが

なんで自分が投獄した犯人のことだけ覚えていない(笑)

しかも支えてくれた仲間を殺してしまう演出の意味がわからない

特に看護師の死は納得いかない、絶対納得いかない

ラストにどうやって回復したのかも不明(愛のチカラってやつ?)

 

アイディアもキャストも良かっただけに

終盤イッキに失速したのは残念なところ

ニューヨーク工事現場で他殺とみられる遺体が発見され

科学捜査官リンカーン・ライム(デンゼル・ワシントン

証拠を採取するためひとりトンネルの奥に潜り込むと

上から降ってきた金属製のパイプに首の骨を砕かれてしまいます

寝たきりになったリンカーン

住み込みで看護しているセルマ(クィーン・ラティファ)に

遺産は全て君に残すように遺言状を書いたと言

医師のバリー(ジョン・ベンジャミン・ヒッキー)には

今度発作が起き植物状態なったら

生命維持装置を外し、尊厳死させてくれ頼んでいます

(自殺願望があるが自分では死ねない)

その頃、一組の夫婦が空港でタクシーに乗り込んでいました

夫婦は旅の疲れから寝てしまい

夫人が目を覚ますとタクシーは全く知らない場所を走っています

夫婦はすぐに車を止めるように要求しますが、運転手は無言のまま

ドアの取っ手も中から開けられないようになっていて

タクシーは走り続けます

ニューヨーク市警のアメリア・ドナヒー巡査(アンジェリーナ・ジョリー)は

現職警察官だった父親が拳銃自殺したことで心に深い傷を負っていて

恋人から求婚されても断るばかり

地域課から少年課に配属されることになったアメリアは

地域課最後のパトロールで、少年が死体を発見したという無線連絡を受けます

現場に急行したアメリアは、線路脇の土砂に埋まった男の顔と指を発見

犯人のものと思われる足跡

線路内には犯人が残したと思われる白い粉とボルト

アメリアは少年にお金を渡し、使い捨てカメラを買いに行かせると

やって来た列車を急停車させ、全て写真に収めます

翌日、殺人課のセリート刑事エド・オニール

ソロモン刑事マイク・マッグローン

事件の捜査協力を求めるためリンカーンに会いに来ます

殺されたのは富豪のルービンで、指には夫人の結婚指輪がはめられていたと聞くと

リンカーンは身代金目的の誘拐事件だと推測します

しかしアメリアが撮影した証拠写真を見ていくうち

これは単純な事件ではないと

(ソリの合わない)チェイニー警部マイケル・ルーカー説得し

捜査に必要な機械と人員をアパートに配置させ

アメリアに捜査の協力を要請するようソロモン刑事に頼みます

そして写真からルービン夫人はパイプの通る地下通路に監禁されていて

パイプから高熱の蒸気が排出される「11月9日午後4時」まで

生きていると割り出します

リンカーンに説得され、ひとり現場に向かうアメリ

その直後、間近で蒸気を浴び絶命したルービン夫人を発見

自分には無理だと逃げ出そうとするアメリアでしたが

一方でリンカーンに惹かれていきます(デンゼル様だもん 笑)

次に犯人は大学生の青年を誘拐し、傷を負わせると鼠の餌食にし

タクシーでの営業中、職務質問しようとした警官も殺します

犯人が犯行のたび現場に残していく小さな紙切れ

その紙切れを繋ぎ合わせると(ジグソーパズルが好きな)セルマが

何かのロゴマークであることを読み解きます

それは「ボーン・コレクター」のという古い本の表紙で

図書館で「ボーン・コレクター」を探し出したアメリアは

本の挿絵通りに事件が起こっていることに気付きます

次の事件は老人と娘の溺死

満潮の桟橋に縛りつけられた老人と孫娘を見つけると(孫娘だけ助かる)

桟橋近くの地下鉄跡で5桁の数字を発見します

それはリンカーンの部屋に飾られていた彼の警察識別番号と同じでした

次のターゲットはリンカーン

アメリアは急いで彼の元に向かうことにします

犯人はリンカーン医療機器技師トンプソンリーランド・オーサー)でした

彼が犯人と知る由もなセルマは刺し殺され

リンカーン訪ねてきたチェイニー警部喉を切り裂かれます

(それまではチェイニー警部が一番怪しかったんだけどね 笑)

トンプソンは偽名で、かってリンカーンと同じ科学班の調査員

元警察官のマーカス・アンドリューズでした

彼は6件の殺人事件で証拠を捏造したことで有罪になり

冤罪だと主張したものの聞き入れてもらえず

投獄されたのはリンカーンの仕業だと逆恨みしていたのです

ベッドのリクライニングを解除して、襲ってくるマーカスの右手を潰したり

噛みついて必死に抵抗するリンカーン

(医療技師じゃなくても機器を外せば簡単に殺せるものをバトルにする謎 笑)

そこに銃声が鳴り響き、アメリマーカスを射殺したのでした

やがて季節は変わり、クリスマス

リンカーンは車椅子で生活できるほど回復

傍にはアメリが寄り添い、友人たちとパーティを楽しんでいます

そこに疎遠になっていたが夫と娘と共に来てくれました

アメリアが呼んでくれたことを知り

リンカーンは今までにない幸せを感じたのでした

 

 

【解説】KINENOTEより

連続猟奇殺人鬼に挑む寝たきりの体の科学捜査の姿を描くサスペンス。ジェフリー・ディーヴァーの同名ベストセラー小説(文藝春秋刊)を「N.Y.殺人捜査線」のジェレミー・アイアコンが脚色。監督は「今そこにある危機」のフィリップ・ノイス。撮影は「フラッド」のディーン・セムラー。音楽はクレイグ・アームストロング。出演は「悪魔を憐れむ歌」のデンゼル・ワシントン、「狂っちぃないぜ!」のアンジェリーナ・ジョリーほか。

リンカーン・ライム(デンゼル・ワシントン)は全米でも有数の犯罪捜査官だったが、4年前の事故で寝たきりになっていた。パトロール警官のドナヒーアンジェリーナ・ジョリー)は男の惨殺死体を発見、証拠を残す手際のよさをライムにかわれ、助手に任命される。犯罪現場に残っていたのは奇妙な骨と紙片。それを分析するため、ライムの部屋が科学捜査班の対策本部となる。現場の証拠を元に次の犯罪を予測したライムだが、ときすでに遅く第二の犯罪が行なわれる。犯人は、ライムたちに挑戦しているようだった。無線でドナヒーに指示を送り、二人三脚で事件に挑むライム。捜査線上に浮かんだのは1900年代初頭の出版社のロゴマーク。事件はいよいよ混迷の度を深めるが、ライムは屈せず事件の解決に乗り出すのだった。

 

遅ればせながら♡ハッピー・ホワイトデー

3月14日はホワイトデー

ちょっと旅に出ていて、お礼が遅くなっちゃいましたが

今年もブロ友さんから素敵なプレゼントをいただきました♪

 

ALWAYS四丁目 ギドラのお城のギドラ伯爵から

宇治抹茶焼きモンブラン

いつもながらセンスの良さは抜群

金色のリボンのついたメッセージカードが

ハートにドキュン

 

・・・

 

なぜかしら

1個しか入っていないわ

(昨年も同じ事件があったような 笑)

でもパッケージに「ひとつで幸せ」で書いてあるから大丈夫

見た目は洋菓子っぽいけど、和菓子なんですね

抹茶のフレーバーと、白餡に栗を練り込んだという濃厚なお味

一瞬で口の中でとろけちゃいます

伯爵、ばっちりお口にあいましたよ

ごちそうさまでした

 

 

そしてもうひとつfpdの映画スクラップ貼のfpdさんから

東京さくさくティラミス

スイーツ王子のfpdさんのチョイスなら

食べる前から間違いなし

パンダのパッケージも可愛いですね

 

・・・

 

・・・

 

なぜかしら

空っぽだわ

お店の人、詰め忘れたんじゃないかしら

(たぶん違うと思う 笑)

ティラミスは消えちゃったけど(笑)

ベベちゃんにぴったりな、fpdさんサイン入り

可愛いポストカードがついていました

お部屋に飾っておきますね

 

伯爵、fpdさん

いつもありがとうございます

今年も美味しくいただきました

・・・息子たちがだけど(笑)

死霊のはらわた(1981)

原題はThe Evil Dead」(邪悪な死者)

 

森林地帯にある人里離れた別荘に、休暇を過ごすためやって来た5 人の大学生

地下室で「死者の書」と、オーディオテープを見つけテープを再生すると

悪霊が解放され4人が憑依されてしまいます

生き延びる方法は宿主の身体をバラバラにすること(なんで?笑)

そうしてひとり残されたアッシュ・ウィリアムズ(ブルー・スキャンベル)と

悪霊たちとの戦いがはじまります

今見ると、めっちゃチープでくだらないんですけど(褒めています)

これ、サム・ライミだったんですね

しかもジョエル・コーエンが助監督

 

ダリオ・アルジェントのようなアートではないし

リンチとクローネンバーグのWデイヴィッドほど変態でもないし

怪物の正体も、5人の関係の説明はなし

テープの謎解きも一切なしのまま

女性が森の木に襲われるわ(妙にエロい)

そんな中、恋人達がペンダントのプレゼントをしてるわ

傷口からは牛乳ブーブー吹くわ(笑)

くるぶしに鉛筆をぐりぐりと刺すわ(ここがイチバン痛い)

死者が歌を口ずさみ、神経に障る声でケタケタ笑う

勢いだけで突き進み

難しさなければ、ストーリー性もないといういいかげんさ(笑)

ただ純粋に怖くしよう、面白くしようというそれだけ

一方で低予算ながら、作り手たちの若いエネルギーが感じられて

当時のホラー映画ファンの心を掴んだのではないかと思います

一部でクレイアニメ(色粘土)を使っているのも楽しい

ミシガン州立大学に通う

アッシュ(ブルース・キャンベル

アッシュのガールフレンドのリンダ(ベッツィ・ベイカー)

アッシュの姉シェリル(エレン・サンドワイズ)

友人のスコット(ハル・デルリッチ)

スコットのガールフレンドのシェリー(サラ・ヨーク)は

休暇を過ごすため、車でテネシー州の田舎にある人里離れた小屋に向かいます

(車はサム・ライミの私物だそう)

不気味な湖

猛スピードでぶつかりそうになる対向車

今にも壊れそうな橋

二度と帰れない予感たっぷりなツカミはOK(笑)

小屋に近づくとポーチのブランコが勝手に動いています

5人は小屋に荷物を運び、シェリルが部屋で時計の絵を描いていると

「一緒に来て」という声が聞こえ

彼女の手は勝手に顔が描かれた本のような絵を描きます

その後皆で夕食を楽しんでいると、突然地下室の落とし戸が開きます

アッシュ地下室を調査することにし、スコットが追うと

シュメール語で書かれたエジプトの「死者の書」を見つけ

一緒に置いてあったテープレコーダーには

レイモンド・ノウビーと名乗る考古学者の

悪霊を復活させるための呪文が録音されていました

シェリルがスコットにテープレコーダーの電源を切るよう頼むと木の枝が窓を割り

その夜遅く再び声を聞いたシェリルが森に入っていくと

木の蔓や枝にレイプされてしまいます

木から逃げたシェリルは、アッシュまで連れ戻してほしいと頼みますが

なかなか車のエンジンがかからない

やっとかかったと思ったら町に戻る橋が破壊されていました

シェリルは悪霊のせいだとパニックに陥り

シェリ小屋に戻ったアッシュがもう一度テープを聞くと

悪霊を殺す方法は憑依した宿主を解体することだと知ります

リンダとシェリーがカードゲームをしていると

シェリルはカードを見ずに数字を当て

次の瞬間悪霊に変身し「なぜ眠りを妨げたのか」と全員を殺すと脅します

シェリリンダの足首を鉛筆で刺し、アッシュを投げつけた隙に

スコットはシェリルを地下室に叩き込み閉じ込めることに成功しますが

部屋に戻ったシェリ窓の外を見ると

何かが衝突してきて、彼女を悪霊に変えてしまいます

スコットシェリーの手首を切ると、シュメールの剣で背中を刺し殺害

しかしシェリーは蘇生スコットは彼女を斧で解体します

アッシュとスコットはシェリバラバラになった遺体を埋葬し

スコットは町に向かうを見つけるために、森に入っていきます

スコットが戻ると、彼は木に重傷を負わされていて

アッシュの「木が生きて逃がすことはない」と警告し息絶えます

アッシュがリンダの様子を見にいくと、彼女も悪霊に憑依されていて

アッシュに攻撃を仕掛けてきました

アッシュはリンダをシュメールの剣で刺しますが

愛する彼女を解体することが出来ず、そのまま埋葬します

するとリンダは復活し再びアッシュを攻撃

アッシュはシャベルで彼女の首を切り落とし

首のない彼女の身体を倒し、小屋に戻りま

今度はシェリルが地下室から逃げ出していて、アッシュの首を絞めます

アッシュはライフルでシェリルの顎を撃ち再び地下室に閉じ込めますが

次は蘇ったスコットの死体がアッシュを襲う

アッシュはスコットの両目をえぐり、腹部から木の枝を引き抜くと

スコットは血を流し倒れます

が、またまたシェリが地下室の戸を突き破って攻撃してくる

スコットも立ち上がって攻撃してくる

ふたりの襲われ倒れたアッシュは

リンダにプレゼントしたネックレスを拾うと

どうにか「死者の書」掴み暖炉に投げ込みます

本が燃えると、スコットとシェリルの身体は急速に分解を始め

両方の死体から何かが飛び出しアッシュを血まみれにします

その後、遺体は完全に消滅しました

夜が明け、小屋から立ち去ろうとするアッシュ

すると目に見えない何者かが素早く小屋の中を駆け抜けると

アッシュは恐怖の叫び声を上げるのでした

 

そうして2に続くという(笑)



 

【解説】ウィキペディアより

1981年のアメリカのスーパーナチュラル・ホラー映画。サム・ライミが監督・脚本、ロバート・タパートが製作、ライミ、タパート、ブルース・キャンベルが製作総指揮を務め、エレン・サンドワイズ、リチャード・デマニンコル、ベッツィー・ベイカー、テレサ・ティリーらが出演している。

米国で240万ドル、全世界で270万ドルから2940万ドルの興行収入を記録した。公開当初とその後の批評家の評価は、いずれも好意的なものだった。この作品は、最も重要なカルト映画のひとつであり、史上最高のホラー映画のひとつとして、また、最も成功したインディペンデント映画のひとつとして評価されている。この作品によってライミ、タパート、キャンベルの3人はキャリアをスタートさせた。

ライミが脚本・監督を務めた2つの直接的な続編『死霊のはらわたII』(1987年)と『キャプテン・スーパーマーケット』(1992年)を皮切りに、ソフト的なリブートと継続を兼ねた4作目の『死霊のはらわた』(2013年)、2023年に5作目の『Evil Dead Rise』が公開予定である。そして2015年から2018年まで放送された後続のTVシリーズ死霊のはらわた リターンズ』など、メディア・フランチャイズを生み出し、フランチャイズにはビデオゲームやコミックも含まれている。また、アッシュ・ウィリアムズというキャラクターは、文化的アイコンとしても考えられている。

 

レザボア・ドッグス(1992)

原題はReservoir Dogs(貯水池の犬たち)

貯水池”転じて”閉じ込められて行き場のない「吹き溜まりの犬たち」という 意味

 

ダイナーで、犯罪組織の元締めジョー(ローレンス・ティアニー)のもとに

集められた黒服の7人の男たち

ジョーは(万が一逮捕されたときのために)お互いの身元を隠すため

彼らに「カラー」の名前を付けます

リーダー的な存在のホワイト(ハーヴェイ・カイテル)は
ジョーとは長い付き合いのベテラン強盗
ダイヤモンド強盗の計画をしていますが
ブラウン(クエンティン・タランティーノ)はひたすら
マドンナの「Like A Virgin」の歌詞は「巨根」を暗示していると語り

※この解釈はタランティーノ独自の考察であり

映画を見たマドンナは「愛について歌った曲」だという

メッセージ付きでタランティーノにCDを贈ったそうです(笑)

ピンク(スティーヴ・ブシェミ)はピンクという名前が気に入らないうえ

ウェイトレスに渡す1ドルのチップについて延々と愚痴っています

あまりにも幼稚でくだらないやり取り10分ほど続いたあと

男たちがダイナーを出ると、いきなりカッコいいオープニング

これには痺れる

しかし場面が変わると、さっきのカッコよさはどこへやら

銃で撃たれ泣き叫ぶ情けない姿のオレンジ(ティム・ロス)と

しかも女性から車を奪おうとして護身用の銃で撃たれ

女性を撃ち殺してしまうという間抜けさ

オレンジを宥めようとしたホワイトは(オレンジがすぐ死ぬと思って)

自分の正体を明かしてしまいます

集合場所の倉庫へたどり着いたのは、彼らとピンクの3人だけ
会話から警察に待ち伏せされ計画は失敗

ブラウンは死亡、ブルーが行方不明になったことがわかります

とにかくしつこい会話劇と、室内劇が続くのですが(笑)

約10分刻みで物語が展開していくという構成の巧みさ

極めて計算された演出で飽きさせません

編集はタランティーノ組のサリー・メンケ

タランティーノの映画が尺も良く、よくできているのは

メンケのおかげといって過言じゃない

ダイヤモンド店を強盗する銃撃シーンなど

お金のかかりそうな場面は一切カットしていて

予算でも、イデアひとつで面白い映画が作れるという

見本のような作品です

遅れてブロンド(マイケル・マドセン)が、若い警官ナッシュを拉致して登場

ピンクは作戦が失敗したのは、メンバーの中に警察の犬がいたからだと主張し

それが誰かを吐かせるため、ホワイトとピンクはナッシュを拷問します

そこへジョーの息子エディ(クリス・ペン)が戻って来て

(ブルーが死んだことを明かされる)

エディの指示で、エディとホワイトとピンクの3人は

逃走に使った車を処分するためと

ピンクが隠したイヤモンドを回収するため出て行きます

ホワイトの拷問が甘いと思ったブロンドは

何も知らないと言うナッシュの耳を切り落とし

ガソリンを浴びせ火をつけようとします

オレンジ間一髪でブロンドを射殺し

自分がロス市警のおとり警察官であることをナッシュに明かします

バックに詰めたダイヤモンドを回収した3人が戻ってくると

オレンジはナッシュの評言で、裏切者はブロンドだったと

射殺したこと説明します

確かにブロンドは最近刑務所から出所したばかりの男
しかし昔からジョーの仕事を手伝っていて、エディとは兄弟同然

オレンジの話を信じることができなかったエディ

嘘の評言をしたとナッシュを射殺

そこにジョーが到着し、ブロンドの死を知りオレンジに銃を向けます

オレンジの潔白を信じるホワイトジョーへ銃を向け

エディがホワイトを狙います

3人は同時に発砲し、ジョーとエディは死亡(ホワイトが2発発砲)

ホワイト重傷を負い、その隙にピンクがダイヤモンドの入った鞄を持って逃げ出ます

オレンジはホワイトに、自分が警察官であることを打ち明け詫びます

裏切者は最も信頼していた男だった

ホワイトは悲しみの表情を浮かべると、オレンジの顔に銃を向け

到着した警察が投降を呼びかけるなか、引き金を引くのでした

そしてホワイトも警官によって射殺されます

ホワイトに素性を明かさなければ、オレンジは生きていれたかも知れないのに

でもこれで、素性を明かしてくれたホワイトとおあいこ

ホワイトが自分に目をかけてくれてくれたことへの、償いだったのでしょう

結局一番賢くて、うまいことやったのは

ピンクという(笑)

タランティーノのデビュー作にして、最高傑作

ただし味はかなり濃い目なので(笑)

好みは別れるかも知れません

 

 

【解説】映画.COMより

クエンティン・タランティーノの監督第1作で、宝石店強盗計画に失敗した男たちがたどる運命を、独特の語り口で緊迫感たっぷりに描いたクライムドラマ。
宝石店を襲撃するため寄せ集められた黒スーツ姿の6人の男たち。彼らは互いの素性を知らず、それぞれ「色」をコードネームにして呼び合う。計画は完璧なはずだったが、現場には何故か大勢の警官が待ち伏せており、激しい銃撃戦となってしまう。命からがら集合場所の倉庫にたどり着いた男たちは、メンバーの中に裏切り者がいると考え、互いへの不信感を募らせていく。
キャストには本作の制作にも尽力したハーベイ・カイテルをはじめ、ティム・ロススティーブ・ブシェーミマイケル・マドセンら個性豊かな顔ぶれが揃った。2024年1月、デジタルリマスター版でリバイバル公開。

1991年製作/100分/PG12/アメリ
原題:Reservoir Dogs
配給:鈴正、フラッグ

 

メイド・イン・USA(1966)

「私には全てが中国」

原題は「Made in U.S.A.

原作は実際に起こったモロッコの左翼政治家失踪事件

「ベン・バルカ事件」をヒントに書かれた

リチャード・スタークの「悪党パーカー/死者の遺産」(The Jugger

相変わらず意味不明で、噛み合わない会話(笑)

舞台のように場面と人が入れ替わり、スカした哲学的なセリフ

(一片のピザを誰と食べるについてひたすら言及している)

誰が警察で、ギャングで、敵か味方なのか

理解しようとするだけでもテンテコ舞い

わかったのは、アンナ・カリーナが、寄りも引きのカメラも可愛いということ

真っ青のアイシャドウと囲みメイク

バーで歌うマリアンヌ・フェイスフルも可愛い(出番は少ない)

ローリング・ストーンズの「As tears go by」を歌うニクさよ

ギターで弾き語りする日本人女性の名前は「mizoguti」(笑)

病院で包帯ぐるぐる巻きの女が誰かはまったくの謎

 

そして「メイド・イン・USA」とは一体何だったのか

1968年、ジャーナリストのポーラ(アンナ・カリーナ

ボーイフレンドのリシャールからの電報を受け取り

彼にうためアメリカのアトランティック・シティに向かうと

彼が(おそらく心臓発作で)死んでいるのを発見します

リシャールの同僚だったというエドガー(エルネスト・メンツェル)

ポーラにリシャールの死を調べる協力を申し出る

彼女は彼を殴りつけ隣の部屋に引きずり込みます

そこにはエドガーの甥であり作家のデヴィッド

デヴィッドの彼女ドリス・ミゾグチがいました

リシャールは共産党員向けの週刊誌の論説主幹で、党の指導者でした

同じようにアトランティック・シティの前市長で共産党員だった

ラクロワも暗殺されていたことがわかります

独自に捜査を続けるポーラを

地元警察のウィドマーク警部(ラズロ・サボ)と

彼の部下のシーゲル(ジャン=ピエール・レオ)が尾行

ポーラが何者かに殴られ、目が覚めるとそこはガレージで

ウィドマークもいました

ウィドマークはポーラに、リシャールラクロワの死に関する証拠

隠し場所を知ってるか尋ね

リシャールが共産党政治的支持してい音声テープを聞かせます

ポーラとウィドマークがホテルに帰ると

エドガーとドリスが殺害されていて大騒ぎ

パリからアルドリッチ警部が捜査に呼ばれて来ています

ウィドマークはアルドリッチ警部から

リシャール殺しの犯人だとわれているので

リシャールが隠した証拠品を探すのを手伝って欲しいと頼みます

しかしポーラも彼が犯人だと疑っていました

アルドリッチ警部はポーラを尋問しますが

デヴィッドがエドガーとドリス殺しの犯人は彼女ではないと評言し釈放

(権力のある何者かにより)捜査中止の命令を受けたアルドリッチ警部は

パリに戻ることをポーラに告げます

さらにポーラが調査を続けていくと

リシャールが秘密の別荘を所有していたことがわかります

部屋で証拠品を捜索しているところをポーラに見つかったシーゲルは

エドガーとドリスを殺したことを教え

金と引き換えにリシャールの秘密の別荘に連れて行くと申し出ると

ポーラは彼を射殺します

リシャールを殺したのもウィドマークとシーゲルだと感づいたポーラは

ウィドマークとリシャールの別荘へ行くことにします

そしてお互い信頼方法として

ポーラはエドガー殺害告白

ウィドマークはリシャール殺害の告白を書き交換することにします

ウィドマークの告白文を受け取ったポーラは

エドワード・ルートヴィヒ博士という共産党の大物議員が関係していて

地元共産党内の左翼過激派が権力掌握するため

穏健派の左翼一掃しようと、リシャールラクロワ市長の殺害を依頼

(リシャールが断ったためウ、ィドマークがシーゲルが殺した?)

さらに事件を隠蔽するためリシャールも殺したのです

ポーラがポケットに隠している銃に手を伸ばす

それに気付いたウィドマークは彼女を撃とうとします

そこに、後ろから近づいてきたデイヴィッドがウィドマークを撃ち殺

ポーラはデビッドを撃ち殺すのでした

高速道路の料金所に立っていポーラは

友人のフィリップ・ラブロ車に乗り込みます

フィリップファシストの蜂起が起こるとは思ないと言う

ポーラは必ずあると答え、彼らに反撃する力を持ちたいと答えます

結局、政治的には左翼も右も同じ

違う呼び方にするべきだというフィリップ

ポーラはその問題を議論すべきか尋ねるのでした

つまり「メイド・イン・USA」はアメリカ人の原作であること

そして穏健派の共産党員暗殺が

アメリカの象徴のひとつとだということなのです(たぶん)

 

 

【解説】映画.COMより

内務省直属の秘密警察とギャング組織の、つながりと機構を一挙に露出して、仏、モロッコ両政府を揺るがす暗黒事件となった《ベン・メルカ事件》を素材に、架空の都市で謎の死をとげた愛人の死因を調べる女事件記者が刑事やギャングにまとわりつかれる。そして、暴力と殺戮と政治の世界が展開される架空の劇に彼女は如何にして解決をつけるか?製作はローマ-パリ・フィルムのジョルジュ・ド・ボールガール、監督・脚本は「カラビニエ」のジャン・リュック・ゴダール、原作はリチャード・スタークの小説“ザ・ジャガー”、撮影は「カラビニエ」のラウール・クタール、音楽はベートーヴェンロベルト・シューマンから、またマルアンヌ・フェイスフルが自身で出演してローリング・ストーンズの“As tears go by”を歌う。編集はアニエス・ギュモが各々担当。出演は「アルファヴィル」のアンナ・カリーナ、ラズ口・サボ、「夜霧の恋人たち」のジャン・ピエール・レオー、その他イヴ・アルフォンソ、ジャン・クロード・ブイヨン、小坂恭子、マリアンヌ・フェイスフル、エルネスト・メンジェル、声だけのゴダールなど。イーストマンカラー・テクニスコープ。

1966年製作/フランス
原題:Made in U.S.A.
配給:フランス映画社
劇場公開日:1971年1月15日

 

6才のボクが、大人になるまで。(2014)

「それで要点は?」

「要点なんかないよ」

原題は「Boyhood」(少年時代)

 

まるでどこかの家庭のドキュメンタリーを見せられているようですが(笑)

れっきとしたフィクション

12年もの間、毎年同じスタッフ同じキャストが集まり

脚本にミーティングで出たアイディアや

子どもたちの成長に合わせた変更を加えながら撮影していったそうですが

そのようなタイムラグがあったとはとても思えません

主人公を演じた少年は、撮影が始まった当時のことは覚えておらず

12~13歳頃になって演技を意識するようになったそうです

姉を演じたのは監督の実娘で、さすがに途中で

「私の役、死んじゃだめ?」と監督に頼んだそうです(笑)

なんとか撮影終了まで頑張りました

 

母親の離婚、引越、再婚によるDV、また引っ越しと

そのことに振り回される姉弟の物語

でもこれは子どもたちの成長記録というより

親が親として成長して、子どもが大学に進学するまでの

責任と役目を果たし終えるまでの話なんですね

なので若い人からしたら、なんて身勝手な大人にしか

見えない内容なんですけど(笑)

 

ときどきグサッとくる、いいセリフや

なるほどな、と思うアドバイスもあって

(ただし100%正しいとは言えない 笑)

ラストはハッピーエンド、ほっこりするものがありました

お爺ちゃんからの誕生日のプレゼントがライフルだったり

ティーンがお酒を飲んだりマリファナを喫っているところは

さすがにお国柄や(パーティ)文化の違いを感じましたけど

 

6歳になるメイソンJr.(エラー・コルトレーン

ママのオリヴィア(パトリシア・アークエット)と

姉のサマンサ(ローレライ・リンクレイター)と3人暮らし

ママが新しい彼氏と別れてしまいまい

実家のあるヒューストンに帰り

おばあちゃんの助けを借りて大学に通う決意をします

そこにアラスカへ行っていたバンドマンのパパ

メイソン(イーサン・ホーク)が1年半ぶりに子どもたちに会いに来ます

メイソンは子煩悩でやさしい性格ですが

夢追い人でお金もなく、家庭には向かない人間

帰宅したママと顔を合わせる喧嘩になり、怒って帰ってしまいます

間もなくしてママは大学教授のビルと再婚

ビルミンディとランディというふたりの子持ちでしたが

ビルの子どもたちとも、すぐに意気投合(子どもの立場でお互い苦労しているのね)

新しい家族として、うまくやっていけるように思われましたが

ビルはおを飲むと豹変するんですね、やたら口うるさくなる

やがて常に酒を飲むようになり、ついにはママに暴力を振るうようになります

ママは友人のキャロルに協力してもらい

メイソンとサマンサを連れビルから逃げることにします

ミンディとランディを心配するメイソンに

実子でないため連れ去る権利がない、誘拐で逮捕されると説明します

サマンサが15歳になり彼氏ができると

パパはいかにコンドームが必要かを娘に訴えます(ちょっとしつこい)

その頃メイソンにも好きな女の子が出来て、パパとキャンプに出かけて恋バナ

パパが言うには「女をモノにしたい時は 質問攻めにすること」

そして「出た答えを熱心に聞くこと」らしい(笑)

 

さらにママにテキサスの大学講師の仕事が決まり

また引っ越すことになることを打ち明けると

「どこへでも会いに行くから」と励ますパパ

テキサスでママは新しい恋人で元兵士のジムと暮らすようになり

中古ですが家も購入します(そのため修理費で金欠になり、ジムとも結局別れる)

 

パパもアニーという若い女性と再婚し、赤ちゃんが誕生

アニーと出会ってから落ち着き、真面目に働くようになったパパ

でもメイソンが16歳になったらプレゼントすると約束していた愛車を

手放したことにメイソンは傷つきます

(約束を忘れ、ファミリーカーを買ってしまう)

高校生になったメイソンは勉強より写真にのめりこんで行きます

こういうときの理解ある先生のさりげない一言って

学生にとって将来を左右する影響することがありますね

メイソンはちゃんと授業を受けるようになり(笑)

先生のアドバイスの通り、アート系の写真で才能が目覚めます

パーティーで知り合ったシーナという恋人もでき

ふたりはテキサス大学へ進学したサマンサのところへ遊びに行きます

(メイソンもサマンサと同じ大学への進学を考えている)

サマンサのアパートで(サマンサは彼氏のところで不在)

ベッドを共にしたふたりでしたが(しかもサマンサのルームメイトと遭遇)

シーナにラクロス選手の新しい彼氏ができ

写真コンクールでは銀メダルを獲得したものの

ショックから立ち直れないメイソン

 

それでも大学が決まり、無事に卒業式の日を迎えます

ママは自宅でメイソンのため卒業パーティーを開き

おばあちゃんに、パパとアニーもやってきます

ふたりの子どもを立派に育ててくれたと、ママに感謝の言葉を述べるパパ

その夜、メイソンはパパとパパの友人のジミーのライブへ行

シーナに失恋したことを打ち明けます

(父親の精神年齢が低いのが、たまには役に立つ)

 

子どもたちが巣立つことになり

家を売り、小さなアパートに引っ越すことにしたママ

メイソンサマンサにも自分の荷物を整理

処分するかガレージセールに出すよう伝えます

そして「これからは自由だ」と言っておきながら

「人生最悪の日だ」と泣き出してしまう

「人生はもっと長いと思っていた」

「結婚して 出産して 離婚して ふたりの子どもたちが大学生になった」

子どもたちのためだけに頑張ってきたのに

「これから私に何があるというの もう私の葬式しかない」

でも食事に行ったレストランのオーナーに声を掛けられたことで救われます

移民の修理工だった彼は、かってオリヴィアに「勉強しなさい」と叱咤され

英語を学び、学校に通ったことで出世できたと言うのです

私のしてきたことは無駄じゃなかった

家を出て大学の寮へ入ったメイソンはルームメイトのダルトン

彼女のバーブと友達のニコールとキャンプ場にハイキングに行くので

一緒にどうかと誘われます

そこは昔パパとキャンプへ来た場所でした

素朴で素敵な女性のニコールは、勉学の傍らタップダンスを教えているといいます
タップダンスを始めた理由は「流行っていないから」(笑)
さらに「どうしてみんな 一瞬を逃すな って言うの」
「私はなぜだか逆に考えちゃう 一瞬は私たちを逃さない」

 

その言葉に共感したメイソンは

「分かるよ 時間は途切れない」

「一瞬というのは 常に今ある時間のことだ」と答えます

それから遠くを見つめると、メイソンは今までにない幸せを感じたのでした

メイソンがここまで素直に育ったのは

たとえ離婚しても、失敗だらけの人生でも

両親が揺るがない愛情を子どもたちに注いできたからでしょう

 

そして子どもが幸せになることこそが

何よりの親孝行なのです

 

 

【解説】映画.COMより

ビフォア・ミッドナイト」のリチャード・リンクレイター監督が、ひとりの少年の6歳から18歳までの成長と家族の軌跡を、実際に12年をかけて撮影したドラマ。主人公の少年メイソンを演じるエラー・コルトレーンを筆頭に、母親役のパトリシア・アークエット、父親役のイーサン・ホーク、姉役のローレライ・リンクレーターの4人の俳優が、12年間同じ役を演じ続けて完成された。第87回アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚本賞ほか計6部門で候補に挙がり、アークエットが助演女優賞を受賞した。米テキサス州に住む6歳の少年メイソンは、キャリアアップのために大学に入学した母に伴われてヒューストンに転居し、その地で多感な思春期を過ごす。アラスカから戻って来た父との再会や母の再婚、義父の暴力、初恋などを経験し、大人になっていくメイソンは、やがてアート写真家という将来の夢を見つけ、母親のもとを巣立つ。12年という歳月の中で、母は大学教員になり、ミュージシャンを目指していた父も就職し、再婚して新たな子が生まれるなど、家族にも変化が生まれていた。

2014年製作/165分/PG12/アメリ
原題:Boyhood
配給:東宝東和
劇場公開日:2014年11月14日

 

 

私のちいさなお葬式(2019)

原題は「Karp otmorozhennyy」(解凍された鯉)

最近には珍しく邦題のほうがしっくりくるタイトル

エスパース・サロウ」は知らない配給会社でしたが

スタッフがちゃんと映画を見ている会社なのはわかりました(笑)

ロシアの田舎町、73歳の寡婦エレーナは元教師

慎ましく年金暮らしをしています

ある日病院で心臓病(不整脈)で余命宣告を受けてしまい

その帰り道、教え子から釣った鯉を貰ったので自宅の冷蔵庫に冷凍

その直後倒れてしまい入院すると

モスクワで働く唯一の身内でひとり息子のオレクが5年ぶりに帰ってきました

退院したエレーナは、息子のために料理しようと鯉を解凍しはじめますが

オレクは仕事だと、すぐにモスクワに帰ってしまいます

するとその夜、解凍したが飛び跳ねエレーナはその鯉を飼うことにします

そして息子にも誰にも迷惑はかけたくないと

ひとり終活することを決意し

秘密のお葬式計画を実行するのです

ロシア映画だけに、検閲があるのでしょうかね

地域格差、失業、アルコール中毒

医療(保険)問題(先進国で不整脈では死なない)といった

ロシアの抱える社会問題を垣間見せながらも

北欧のお洒落可愛いといいますか(笑)

おばあちゃん可愛い、ファッションやインテリアも可愛い

不愛想に見える人たちも、心の中は優しい

 

エレーナはかって「先生」だった立場を利用し

元教え子に死亡診断書を出させると

教え子に墓を用意させ

教え子から棺桶を買います(笑)

あとは心臓発作で死ぬだけとベットに横になりますが、死ねない

そこで隣に住むおばあちゃん、リューダを呼び

「枕で窒息死させてほしい」と頼むことにしますが

「そんなのイヤだよ」とリューダ

とりあえず最後の酒を飲もうということになり

ふたりは酔っぱらい愚痴りはじめます

やがてエレーナが酔いつぶれると、リューダはエレーナの携帯を使い

「お母さんが死ぬよ」と彼女の息子連絡するのでした

慌てて帰ってきたオレクは母親が酒臭いのにびっくり

翌朝目覚めた母親に、養護施設への入居手続きをしたことを伝えると

母親と口論になり、思わず投げた車のキーを鯉が飲み込んでしまいます

スマホも現金も車の中

職場に連絡もできないし、モスクワに帰ることもできない

鯉のお腹を押し、車のキーが解除されないか試すシーンが

間抜けで可愛いすぎる(笑)

獣医から、スパイスを飲ませたらフンと一緒に鍵を出すかもしれないと言われ

ふたりは食料品店に向かいます

そこでオレクは昔恋仲だったナターシャと再会しますが

エレーナはふたりの間に割って入るのでした

オレクをナターシャと別れさせ

年寄りとアル中ばかりの田舎町から

都会に進学させ就職させたのは、エレーナの希望だったのです

結局ナターシャはアル中のDV男と一緒になり

都会に出たオレクも結婚することはありませんでした

 

母親にもし町を出なかったら

「ナターシャと結婚していたかも」と呟くオレク

(ナターシャがこうなることはなかった)

親がいくら子どものために「よかれ」と思った選択でも

それが子どもの本当の幸せに繋がるわけではないのです

夜になり、(昔隠していた)タバコを探していたオレクは古いアルバムを見つけます

そこには子どもの頃の写真や、笑顔の家族写真

こんなにも愛され大切に育てられたことに改めて気付く

ナターシャと別れたのも、母親のせいだと非難するだけで何もしなかった

彼女を救えたかも知れないのに

ナターシャを選ばなかったのも、結婚しなかったのも、

自分の意志だったと気づくオレク

オレクは池に向か鯉を放すと、自分も池に飛び込み泳ぐことにします

びしょ濡れ帰宅し、オレクが母親が横たわるベッド近寄ると

すでに母親は息絶えていました

オレク静かにうずくまると、むせび泣くことしかできませんでした

昔「電波少年」という番組でBluem of Youth(ブルームオブユース)という

2人組の音楽ユニットがロシアを旅する企画があって

ザ・ピーナッツの「恋のバカンス」がロシアの国民曲であることを知ったのですが

本作でも「恋のバカンス」のロシア語バージョンが常に流れていましたね

ウクライナ侵攻や民族問題を抱え、各国から制裁を受けているロシアですが

そのために何の罪のないロシア人が

特に弱い立場のお年寄りや子どもたちが生活苦に陥ってしまう

一度死んでも、蘇った鯉

それこそがロシアの希望、国の再建の象徴なのかなと思いました

 

 

【解説】映画.COMより

突然の余命宣告を受けた73歳の女性が自身のお葬式計画に奮闘する姿を描いたロシア映画。村にただひとつの学校で教職をまっとうし、定年後は気のおけない友人たちと大好きな本に囲まれ、慎ましくも充実した年金暮らしを送っている73歳のエレーナ。そんな彼女が病院で突然の余命宣告を受けてしまう。都会で仕事に忙しい毎日を過ごし、暮らし5年に一度しか顔を見せないひとり息子のオレクには迷惑はかけたくないと、自分で自分の葬式の準備をスタートさせる。惨めな死に方だけはしたくない彼女の願いは、お葬式に必要な棺や料理の手配を済ませ、夫が眠るお墓の隣に埋葬されること。親友やかつての教え子たちの協力もあり、彼女はお葬式の準備を順調に整えていく。しかし、完璧かに思えたエレーナのお葬式計画に想定外の事態が持ち上がってしまい……。

2017年製作/100分/G/ロシア
原題:Karp otmorozhennyy
配給:エスパース・サロウ
劇場公開日:2019年12月6日