隔たる世界の2人(2020)

「人の痛みに無関心にならないでください」

             授賞式でのトラヴォンフリー監督のスピーチ



原題は「Two Distant Strangers」 (ふたりの遠い見知らぬ人)

29分とは思えないエンタメクオリティの高さ

しかもこれだけ重く残酷なテーマを

コメディでポップに描き切る勇気に驚いた

アカデミー賞最優秀短編実写映画賞受賞

作品のベースになっているのは

白人警官によって窒息死に追いやられた

#エリック・ガーナーさんや、#ジョージ・フロイドさん事件


ニューヨークでグラフィックデザイナーをしている

黒人男性のカーター・ジェームズは、恋人ペリーの部屋に初お泊り

しかしお腹を空かせて待っている愛犬に餌をやるため

朝には自分のアパートに帰らなければならない

ペリーの部屋を出て路上で煙草を一服しようとしたら

(彼女の部屋では吸わないマナーなのね)

白人警官のメルク巡査が「匂いがおかしい」と因縁をつけてきます

そして所持品検査に抵抗したジェームズを絞め殺すのです

次の瞬間ベッドで再び目を覚ますジェームズ

夢か・・犬に餌をやらねばと部屋を出ると

またしてもメルク巡査がやってきて殺されてしまう



また夢か・・再び路上でメルク巡査に殺される

夢か?いや、夢じゃない

 

これじゃあ、いつまでたっても犬に餌をやりに行けない

どうにか警官に殺されないように

あの手この手を考えるのだけど、やっぱり殺されてしまう

もう彼女の部屋から出るのはやめた

それなら大丈夫だろうと思ったら

部屋を間違えた機動隊によって撃ち殺されてしまう

オール・ユー・ニード・イズ・キル」(2014)と同じ

何度死んでも生き返るというタイム・ループものですが

こちらには意義も正義もポリシーもない

個人的な恨みも一切ない

黒人というだけで職務質問され、お金も持ち物も盗品扱い

勝手に犯罪者だと決めつけられる

「どれだけ時間がかかっても、何度繰り返しても

 俺は絶対に犬が待つ家に帰るんだ!」

 

99回死んだ後、ジェームズはメルク巡査と話し合う決意をします

毎朝同じ風景を見て周辺の人々の挙動を全て覚えてしまったジェームズは

誰が次にどの行動をするか説明して

メルク巡査にループを信じてもらうことにします

ジェームズの話を聞いたメルク巡査は

彼をアパートまで送ることになります

これでやっと犬に餌をやれる

しかしパトカーを降りたジェームズにメルク巡査は

実は自分も毎日ループしていることを伝えます

オマエも覚えていたのかよ(笑)

そして「また明日な」とジェームズの背中を撃つのでした

ただ家に帰りたいだけの黒人を

殺しても構わなという白人警察官の

シンプルすぎる救いようのなさ

 

しかも悪人をひとりの白人警官に絞ることによって

決して白人全部が悪いとは言っていない上手さ

 

ただひたすら帰ってこないご主人の帰りを待つワンコの姿

エンドロールはブルース・ホーンズビーThe Way It Is

(日本語字幕は「仕方がないよ」)と流れる

白人警官と遭遇してしまったがために犠牲になった

多くの黒人の名前死因

もはや映画は30分でいいと言える(笑)

社会派ブラックコメディの傑作でした



【解説】映画.COMより

白人警官に殺され続けるタイムループにはまった黒人男性の戦いを通して人種差別問題を真正面から描き、2021年・第93アカデミー賞で短編実写映画賞を受賞したSFドラマ。一夜をともにした女性の部屋で目覚めたグラフィックデザイナーのカーターは、愛犬の世話をするため自宅へ帰ろうとする。しかし路上で遭遇した警官メルクに所持品検査を強要され、抵抗すると地面に押さえつけられ窒息死に追いやられてしまう。意識を失った瞬間、カーターは再び女性の部屋で目を覚ますが、帰ろうとするとやはりメルクに遭遇し、今度は射殺されてしまう。自分がタイムループにはまり込んだことに気づいたカーターは、メルクに殺される運命からどうにか抜け出そうとするが……。人気ラッパーのジョーイ・バッドアスが主演を務めた。Netflix202149日から配信

ペイ・フォワード 可能の王国(2000)

原題は「Pay It Forward」(次に渡そう)

タイトルの通り(助けてもらった)恩を返すのではなく

次へ渡していくお話

 

車を壊された新聞記者が、見ず知らずの他人から

突然高級車のジャガーを使ってくれとプレゼントされます

一体なぜ?

物語はその4ヶ月前から本題に入ります

アメリカでは)7年生の社会科の授業、新任のシモネット先生は

「今住んでいる世界をより良くするにはどうしたらいいか」

という課題を出します

そこでトレバ―は「ペイ・フォワード」という案を思いつきます

自分が受けた善意や思いやりを、その相手に返すのではなく

別の3人に渡すというもの

受け取った3人は次の3人へ

次の3人も次の3人に渡していけば

世界は善意で変えられると考えたのです

そして自ら実行するために、まずは母親に内緒で

ひとりのホームレス家に住まわせるのでした

 

H・J・オスメント君が本当に可愛くて、演技もうまくて

これは素敵な物語になるのではないかと

ワクワクするんですが(笑)

現実は理想通りにいかない

しかもアルコール依存症に、ホームレスに、家庭内暴力、虐め

11歳の少年が立ち向かうには問題が重すぎる

 

もうだめだ、結局自分にはなにもできない

ロウソクの灯は消えてしまった

でも彼の知らないところで善意の輪は広がっていたのです

トレバーが善意の行為を繋げようと思った3人は

仕事に就かない薬物中毒のホームレスに住む場所と食事を与えること

火傷を負ったせいで自信をなくしたシモネット先生とママを

一緒にさせて幸せになってもらうこと

天然パーマのせいでいじめられている同級生を救うこと

ホームレスのジェリーは楽物中毒に戻りますが立ち直り
自殺しようとしていた女性を救いました

ジム・カヴィーゼルのホームレスとか
ジョン・ボン・ジョヴィの酒癖の悪いオヤジとか

何気に豪華すぎ(笑)

記者のクリスはジャガーをくれた男に会いに行きます
(一流弁護士の)男は娘が喘息の発作で危険な時
怪我をした黒人男性が銃をぶっ放してまで
順番をゆずってくれたおかげで娘の命が助かった
車を譲ったのはその恩渡しだと教えてくれます

そのことで刑務所に入れられてしまった黒人男性に
クリスが面会に行き理由を聞くと

犯罪を犯した自分を助け逃がしてくれた車上暮らしの老婆から

「ペイ・フォワード」を教えられたといいます

 

次に黒人男性から聞いた老婆に会いに行くクリス

老婆は「ペイ・フォワード」は孫の考えたアイディアだと答えました

ママはシモネット先生といったんは付き合いますが

突然帰ってきた父親とヨリを戻してしまう

だけどやっぱり殴られ夫を選んだことを後悔し別れてしまいます

トレバ―はママとやり直すようシモネット先生に懇願しますが

大人の事情はそう上手くはいかないと説明されます

そこでママはトレバ―の善意をバトンするために

アルコール依存症で疎遠になっていた母(トレバ―の祖母)を訪ねます

今なら気持ちがわかるし理解できると母を許したのです

祖母が黒人男性を助けた老婆だったのです

 

ただ物語と物語の繋ぎ方が悪いんですね(笑)

時系列がわかりにくすぎる難点

最後にクリスはトレバ―を取材するため訪ねます

その日はトレバ―の12歳の誕生日でした

テレビのインタビューでトレバ―は

自分は何もできなかった

「ペイ・フォワード」を繋げたのはママなんだと答えます

 

そして再びシモネット先生はママに告白し

ハッピーエンドで終わるかと思いきや

天パの友だちを虐めから助けようとしたトレバ―が

不良に刺され、あっけなく死んでしまいます

悲しみに暮れるママとシモネット先生

だけど外の異変に気づきドアを開けると

そこにはロウソクと花束持つ多くの人々の姿がありました

 

これはもう悲しんだらいいのか

それとも感動させたいのか

わからない(笑)

もう少しシンプルでよかったと思います

アイディアがいいだけに惜しい

 

でも自分も「ペイ・フォワード」していこうという

気持ちにはなりましたね

さすがにジャガーはあげられないけど(笑)

(その前に買えないがな)

 

【解説】allcinema より

ディープ・インパクト」のミミ・レダー監督、「アメリカン・ビューティー」のK・スペイシー、「恋愛小説家」のH・ハント、「シックス・センス」のH・J・オスメント共演で描くハート・ウォーミング・ストーリー。中学1年生になった最初の日、社会科のシモネット先生が出した課題は“この世の中を良くするためには何をしたらいい?”というも

コリーニ事件(2019)

原題も「Der Fall Collini」(コリーニ事件)

 

ドイツの法廷もの

アメリカ映画の、いかに感動的に「陪審員に訴える」かとは違い

「正しい法律」とはなにかを考えさせられる佳作

被告席がガラス張りになっていたり、証人が判事側を向いてたり

法廷の作りや配置が違うところも興味深かったですね

血を浴びた老人がホテルのロビーの椅子に座り込み

従業員に大企業の社長ハンス・マイヤーがスイートで死んでいると告げます

国選弁護人に選ばれたのは新人のトルコ人弁護士ライネン

検視の結果、イタリア人の被告人コリーニは

無抵抗の被害者の頭に銃弾を3発撃ち込んだうえ

死体の頭を何度も踏みつけ頭蓋骨を破損させるという

残忍極まりない行為に及んだことがわかります

終身刑は間違いない状況

しかしそこまでの犯行に至るには何か相当な恨みがあるはず

だけどコリーニは何も話さない

「・・・迷惑はかけたくないんだ」

 

事件を紐解くきっかけになったのは、犯行に使われたワルサ―P38

鑑識した人物は今ではこの銃はほとんど見かけないし

販売もされていないと言います

ライネンはあることを思い出しました

かって被害者の家の図書室で同じ銃を見たことがあるのです

ワルサ―P381938ドイツ国防軍の制式拳銃に採用され

第二次世界大戦中はドイツ軍によって最も使用された銃でした

1944年6月、ナチス将校だったハンス・マイヤーは

侵攻したイタリアのモンテカティーニでドイツ軍人ふたりが

ファシズムパルチザンのテロにより殺され

その報復として民間人20人を虐殺したのです

その中のひとりがコリーニの父親でした

ナチスの将校が軍資金や技術資料をもって国外逃亡したり

実業家として成功した例は多くあり

温厚で人種差別などとんでもない、人助けをするような好好爺が

実は元ナチスということも実際あるのでしょう

そんな元戦犯を救済するための法律が1968年に制定された「ドレーアー法」

民間人を虐殺した場合でも「上司の命令だった」という理由で

責任を免れることができるというものです

 

日本では処刑された戦犯を靖国神社で英霊(神)として祀り

近隣国から問題視されていますが

ドイツでも「身内を裁く」ことの難しさがわかります

一方で虐殺されたり、拷問を受けた当事者や家族にとって

戦争は何十年経っても終わらない

過去にコリーニは正式にハンス・マイヤーを戦犯として起訴しましたが

ドレーアー法のせいで却下されていました

 

法が裁けないならば、自分が裁く

コリーニは結婚もせず、子どもも作らず

自らも死ぬつもりで仇を討ったのです

ただ主人公がなぜトルコ人なのか、とか

ハンス・マイヤーが面倒を見るようになった関係がわかりにくく

かっての恋人で孫のヨハナとのラブシーンも余計

ケバブ屋のバイトだったのに、ってアンタ 笑)

序盤のサイドストーリはないほうが良かったかもですね

でもピザ屋のドラゴン・タトゥーなお姉さんが出てくるあたりから

グッと面白くなるので(笑)

最後まで投げ出さずに見てください

コリーニ役がフランコ・ネロなのは嬉しい驚き

原作者のフェルディナント・フォン・シーラッハの祖父は

ナチス党全国青少年指導者でドイツでは有名な弁護士ということ

そんな元ナチス幹部の存在や法律が身近にあってこそ

実際にある刑法をここまで切り込むことができたのでしょう

2012年、ドイツ連邦法務省では調査委員会を立ち上げたそうです

 

 

【解説】映画.COMより

ドイツの現役弁護士作家フェルディナント・フォン・シーラッハの世界的ベストセラー小説を映画化した社会派サスペンス。新米弁護士カスパー・ライネンは、ある殺人事件の国選弁護人を担当することに。それは、ドイツで30年以上にわたり模範的市民として働いてきた67歳のイタリア人コリーニが、ベルリンのホテルで経済界の大物実業家を殺害した事件で、被害者はライネンの少年時代の恩人だった。調査を続ける中で、ライネンは自身の過去やドイツ史上最大の司法スキャンダル、そして驚くべき真実と向き合うことになる。主人公ライネンを「ピエロがお前を嘲笑う」のエリアス・ムバレク、被告人コリーニを「続・荒野の用心棒」の名優フランコ・ネロが演じる。監督は「クラバート 闇の魔法学校」のマルコ・クロイツパイントナー。

007/ダイ・アナザー・デイ(2002)

シリーズ20作目

原題も「DIE ANOTHER DAY」(死ぬのは別の日)

シリーズ40周年と20記念しダブル・アニバーサリー作品

ブロスナンボンドの4作目にして最終作

しかも過去19作品のおバカ娯楽アクションと

女好き諜報員を振り返る集大成(笑)

ドクター・ノオ」のハニー・ライダー

「ゴールド・フィンガー」のハロルド坂田

サンダーボール作戦」の顔の整形、ジェット・パックに小型酸素ボンベ

ダイヤモンドは永遠に」のブロフェルド猫

オクトパシー」 のワニ型潜水艇

リビング・デイライツ」の秘密兵器搭載アストンマーチン

「ゴールデン・アイ」の人工衛星攻撃

 

その他、数えきれないほどのパロディがあるということで

007マニアには堪らないものがあるでしょう

ダイヤの密売人として北朝鮮武装地帯に侵入しボンド

武器の密輸をしているムーン大佐を抹殺します

しかしムーン大佐の側近のザオに(顔認証システム)正体がばれ

ホバークラフト逃亡したものの(ムーン大佐のムーン将軍に捕らわれ

14ヵ月に渡り監禁拷問を受けることになります

その間ザオが中国の諜報員3人を殺した罪で捕虜となり

北朝鮮とイギリスとで、ボンドとザオの捕虜交換が行われます

MI6に戻ったボンドでしたが、1週間後アメリカ人の諜報員が北朝鮮で殺され

ボンドが収監されていた収容所から情報が漏れていたことから

Mはボンドの00(ダブルオー=殺しのナンバー剥奪

疑惑を晴らすため単身ザオが潜入しているキューバに向かったボンド

ザオが病院で人種を変えるDNA変換療法を受けていることを知ったボンドは

キューバで知り合ったジンクスと名乗る女性と彼を追いますが逃げられ

ザオから奪ったダイヤのペンダントが

イギリスのダイヤ王、グスタフ・グレーブスのものだとわかります

黒幕はグレーブスと確信したボンドは

アイスランドで開かれるグレーブスの会社の

人工衛星のデモンストレーションに参加

そのことを知ったMは再びボンドに00のライセンスを与えるのでした



主題歌「DIE ANOTHER DAY」マドンナ

 

007/ジェームズ・ボンドピアース・ブロスナン

海辺のバーで葉巻を吸うのは、ボンド初の喫煙シーン
批判の声もあったそうですがアメリカ人はヘンなところに神経質)

キューバ名産といったら葉巻よね



ジンクス"ハル・ベリー

アメリカ国家安全保障局NSA)の諜報員、本作のメイン・ボンドガール

ジンクスという名前の由来は13日の金曜日生まれから

ドクター・ノオ」のハニー・ライダーにリスペクト

 

グスタフ・グレーブストビー・スティーブンス

アイスランドのダイヤモンド会社グレーブス社のイギリス人社長で

正体はDNA変換治療でイギリス人に成りすましたムーン大佐

大量のダイヤを使った衛星イカルスで太陽光を利用し

韓国の地雷原 (38度線)焼き尽くすのが目的

ボンドとの対決の末、飛行機のジェットエンジンに吸い込まれて死亡する

 

ミランダ・フロストロザムンド・パイク

Mからボンドとグレーブスの監視を命じられるMI6のエージェント

アイスランドでは敵の目を欺くためボンドと恋人同士を装い愛し合う

実はグレーブスとの2重スパイでジンクスに殺される

 

ザオリック・ユーン

北朝鮮のテロリスト

アルバレス博士の病院でドイツ人に変身する途中、ボンドに邪魔される

グレーブスの氷の屋敷でボンドと戦い、氷のシャンデリアの下敷きになり死亡

 

アルバレス博士サイモン・アンドルー

グレーブスやザオをアジア人から西欧人に人種変換することのできる

病院の経営者


ムーン大佐ウィル・ユン・リー

ダイヤと交換で武器の密輸を行っていた北朝鮮軍大佐

ボンドに殺されたと思ったがイギリス人実業家に成りすましていた

 

ムーン将軍ケネス・ツァン

ムーン大佐の父親、息子とは反して平和的統一を望みボンドを支援する

イギリス人の姿になった息子の韓国攻撃を阻止しようと銃を向けるが

躊躇ってしまい逆に息子に撃ち殺されてしまう

 

ラウルエミリオ・エチェバリア

イギリスで旅行代理店を経営する

ハバナの葉巻工場のマネージャー

ボンドに武器や車を調達する

 

ウラジーミル・ポポフマイケル・ゴアボイ

グレーブスに雇われている科学者

表向きは人工太陽エネルギーで1年中農作物の収穫を可能にするという

大量のダイヤを使った人工衛星イカルス」の開発に携わる

 

ミスター・キルローレンス・マコール

グレーブスに雇われている殺し屋の一人

 

ベリティマドンナ

グレーブスとミランダ・フロストが通う

フェンシングクラブのインストラクター

 

ミスター・チャンホ・イー

テルマネージャーを装っている中国の特別捜査官

ザオがキューバに潜入している情報をボンドに伝える

 

ピースフルレイチェル・グラント

ミスター・チャンの部下

マッサージ師として秘密裏に活動している

 

客室乗務員(デボラ・ムーア)

3代目ボンド、ロジャー・ムーアの娘

ロンドンへ帰る機内でボンドにマティーニを出してくれる

 

Mジュディ・デンチ

 

チャールズ・ロビンソン(コリン・サーモン

Mの副参謀長

 

Qジョン・クリーズ



マネーペニーサマンサ・ボンド

Mの秘書

ボンドとの願望(妄想セックス)はかなり恥ずかしい(笑)



 

北朝鮮へ戻ったグレーブスは父親のムーン将軍を射殺すると

イカルス」を使って韓国に向かって地雷原の攻撃を始めます

ボンドとジンクスは、グレーブスの乗っている飛行機に乗り込

ジンクスはパイロットを倒しミランダの胸にナイフを刺し

操縦かんを握ります

グレーブスはパラシュートを使って逃げようとしますが

ボンドがパラシュートの紐を引っ張り阻止したため

ジェットエンジンに吸い込まれてしまいました



ボンドとジンクスは搭載されていたヘリコプター

墜落寸前の飛行機から脱出

中国の孤島でグレーブスのダイヤに埋もれて愛し合いました

見どころは決戦のアイスランド

(迷彩装置で消える 笑)アストン・マーチンV12

ジャガーXKR(ボンドカー並みのオプション)の

氷上でのカーチェイス

 

そこに宇宙から光線で攻撃を仕掛ける衛星イカルス

しかしボンドは光線より早く逃げ切るという

いつもながらの安定した科学的根拠なし(笑)

これからも007シリーズは制作されていくのだろうけど

女好きで節操はないけど洒落ている

時にはコメディ(笑)のジェームズ・ボンド

顔とスタイルとお色気第一のボンド・ガールは

本作のブロスナン・ボンドで終わりなんだろうな

 

コンプライアンスも大切だけれど

ハラスメントな007がもう見れないのは、なんだか寂しい(笑)

 

 

 

【解説】allcinema より

製作40周年かつシリーズ第20作目という節目を迎えた痛快スパイ・アクション。ピアース・ブロスナン扮するジェームズ・ボンド朝鮮半島を皮切りに世界中を飛び回り、世界征服を企む強敵へ立ち向かっていく。注目のボンドガールには「チョコレート」のハル・ベリーとイギリスの新星ロザムンド・パイク。監督は「スパイダー/コレクター2」のリー・タマホリ。主題歌はマドンナが担当し、カメオ出演も果たしている。
 ジェームズ・ボンドは、北朝鮮のムーン大佐暗殺任務に就き、英国諜報部員の精鋭たちと共に朝鮮半島に潜入する。しかし、任務遂行目前にして正体を見破られ、北側に捕まり、監禁、拷問に耐える日々が続く。14ヶ月後、ボンドは南側で捕虜となっていたムーン大佐の腹心ザオとの交換によりようやく自由の身となった。しかし、上司Mはボンドが拷問に負け情報を漏らしたと疑い、諜報部員の資格を剥奪したうえ施設内に幽閉してしまう。ボンドは自らの疑いを晴らすため、なんとか施設を脱出すると、鍵を握る男ザオを追ってキューバへと向かうのだった…。

007/ワールド・イズ・ノット・イナフ(1999)

「世界をあげたのに」

「世界じゃ不足だ」

 

シリーズ第19

原題のThe World Is Not Enough(世界を手に入れても足りない)は

ボンド家に伝わる家訓のこと

ブロスナン・ボンドにしては、後のダニエル・クレイグを思わせる

(脚本は全クレイブ版を手掛けたニール・パーヴィス

シリアスでやや複雑なストーリー

しかもまさかのメイン・ボンド・ガールが人格障害

ボンドが射殺してしまうという後味の悪さ

が、カジノから出てくるスズキムネオ風?や

コントにしか見えない建物の崩壊や自動車の破壊

気球で爆死、バグパイプバズーカに潜水艦ドリル、ノコギリヘリコプター

〆は女性の裸も覗けるサーモグラフィーという(笑)

おバカアイテムとツッコミどころは相変わらず

Mが誘拐されたり、意外な所でボンドが拉致されるのは

今までにない展開でよかったけど

ハードな面を強調したかったのか

いつもの女好きで洒落た娯楽アクションにしたかったのか

どっちもつかずで中途半端

正直、失敗作だと思います(面白くないわけではない)

 

ロシアからヨーロッパへ石油を運ぶ

旧ソ連アゼルバイジャンのパイプラインの利権をめぐり

石油王キング卿が”レナード”と呼ばれる国際テロリストに殺されます

さらに”レナード”はカザフスタンの核燃料解体処理施設から核弾頭を盗み

ロシアの原子力潜水艦からもプルトニウムを盗み

パイプラインを爆破させようとしていました

やがてそのことはキング卿の娘で後継者であるエレクトラ嬢が

レナード”と仕組んだ自作自演であることがわかります

ふたりは核爆弾でパイプラインを破壊し

世界を混乱に陥れようと企んでいたのです

 

 

主題歌The World is Not Enoughガービッジ

 

007/ジェームズ・ボンドピアース・ブロスナン

 

エレクトラ・キングソフィー・マルソー

本作のメイン・ボンド・ガール

ボンドが護衛する巨大石油パイプラインの相続人で

ストックホルム症候群、”レナード”に洗脳されている

エレクトラという名前は”エレクトラコンプレックス”から

(女児が父親に対して強い独占欲的な愛情を抱くこと)
だけど父親との確執がセリフだけでサラッと終わるので

憎しみが伝わらない(笑)

 

ハボール(ジョン・セル)

エレクトラのボディーガード



ロバート・キング卿デヴィッド・カルダー

イギリスの石油王でエレクトラの父親

レナード”に殺される

 

ラシェーズ(パトリック・マラハイド

キング卿の盗まれた大金を取り戻そうとするスイスの銀行家

 

クリスマス・ジョーンズデニス・リチャーズ

おバカなネーミングは本作でも健在(笑)

頭良さそう(物理学者)に見えないけど、核の専門家

しかも男に関心ゼロなのに、その格好はないだろ(笑)

 

ヴィクター・ゾーカス 通称”レナード”ロバート・カーライル

KGBエージェントのハイテクテロリスト

パイプラインを破壊して世界を混乱に陥れようという企んでいる

かってエレクトラを誘拐し、彼女に好意を抱かれている

「痛みを感じない」というアイディアはよかったものの

放っておけば死んでしまう設定なので

その機能は発揮されないまま終わる

 

ドクター・ウォームフラッシュセレナ・スコット・トーマス

MI6エージェントで医師

レナードの脳内の弾丸が彼を無敵に見せていることを証明

 

アカキエヴィチ大佐(クロード=オリバー・ルドルフ)

カザフスタンのロシアICBM基地の指導者

 

ズコフスキーロビー・コルトレーン

ボンドがレナードの情報を探ろうと接触する

元ロシアンマフィアでカジノのオーナー(ゴールデンアイから再演)

 

ブルゴールディー

ズコフスキーのボディーガード



シガー・ガールマリア・グラツィア・クチノッタ

ボンドと銀行家に葉巻を渡し殺そうとした

レナード”のために働くプロの暗殺者

 

ダヴィドフ(ウルリク・トムセン)

アゼルバイジャンパイプラインの治安責任者

レナード”の連絡係

 

Mジュディ・デンチ

ピンチになるシーンは、後のスカイフォールで再現

 

ビル・タナーマイケル・キッチン

M参謀総長



チャールズ・ロビンソンコリン・サーモン

Mの副参謀長

 

Qデスモンド・リュウェリン

シリーズ17作に主演した本作が遺作 交通事故で死亡

お疲れさま、そして最期までありがとう

 

Rジョン・クリーズ

引退間近のQに代わって配属

新たなボンドカー(BMWZ8)をボンドに提供

2000年問題による誤作動かもしれない」の返しは秀逸
(懐かしいね、2000年問題 笑)

 

マネーペニーサマンサ・ボンド

Mの秘書



シリーズいち豪華なボンドガールなのに

ソフィーマルソーの悪女っぷりには最後までイライラ(笑)

ロバート・カーライルも微妙に気持ち悪い(笑)

エレクトラを射殺したボンドは、レナードが奪った潜水艦に侵入

クリスマスを救い出し、レナードを倒します

潜水艦から脱出したボンドとクリスマスは祝杯をあげるのでした

 



【解説】KINENOTEより

英国諜報部MI6の諜報員007ことジェームズ・ボンドの活躍を描くシリーズ第19作。監督は「ネル」のマイケル・アプテッド。脚本は「トゥモロー・ネバー・ダイ」のブルース・フィアステイン、ニール・パーヴィスロバート・ウェイド。原案はパーヴィスとウェイド。製作のバーバラ・ブロッコリとマイケル・G・ウィルソンと音楽のデイヴィッド・アーノルドは「トゥモロー・ネバー・ダイ」に続く参加。撮影はエイドリアン・ビドル。美術は「タイタニック」のピーター・ラモント。編集はジム・クラーク。出演は「トゥモロー・ネバー・ダイ」に続きピアース・ブロスナン、「ファイアーライト」のソフィ・マルソー、「ワイルド シングス」のデニーズ・リチャーズ、「フル・モンティ」のロバート・カーライル、「危険な動物たち」のジョン・クリーズに加えて、レギュラー陣のデズモンド・ルウェリン(本作撮影後に死去し、遺作となった)、ジュディ・デンチらが登場。

MI6本部内で石油王ロバート・キング卿が爆殺された。ジェームズ・ボンドピアース・ブロスナン)は作戦会議上で、M(ジュディ・デンチ)から事件の主犯が元KGBのテロリスト、レナード(ロバート・カーライル)であることを知らされ、彼が卿の娘エレクトラ(ソフィ・マルソー)を狙っていることを知る。父の後を継ぎ、ロシアから中近東、ヨーロッパとまたがる巨大石油パイプラインの計画に取り組むエレクトラの護衛についたボンドだが、ミステリアスな彼女に翻弄されながらもお互いにひかれていく。そんな矢先、レナードが核研究所から大量のプルトニウムを盗んだ。クリスマス・ジョーンズ博士(デニーズ・リチャーズ)と行動を共にしたボンドは、レナードが核兵器を作り上げ、世界を危機に陥れる計画を立てていることを知る。かくしてボンドはレナードの陰謀を阻止すべく奔走し、事件の背後に隠された意外な事実を知るのだった。

男と女 人生最良の日々(2020)

「人生最良の日々を、(わたしたちは)まだ生きてはいない」

                  ヴィクトル・ユゴー

原題はLes plus belles annees d'une vie(人生で最も美しい年)

 

「男と女」(1966)の続編、想像したよりかなり好い出来で

トランティニャンの遺作として本当にふさわしい作品

しかも50年の歳月を経て

ほぼ同じキャスト、同じスタッフで制作されたという奇蹟

 

「男と女Ⅱ」 (1986)は見ていませんが

たぶん「男と女Ⅱ」 はなかったことになってるんですね(笑)

ノルマンディーで雑貨店を営むアンヌ

娘のフランソワーズは獣医でその日も馬の分娩の予定があり

忙しく駆けまわっていました

そこに見知らぬ男がアンヌを訪ねてきます

 

彼はかってのアンヌ恋人、ジャン=ルイの息子アントワーヌでした

アントワーヌは、認知症になり余命いくばもない父親に

逢って欲しいとアンヌに頼みに来たのです

「頼まれただけ」「お化粧してるからよ」

アヌーク・エーメ(撮影時86歳)がびっくりするくらい魅力的なのに対し

トランティニャン(撮影時88歳)は本物の認知症かと思うくらい

年老いてヨボヨボ

 

それがアンヌと話すうち、だんだんと活き活きしてきて

かってのハンサムで女好きでモテ男のオーラ復活

いやあ凄い

これが本物の俳優というものなのだな

とにかく会話が粋で洒落ている

だけど押しつけがましくなく、サラッとしている

恋愛に年齢は関係ないことを教えてくれます

そしてかってふたりの愛し合った映像が

フラッシュバックで流れます

 

愛を告白する電報

「モンマルトル1540」の 電話番号

フォードマスタングのドア番号「184

6時のパリ「18」の赤信号

ノルマンディーのホテルの部屋番号「26

プランシュドドーヴィルの海岸

シャバダバダ・・・

ジャン=ルイは老いたアンヌが、アンヌとは気付かずに

たくさんの女性を愛したが、彼女ほど愛した女性はいないと語ります

だけど事故で亡くなったアンヌのスタントマンの夫が

ジャン=ルイにとって彼とアンヌの間に立ちはだかっていたのです

その寂しさを紛らわすように他の女性と浮気してしまう

そして結局別れてしまった

アンヌはジャン=ルイをドライブに誘います

ふたりが出会った寄宿学校

あの日のホテル、海岸

 

ジャン=ルイはアンヌに許しを乞い

もう離れ離れになりたくないと訴える

どこまでが夢か現実なのか

つかの間正気に戻り、また忘れてしまう

そんなジャン=ルイをアンヌは慈しみ、愛おしいと思う

残り少ない人生をもういちどジャン=ルイに捧げよう

 

アントワーヌとフランソワーズにも

再び親愛が芽生え始めていました

もしかしたら、アントワーヌがアンヌに会いにきたのは

父親のためだけじゃなかったのかも知れません

アントワーヌにとっても、4人で過ごしたあの頃が

一番楽しい思い出だったのです

老いて肉体が不自由になっも、記憶が曖昧になっても

人を愛するという魂は自由でいたい

ものすごい感動作といったら嘘になりますが(笑)

(「男と女」を見た人にとっては特に)感慨深く

ロマンチックで幻想的

 

あとからあとから来る余韻がありました

 

 

 

【解説】映画.COMより

フランスの名匠クロード・ルルーシュ監督が1966年に手がけ、第19カンヌ国際映画祭パルムドールアカデミー外国語映画賞脚本賞を受賞した名作恋愛映画「男と女」のスタッフ&キャストが再結集した続編。前作の主演アヌーク・エーメとジャン=ルイ・トランティニャンが同じ役柄を演じ、53年後の2人の物語を過去の映像を散りばめつつ描いた。元レーシングドライバージャン・ルイは、現在は老人ホームで暮らし、かつての記憶を失いかけている。ジャン・ルイの息子はそんな父のため、父がずっと追い求めている女性アンヌを捜し出すことを決意。その思いを知ったアンヌはジャン・ルイのもとを訪ね、別々の道を歩んできた2人はついに再会を果たす。

タクシードライバー(1976)

You talkin' to me?(俺に向かって話しているんだろう)は

アメリカ映画の名セリフベスト100」で常に上位にランクイン

原題も「TAXI DRIVER

 

どうしても気になって再見してみました

やはり名作ですね

メロウな音楽に映像もスタイリッシュ

ストーリーもわかりやすく

海兵隊員のタクシードライバー

ニューヨークの街を浄化しようと

大統領候補の暗殺に失敗したかわりに

少女売春の元締めを撃ち殺していくというもの

1981年、レーガン大統領暗殺未遂事件の犯人が

影響を受けた映画としても有名ですね

(本作もジョージ・ウォレス大統領選候補狙撃事件(1972)がヒント)

 

ロームRG14 .22LR(サタデーナイトスペシャル)から6発全弾発砲し

レーガン大統領の左胸部(重症)、大統領報道官の頭部(重症)

ワシントン警察の巡査、シークレットサービスのひとりに命中

その後ただちに他のシークレットサービスや警官に取り押さえられ

犯人は逃亡しようともせずその場で身柄を拘束されます

10秒にも満たない一連の出来事は

テレビカメラによってアメリカ中に生中継で放映されました

安倍元首相の銃撃犯がこの映画のファンだったか

主人公に影響を受けたかどうかはわかりません

しかし安倍元首相の演説を腕を組んで聞き

拍手する犯人の姿がどうしても

(私から見て)トラヴィスと重なってしまったのです

逮捕された山上容疑者は目立たないタイプで

仕事以外はひきこもりだったと報道されていますが

腕は筋肉質で、銃の構えも鍛錬しているように見えます

 

そしてトラヴィスと同じように、暗殺しようとした理由は

「政治信条への恨み」ではありませんでした(いわゆる逆恨み)

ラヴィスは死を覚悟して犯行に及んだわけですが

逆に英雄として扱われてしまい

少女(アイリス)の両親から感謝の手紙を受け取ります

彼を振った女性(ベッツイー)と和解することもできました

(ラストのシーンは脚本にないものをスコセッシが付け加えたもの)

山上容疑者も死刑を覚悟して犯行に及んだと思うんですね

彼も英雄として崇められようになるのでしょうか

山上容疑者に感謝のメッセージを送る人間もいるかも知れません

映画の中と現実の見境がなくなる恐怖

本作はベトナム戦争の後遺症がテーマですが

今はコロナによる抑圧された生活や、深まる格差社会

鬱憤が溜まっている人も多いかと思います

 

だけど、どんな理由があったとしても

殺人を正当化することは許されないのです

映画は映画として楽しむべき

終盤のバイオレンスシーンは今見ても過激で

万人にお薦めはできませんが

今こそ見るべき映画のひとつ

 

現代社会に生きるプアワーカーの心理を

考察する資料としても逸品だと思います

 

 

【解説】映画.COMより

マーティン・スコセッシ監督とロバート・デ・ニーロがタッグを組み、孤独なタクシードライバーの姿を通して大都会ニューヨークの闇をあぶり出した傑作サスペンスドラマ。ニューヨークの片隅で鬱屈した日々を送るベトナム帰還兵の青年トラビス。不眠症の彼は、夜勤のタクシードライバーの仕事に就く。彼は夜の街を走りながら、麻薬や売春が横行する社会に嫌悪感を募らせていく。ある日、大統領候補パランタインの選挙事務所で働く美女ベッツィと親しくなったトラビスだったが、初デートでポルノ映画に誘いベッツィを怒らせてしまう。密売人から銃を手に入れ、自らの肉体を鍛え始めたトラビスの胸中に、ある計画が湧き上がり……。当時13歳のジョディ・フォスターが売春婦役を演じて注目を集め、アカデミー助演女優賞にノミネートされた。第29カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞。